流行語大賞を受賞した「聖地巡礼マップ」のスタートアップ生存戦略

「流行語大賞…だと?」

スタートアップタイムズを運営するディップのサービスのひとつ「聖地巡礼マップ」がなんと12月1日に行われた「流行語大賞」を受賞。

世のスタートアップのように新規事業として低コスト低リソースではじまったサイトが、どのようにして流行語を受け取るまでに「ユーザーに育ててもらえたか」をディップ株式会社の山根さんに聞いてみました。

ある日メールが届く「何故うちが?」

「ん?流行語大賞…だと?」

ある日、広報担当者宛にあるメールが届きました。「御社が流行語大賞にノミネートされました」「何でうちが…?」…「いち早く聖地巡礼マップを製作・発表されていますので…」「いやそれは…」

当社の広報担当と、流行語大賞を主催するユーキャン新語・流行語大賞の担当の間で数回のやりとりを経た後、受賞と相成りました。

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 “聖地巡礼”が受賞したのは、「2016年ユーキャン新語・流行語大賞」。ご存知の通り、ユーキャンさん主催の今年の世相を表している言葉や流行語を表彰するイベント。公式サイトはこちら

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最初は受賞を断ろうと思った

おしん記者
受賞おめでとうございます。あら、あんまりうれしそうじゃないですね。
山根さん
ありがとうございます。そんなことないですよ。プレッシャーです。
おしん記者
プレッシャー?
山根さん
5000箇所もの聖地登録をしてくれたユーザーさんを代表して受け取ってるわけですからね。
【編集部注】聖地巡礼マップはユーザー投稿型で聖地の登録を受け付けているCGM型サービス。
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受賞したのはディップ株式会社が運営する「聖地巡礼マップ」日本最大級のアニメ聖地5000箇所を簡単に検索可能、Google社のストリートビューを使えば、家にいながら聖地巡礼ができる。

おしん記者
それはどうしてですか?もったいなくないですか?
山根さん
そもそも「聖地巡礼」という言葉は私達が作った言葉じゃないですし。

元々は「耳をすませば」の聖蹟桜ヶ丘や「デスクリムゾン」ファンのエコール本社への巡礼が有名で、その後ネットなどを通してファンたちが自発的に呼び始めたのが「(アニメ)聖地巡礼」。

だから「ぼくらが貰うのはどうかな?」と思ったりして、断ろうかと思いました。

おしん記者
たしかに。そう言われれば1会社が受け取るのは違和感がありますね。
山根さん
そうなんですよね。だからです。

決意として受け取る

おしん記者
でも、受け取ったのはどうしてなんですか?
山根さん
それは「不退転の決意」というか。実は聖地系のサービスは直近も大手サービスが撤退していて。
おしん記者
そうなんですね。意外です。
山根さん
やはり企業の論理で言うと「広告投資をしてすぐに収益事業に育てて」となりがちで、ただそれはこのサービスやユーザーにそぐわないと思うんです。
おしん記者
それはどうして?
山根さん
好きなことを露骨に企業でビジネスにされるのって嫌じゃないですか。
おしん記者
たしかに。でもビジネスですよね。
山根さん
収益はあげないと存続できないのでそうなんですけど、ユーザーさんの気持ちを無視すると使ってもらえないことになるんですよね。
おしん記者
すごくジレンマなマーケットってことですね。
山根さん
そうです。そのマーケットに取り組んでいくぞ、「あっさり撤退」したりしないぞっていう決意です。

聖地巡礼マップはユーザーが作ったサービス

おしん記者
そんなマーケットで撤退もせず、生き残れているのはどうしてなんですか?
山根さん
サイトづくりも利用スタイルもユーザーさんにおまかせしているからですかね。聖地巡礼マップはユーザーさんが毎日聖地を登録してくださっています。
おしん記者
1日どれくらいあるのでしょうか。
山根さん
前後しますが1日2-3件、1年で1000件ペースで増加しています。
おしん記者
じわりじわり、増えているという感じですね。
山根さん
ここを強引にやろうとすると、広告費やライティング費がかかってコストがかかります。

これを回収しようとすると「結構グイグイ儲ける!」感じになって、1ユーザーとしては気分が悪い。

おしん記者
でも、放置していると、認知すらされないのでは?
山根さん
そうですね。なので聖地巡礼のお供になるような情報提供を心がけています。都道府県別聖地ランキングなどはその一環です。
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聖地巡礼マップでは広告等は行わず、PRを中心に認知を図っている。こちらはアニメの都道府県別聖地数ランキング2016年版

おしん記者
なるほど、ユーザーさんの地元愛や作品愛を高めるという感じですか?
山根さん
そうですね、愛着を持ってもらっているものなので、そこをもっと好きになってもらえるアプローチを心がけています。

「アニメ」を「聖地巡礼」を「地方」を盛り上げたい

おしん記者
コストをかけずに生き残る構造はなんとなく理解できましたが、それではゾンビでは?
山根さん
そうですね。儲けないと企業としては存続できないので、「ユーザーさんのやりたいことを支援する」コンセプトでビジネスにも取り組んでいます。
おしん記者
たとえばどんなことですか?
山根さん
「作品をもっと知ってほしい」という原作者さんと「アニメの聖地巡礼を作者さんとやりたい」というユーザーさんと「地元を盛り上げたい」という自治体さんと繋いで、イベントで維持費を賄ったりしています。
【編集部注】聖地巡礼マップではスタンプラリーイベントを開催している。
■過去のイベント実績(プレスリリース)
次世代型スタンプラリー in KOBE」、「落第騎士の巡礼譚(スタンプラリィ)」、『ひぐらしのなく頃に』ツアー「綿流し巡礼祭in下呂温泉&白川郷」、「映画『聲の形』スタンプラリー in大垣市」、「”秋葉原限定”次世代型スタンプラリー
おしん記者
維持費って感じなんですね。
山根さん
そうですね。儲かるという金額ではありません。サービスを運用するのが手一杯って感じです。
おしん記者
それでも続けるわけは?
山根さん
将来的には収支が合うってなるはずなんです。

「アニメ」が好きで初めたサービスですが、「聖地巡礼」はユーザーさんが「地方」に注目するチャンス。2020年にむけた観光立国で必ず伸びるムーブメントです。

地方にひとが動けば雇用も生まれる。雇用が生まれれば、当社の中核事業の人材事業にも好影響がある、そんなイメージを抱いています。

おしん記者
なるほど、「生き残りながら活路を探す」って感じなんですね。
山根さん
大手の企業でやってて何だって言われそうですが、スタートアップは死んでしまったら終わり。「やり続けるための体力消費を抑える」のも戦略の一つだと思います。

編集後記

スタートアップの世界では「成長なくば死」がルールですが聖地巡礼マップでは「ユーザーの行動支援に徹して」「生き残る」ことを一貫して考えておられるのが印象的です。世界の変え方の一つとしてとても参考になるお話でした。

スタートアップタイムズでもスタートアップのPR支援として取材を行っていますのでお気軽にお問い合わせください。

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