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インタビュー 2018.08.06

日本初、Employer Brandingサービス「Clarity」は転職クチコミサービスの先を見る

古谷 聡美

2010年成城大学卒業。在学中はサンディエゴ州立大学に交換留学。外資系BPOコンサルティング会社にてコンサルタント、社長秘書を兼任。その後ビーコンコミュニケーションズ株式会社に入社し、P&GやPhillip Morris等のグローバルブランドを担当。2016年からフリーランスとしてZehitomoなどのスタートアップに参画しながら、2018年1月に株式会社Clarityを設立。

働きやすさと社員のQOLをみんなで高めて行く「働き方データベース & 企業口コミプラットフォーム」

人材紹介の市場規模は3000億を超え、メディア、ダイレクトリクルーティング…などサービスが多数生まれている。そんな中あらたな方法で人材マーケットに挑むスタートアップがある。

一言で言うと「働きやすさと社員のQOLをみんなで高めていく企業口コミプラットフォーム」サービスです。Clarityでは今のあなたにとって大切なことを選んで、あなたの「働きやすさ」を知ることができます。

どのように利用するのだろう。

Clarityのサイト

企業ごとにみんな同じの軸のスコアではなくユーザーそれぞれの軸で働きやすさを可視化できます。また、口コミを全て無料で閲覧できます。あなたが働いている、もしくは働いていた企業について口コミを書くこともできます。

登録なしで企業のクチコミを閲覧できる。

Clarity掲載の企業ページ

ライターの私が所属するディップの情報もかなり詳細に掲載されている。

Clarity掲載の企業の制度説明

転職クチコミサービスはVokers、転職会議など複数のサービスが展開されている。違いはどこにあるのだろう。

ライフステージや価値観の変化によって、働きやすさも変わります。特に従来の口コミサイトでは「女性の働きやすさ」「ワークライフバランス」といった口コミのカテゴリーはありますが、単純にスコア化・指標化されていてよくわからないか、口コミの文章を一つ一つ読むしかなく「なんとなく」しか雰囲気を掴めませんでした。

Clarityでは「働きやすさ」にフォーカスを当て、一元的、総合的に企業をスコア化、ジャッジするのではなく、複数の評価軸で企業の傾向を取り、ユーザの希望とどれくらいマッチするかで、それぞれの人にとっての「働きやすい会社」が探せる仕組み作りを目指しています。

GlassdoorとWantedlyがくっついたようなイメージだ。企業むけのサービスはちょっと新しい。

Clarityの企業向けサービスサイト

採用候補と既存社員によい影響を与えるサービスだという。

従来の口コミサイトではユーザ側の一方的な口コミに対して、企業側は何も発信することができませんでした。

Clarityでは企業からの発信もできるようにし、社員や採用候補者から見た「雇用主」としてのブランドを創り、向上させていくことができます。Employer Branding(雇用主ブランディング)ができるんです。

クチコミサイトをベースにしているので、各企業のクチコミデータが蓄積されることでセグメント分析が可能になります。「発信しているメッセージが、求めている人材にフィットしているか」といったことがわかります。

Employer Brandingを正しく行えば、採用コストを抑えられたり、より優秀な人材に出会えたり、採用のミスマッチを防止できます。しかも既存社員の離職を防いだり、リファラル採用が活性化する効果があります。

古谷さんによるとEmployer Branding専門サービスは日本初とのことだ。

直接的な課題解決をしたいと考え起業

サービスを立ち上げた経緯について聞いた。

私はキャリアを通じて、女性が働き自立し続けることの難しさに向き合ってきました。ならばコミュニケーションで女性を勇気付けられたらとクリエイティブエージェンシーに入りましたが、広告でできることには限界があります。

直接的な課題解決をしたいと考え起業を決めました。

私がいた外資系企業では女性差別は少なく、例えば先輩の女性社員が産休・育休から元のポジションに復帰するのは当たり前でした。何かあれば子供と一緒に出社したり自宅勤務も自由にでき、キャリアを追求することができたんです。

しかし日本には女性が働き続けることが当たり前ではない企業が多く、その状況を圧倒的に改善できるサービスは何だろう?と考えClarityが誕生しました。

ヴィジョンには「全ての人のために、透明度の高い社会を創る。」と掲げられている。

Clarityのヴィジョン

どんな思いが込められているのだろう。

バリバリ働きたい人から家族との時間を大切にしたい人など、価値観は十人十色でライフステージによっても変化します。でもその価値観の尺度は「ワークライフバランス」ということばでひとくくりに表現されます。

どのような生き方がしたくて、どのような働き方がしたいのか。企業はどのような働き方や環境が提供できてどのようなビジネスゴールを目指しているのか。双方が情報提供していく透明性の高い社会を作りたいと思いました。

全ての企業がGoogleや資生堂のようにならなくても良いのです。全ての企業が足し算思考で100点満点を目指すのではなく、絶対に一つは働きやすさとして良いところがあるので、それを強みにしてアピールをしたり、そこにマッチングする人材と出会えるようになれば企業も求職者もハッピーになれる。

弱みや悪いところを隠しても、度が過ぎればSNSで暴露されてしまうので、未然に防ぐためにネガティブな口コミも前向きにフィードバックとして企業に届け、改善策やリスクヘッジにつなげられる場をまずはClarityで作りたいと思っています。

全ての企業がGoogleや資生堂のようにならなくても良い、とは頷かされるコメントだ。

QOLを重視する事が経営に、社会にに寄与することを証明する事業に

将来の展望を聞いた。

まずはClarityをQOL(Quality of Life)を重視する事が経営に寄与することを証明する事業にしたいと思っています。2018年新卒生が福利厚生や働き方を重視するというニュースがありましたが、これから益々「働きやすさ」で企業や仕事を選ぶ時代になっていきます。

女性を筆頭に多くの人が、幸せに生きるための「手段」として仕事を捉えるでしょう。そして企業はもうブラック企業ではいられず、従業員だけではなく、株主や消費者に対して “Employer branding” が必須となる社会になるのは時間の問題です。

私がClarityを通して目指すのは、その社会に向けてイニシアチブを取り日本社会全体のQOLを飛躍的に向上させることです。

社会に対してはどんな効果があるのだろう。

みずほ総研の調べによると2065年までに労働力人口が2016年と比較してほぼ半減するといわれています(※出典)。現在でも女性の労働力率は平均で66%、特に20代後半〜40代の働き盛りの年代が低く、いわゆるM字カーブと呼ばれています。働き続けられたとしても単純作業しかできないという方も多い。

その層の労働力率やパフォーマンスを上げることが国の存続に必要不可欠です。

より多くの女性が働き続けることができれば、労働人口、経済を向上させ、また間接的には男性の家庭や育児への参加を促し、出生率の向上といった副産物もたくさんあるんです。

最後に個人としての夢を語ってくれた。

起業家として変わり種ロールモデルになること、女性としての無理のない働き方、起業と家庭との両立の成功モデルをつくることです。

アメリカのGlassdoor Job Searchがリクルートに買収されたことも記憶に新しく、世界的にも注目される転職のクチコミ分野。にこやかに笑う古谷さんの挑戦が楽しみだ。

Clarityを試す

編集後記

取材担当進藤

あいまいな基準の中「働き方改革」の各社アピールは激化する一方ですが、「全ての企業がGoogleや資生堂のようにならなくても良いのです」という言葉が心に残りました。新しいロールモデル、基準にClarity、古谷さんがなるのを楽しみにしています。

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