
CEM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)という考え方をご存知だろうか。
CEMとは「顧客の体験・感情」に焦点を当て、より良い体験と気持ちのよいサービスという付加価値を提供することで差別化を図るというものだ。(参照:https://callcenter-japan.com/campus/208.html)
顧客の感情を中心の指標としてプロモーションを進めるマーケティング手法の1つである。
このCEMの考え方を採用し、それをより円滑に進められるサービスがある。
株式会社Bloc Application(ブロック・アプリケーション)が開発したサービス「FEEL」だ。
詳しく見ていこう。
代表取締役
菱川 知治
大手SIerに約10年間勤務。同社のセールスフォース事業立ち上げに従事し、マーケティング・営業責任者やセールスフォースの導入・開発支援などを経験。同時期に国際協力NGOの運営ボランティアとしてWebメディア支援も行う。2017年3月、グロービス経営大学院MBA取得。同年5月、株式会社BlocApplicationを設立。
――株式会社Bloc Applicationが開発したサービス「FEEL」について教えてください。
FEELはCEM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)の領域で、顧客の経験価値をマネジメントできるアプリケーションです。
ウェブからのアンケートや顧客のリサーチ、マーケティングでの費用対効果の調査、カスタマーサポートの管理などができ、それらをレポート・ダッシュボードで分析できるようになっています。
――具体的にはどんな機能があるんですか?
FEELには、
- 顧客管理機能
- NPSなどの指標に沿ったアンケート作成・回答管理機能
- リサーチ管理機能
- 従業員管理機能
- 実際に誰に何を販売したかを管理できる「プロフィット」管理機能
- ウェブ広告などの原価管理とROIを測定しマーケティング施策を検討できる管理機能
- 質問から得られた回答をNPSなどの指標を使って、ブランドの評価・測定をする機能
があります。
特徴として、セールスフォースのプラットフォーム上で開発をしているアプリケーションなので、セールスフォースの基本的な機能を活用することもできます。
機能一覧
――ユーザーについて教えてください。
現在、数十社のお客様にFEELを使っていただいています。
特徴は、大手の企業様が多いこと。株式会社マネーフォワード様や弁護士ドットコム株式会社様に使っていただいています。
基本的に業種は限らず、どこでもニーズがあるアプリケーションです。
――競合について教えてください。
アンケート作成ツールという観点での競合は、Google サーベイさん。
エクスペリエンスマネジメントツールでは、クアルトリクス合同会社さんが競合になりますね。
――FEELの強みについて教えてください。
従来のサービスは、ウェブからのアンケート管理に特化していることが多くなっています。
一方FEELは、ウェブアンケ―トはもちろんのこと、現地に出向いてリサーチをしたり、その結果を一元的に管理できるのが特徴です。
また、FEELはセールスフォースのプラットフォーム上で開発しているので、セールスフォースがもともと提供している基本機能をカスタマイズして利用できることも強みになっています。
アラートを送ることやプロセスの自動化、セキュリティの細かい管理が可能です。
――FEELを開発した経緯について教えてください。
もともと大手SIerで株式会社セールスフォース・ドットコム(salesforce.com,Inc)のパートナーとしてセールスフォースの自社事業立ち上げに関わり、プロダクトの開発や導入支援を担当していました。
また、会社に勤務しながらNGOの運営ボランティアをしたり、非営利組織のイベントによく参加したりしていましたが、よいことをしようとしているけれど資金面や人のリソースなど困られている組織があり、そういった組織を支援したいと思ったのが開発のきっかけになっています。
ビジネススクールで、サービスマネジメントやソーシャルビジネス、デザインといった領域を学びながら良い手法がないか探していたのですが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用したステークホルダーのロイヤルティ(信頼・愛着)・マネジメントが有効ではないかと気づいたんです。
ビジネススクールに通うかたわらNPSのアプリケーションをセールスフォースのプラットフォームで開発して無償提供しながら、非営利組織向けにNPSのコンサルティング活動をしたのですが、コンサルティング活動では組織の運営改善につながる成果も得られ、その仕組みを使って組織を支援するシステムを作りたいと思ったことが開発する理由になっています。
※NPS(ネット・プロモーター・スコア)…ブランドに対する顧客ロイヤルティを測定する目的で考案された指標。「このブランドを親しい友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?」の問に対する0から10までのスコア評価に基づき測定される。
Bloc Applicationが参考にしている
フレームワーク
出典:ベイン・アンド・カンパニー
――FEELの名前の由来を教えてください。
ビジネススクールで学んでいく中で、売り上げや事業の成長において、「感情」が大きな役割を果たしていることを知りました。顧客の購買活動をROIなどで測定するとき、大事になるのは顧客の感情とつながっているかどうかなんです。感情ベースのシステムを作りたいと思い、「FEEL」と名付けました。
また、NPSという指標を利用していることも大きいですね。普通の満足度を計るアンケートではなく、「感情」に迫る調査をしていこうと思っています。
――今後プロダクトはどんな進化をしていきますか?
プロダクトのコンセプトは、Experience Design Insightです。経験価値を洞察してデザインで改善するといったものですが、企業・ブランドがソーシャル化し、プロダクトがコモディティ化している現代ではステークホルダーの信頼や愛着の重要性は増し事業成長のキードライバーであると言えると思います。このような事業環境においては顧客や人中心のアプローチをすること、デザイン思考が有効だと考えています。
具体的な活動としては、まずはプロダクトの推進をしていき、改善を重ねプロダクトのコンセプトを実現するより良いシステムを作っていきます。
関連する他のシステムやデバイスと連携していくことも考えています。電話がかかってきて、チャットボットのように回答するとアンケートが進んでいく、クレームだったら謝罪する、感謝の回答だったらお礼をするような自動音声アンケートなども面白いかなと思っています。また、経験価値の創出、改善といった観点から今後は学生インターンにもアイデアを出してもらったりしながら、進めていこうと思っています。
――株式会社Bloc Applicationが目指すビジョンを教えてください。
「善意が報われる社会」を目指しています。
そのためには顧客や人中心のアプローチをすることが有効だと考えています。
人に共感することや人が感じていることと自分が感じることから洞察することが大切だと思っています。
そういったことを支援するサービスを作っていきたいです。
「善意が報われる社会」の実現へ。FEELは顧客志向でさらに進化を続ける。
取材担当橋本
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