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インタビュー 2016.12.20

7年赤字、9事業失敗…ファーストブランド河本社長の「折れない」スタートアップ原動力

「失敗したらどうしよう」すべての創業者が思い悩むスタートアップのジレンマ。

今日は、9事業の失敗、最初の7年は赤字、など…多くの困難を乗り越えてスタートアップを続ける方のインタビューです。「マイベストプロ」を運営するファーストブランドの河本さんに話を聞いてきました。

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<河本さんの略歴>

英国留学を経て、獨協大学経済学部経営学科を卒業後、銀行、外資系航空会社に勤務。平成14年「消費者に優しいインターネット・サービス会社」を目指し、有限会社ファーストブランド工房(現株式会社ファーストブランド)を設立、代表取締役に就任。平成24(2012)年、神戸大学大学院経営学研究科非常勤講師に就任。

原点は「祖父のDNA」

おしん記者

元々は客室乗務員をされていたと伺いました。「9事業の失敗、最初の7年は赤字」とかって世界とどうつながっていくのでしょう?

河本さん

そうですね。元々起業したいと思っていて、新卒では経営を学ぶ意味もあって銀行に勤めていました。客室乗務員になったのはその後ですね。

おしん記者

幼少のころから起業の志向があったってことですね。また何でなのでしょう?

河本さん

祖父が起業家で、その話を聞きながら育ちまして。

おしん記者

おじいさんはどんな事業を?

河本さん

祖父は海外で事業を成功させていたんですが、終戦後全てを失って帰国。自分で絵を描いて喫茶店にその絵を貸すサービスを始め「毎月新しい絵を飾れます」と販売したそうです。とても好評で日本一のレンタル絵画事業を目指す段階で急逝した…という話を何度も聞きました。

おしん記者

戦後すぐのビジネスとして新しいですね。

河本さん

今で言うストックビジネスですよね。8人の子供を養うため絵を数百枚描き、売ることも考えたそうですが、お客さんが求めているものを考えて「貸す」サービスにしたそうです。

おしん記者

そのおじいさんのストーリーからどんな思いが?

河本さん

戦後日本で「絵画で日本を元気にする」コンセプトで祖父は立った。「絵を貸す」商売がなかったようで、既成概念をひっくり返したので「絵を売る」業界から叩かれたみたいです。でも、お客様が求めるものを提供するのがビジネスと考えて展開して成功した。

一人の人が日本を変えようとして、そんなことができるんだなと感じて「何かで日本を変えていきたい」という思いが強くなりました。

35歳で創業…しかし

おしん記者

じゃ、そのあと順調に創業という感じで?

河本さん

それが、結構遅くて。設立金の1000万円を出せないし、引き出しがない中でどうしようかと悩んで銀行から客室乗務員に転職しました。
【編集部注】2006年5月1日に「新会社法」が施行されるまでは、最低資本金制度で登記に1000万円の資本金が必要だった。

おしん記者

ほう、どんなメリットを感じて?

河本さん

銀行で経営や金融を学んで、次は資金とアイデアだなと考えました。海外を見ながら、サラリーが良くて、お客様を喜ばせる職業でと考えました。

おしん記者

狙いは当たりましたか?

河本さん

30歳で起業したいと思ってましたが、客室乗務員が結構楽しくて(笑)ステータスもあるのでネットバブルも逃してしまい。35歳になったころに海外で「パーソナルブランディング」が始まっているのを見て創業を決意しました。

おしん記者

それがマイベストプロ?

河本さん

それがそうではなくて(笑)Webマーケをやりたかったんですが、PCすら使えずパソコン教室に通って。「ブランディングって言うのはビジネスにならない」とか言われながら苦しい時期を過ごしました。

7年赤字、9事業失敗、VCを回る日々

おしん記者

今の事業になかなかたどり着かないですね(笑)

河本さん

そうですね…最初はセミナー講師として稼ぎながら「壁紙カレンダーサービス」をブランディングツールとして開発しました。ベンチャーキャピタルを70社くらい回って資金を集めて、開発チームを作って。でも全く売れなくて…

おしん記者

ネットバブル後なのに調達できたのすごいですね。

河本さん

いくら言っても聞かずに、折れずに来る起業家がいなかったのかもしれないですよ(笑)苦戦はしましたが調達した資金で、大手広告代理店と企業サイトの共同制作をしたりできる制作チームが立ち上がったのは大きいですね。

おしん記者

そこからようやく「マイベストプロ」?

河本さん

その間7年ずっと赤字で、事業も9つ失敗続きだったのですが「インターネットで専門家のパーソナルブランド作りをサポートする」事業にようやくたどりつきました。

おしん記者

ちょうどリーマンショックの頃ですね?

河本さん

ちょうどマイベストプロの開発準備をしていた頃でした。企業さんのPR予算は減るし、開発準備はしなければいけないしで大変でした。そんな中、社員のみんなや取引先の多大なご支援でようやく生まれたのがマイベストプロです。

おしん記者

その後は順調に?

河本さん

神戸新聞さんとはじめた「マイベストプロ神戸」からスタートし、47都道府県中42エリアでサービスを提供できるまでになりました。

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マイベストプロは、地元で活躍するさまざまなジャンルのプロの中から、あなたにぴったりのプロを探してその場でプロに質問もできるサービス。※「マイベストプロ」は、株式会社電通および株式会社ファーストブランドの登録商標です。

折れない心を支える「なんのためにやるか」

おしん記者

河本さんのその折れない心は何が支えているんですか?

河本さん

それは祖父から引き継いた「なんのためにやるか」のパワーだと思います。もちろん「だから言ったやんか」と言われたくないってパワーも大事でしたけど(笑)「何かで日本を変えていきたい」思いが大事でした。

おしん記者

特に個人的には資金調達力がすごい、と感じるのですが、それも思いの力?

河本さん

そうですね。何にしろキャッシュがなければ生きていけないので「思いが通じる方には全部開示する」スタンスも大きいですね。金融機関さんには経営数値はほぼ全て開示しています。

おしん記者

すごいですね。

河本さん

事業が「ブランディング=自分の強みに共感してくれるファンづくり」なのでそれに共感していただかないと意味がない、全部やる、徹底してやる、ということで。

おしん記者

それも「何のためにやるか」が軸としてあると。

河本さん

そう、マイベストプロも同じスタイルです。専門家の皆さんはノウハウを見せることを嫌う方もいますが、ファンづくりをしてもらうために開示するように勧めてます。

おしん記者

すべてにおいて通ずる軸なんですね。

河本さん

経営も起業も判断を支えているのは「何のためにやるか」ですね。

編集後記

「辛かったとき講演を聞きに行ったら成功談しかなくて余計辛くて…自分は失敗談を語ろうと決めた」と語る河本さん。折れない心を支えているのは「何のためにやるか」でした。とくに「Pivotはするがマインドチェンジはしない」とお話されていたことが印象的です。

スタートアップタイムズでも河本さんのようなスタートアップの支援として取材を行っていますのでお気軽にお問い合わせください。

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