最近、学生起業家の中で目立ってきているCandle出身起業家についてCandleの金さんにインタビューしてきました。
金 靖征
2014年4月、東京大学工学部システム創成学科3年の際に、株式会社Candleを創業。女性向けの美容・ライフスタイルの情報メディア「MARBLE」をはじめとしたWebメディア、人気モデルによるメイク・ヘアアレンジ解説動画メディア「MimiTV」等の動画メディアを運営。2016年10月にクルーズ株式会社へ事業売却。同年11月よりCROOZ VENTURES株式会社での投資活動にも参加している。
2012年の政府統計では、在学中起業者は約4000人。5年前の9000人弱から半減し、学生起業家は減少傾向にある。その環境を変える挑戦をしているのが「Candle」(キャンドル)の金さんだ。
Candleマフィアと呼ばれるくらい、たくさんの起業家を輩出したいと思っています。
Candleは3年ちょいの会社で、マーブルの売却まで1年半くらいでした。その時中核だったのが20名くらいのインターンですが、もうすでに起業家が10人くらいいます。
事実、Candle出身の起業家はTelescope、Wizleap、が代表格としてあげられるが、Wizleapに至っては代表・CTOの二人がCandle出身だ。われわれの作成した学生起業家マップのなかにも企業名をみかける。
金さんに名前を上げてもらった「Candleマフィア」たちを見ていこう。
そのほかにもストライド、Graciaなど、Candle出身者から有望なスタートアップがが生まれ始めている。だが、そもそもCandle自体がMARBLE、MimiTV、minetteTVなどのメディアを運営する、創業3年目のスタートアップだ。
若いスタートアップが生み出した起業家の数としては異例と言ってよいだろう。
Candleから起業家がでていく理由はどこにあるのか。
いわゆるCandleマフィアが出てくる理由は3つあって。1つ目に、そもそも起業人材を増やしたいという思いで自分が起業しました。その中で学んだことを伝えていきたい、そういう経営方針でやってきたということがあります。ですから、事業の立ち上げ方はもちろん、事業のKPIパッケージ、生産性に関する考え方など、育成を私自らがメンターとして行ってきました。
2つ目に、育成の反面、裁量権を持たせて実践に出てもらわないといけないと思い、Marble以降の様々な横展開をサービスごと任せて実践の場を持ってもらいました。
3つ目に、若くて優秀なコミュニュティからインターンが集まってくる環境です。東京大学起業サークルTNKからインターンの初期メンバーを集めました。そこからはインターンが勝手に集めてきてくれたので、勝手に母集団ができています。
Candleは創業期からインターンを中心に運営されていることが知られているが、その人数は累計30〜40名。その一人ひとりと向き合いメンタリングを行ってきた金さんの力は大きい。また、無視できないのが「東京大学起業サークルTNK」の存在で、9期目を迎える本サークルは代表例だけでも7名の起業家を輩出している。
一般に知られているところではGunosyの福島さんやナイルの高橋さんだろう。そのほかにもダブルエル保手濱さんやアイタンクジャパン丹羽さんなどの名前が並ぶ。
金さんも9期の卒業生だ。
なぜ起業だったのか。
もともと、親や親せきが事業をやっている起業家の家系でした。また、家業もそれなりに儲かっていて継ぐかどうかを悩んだこともあります。
私には親の事業が世の中に価値貢献をあまりしていない気がしました。なぜなら、自分たちがやらなくても他の大手がやってもユーザーからしたら変わらないからです。会社の価値は、でかいインパクトを与える組織を作ることかユニークな価値を作ることだと思いました。
どっちがいいかと言う話ではないし、個性的な焼肉屋みたいにユニークな価値を作っていくこともいいと思いましたが、世の中にインパクトでかく与えて行くことのほうが日本のためだし、私には魅力的でした。
そこで、家業は継がずに起業することにしました。
「世の中にインパクトでかく与えて行くことのほうが日本のため」との言葉が印象的だが、その真意を聞いてみた。
孫さんに憧れ起業する人がいるように、憧れで起業する人が増えるのが日本のためだと思っています。東大に入って周りの学生と話をしていると、とても頭がいい。そこから大学で4年間遊んで一般企業に就職する。
これはもったいないです。一般企業が得意とする1-10も大事です。しかし起業家が得意とする0-1の能力があまりにも足りない日本の環境では起業を志してまずは成功例を作る方が日本のためにプラスだと思いました。
幸い、私は一定のイグジットができました。でもまだ自分の志が低いなと思っていて、お金も人も集められるようになった今こそ起業に憧れを持つ人たちを増やしていきたい。これは人生賭けてやってもおもしろいなと思います。
「一人の起業家としては、競合を育ている側面もあるのでは?」と意地悪な質問をしてみた。
ライバルを育てているというところもあるがそれは全然かまわないです。そもそも事業でも考えたことがない、他がどうこうということを考えたことがないんですよね。
あっさりと金さんは語った。
金さんの運営しているCandleは半年ほど前クルーズの子会社になったばかり。マフィアはどうなっていくのだろう?
Candle=クルーズの新規事業開発子会社という立ち位置です。これは小渕さんとかとも話をしながら「新規事業はベンチャー精神ある若手がやったほうがいい」という話で、Candleの起業家輩出の実績を評価してもらって買収を受けたところもあります。
クルーズはSHOPLISTなどを提供する企業。小渕さんとはクルーズ代表取締役CEO小渕 宏二さんのこと。
クルーズ本体との関係はどうなっているのか?
2016年11月からCROOZ VENTURES株式会社での投資活動にも参加しています。事業はクルーズの外部で立ててもいいし、クルーズの中で立ててもいい。外部から出資をもらってもいいです。今3社がその枠で動いていてこれから2社がその中に加わる予定です。
手前味噌ですけど、多少実績が出てきたのでCandleのメンバーが優秀だという評判が広まってきてるので良い環境ですね。
クルーズだけでなく外部VCとの連携、出資も含めたオプションが用意されている。
金さんが今動き始めているのが、投資直結型ビジコン『XYZ』。金さんはここでメインメンターを務める。
金さんなりの合格の基準を聞いてみた。
縁もあってクルーズベンチャーに入らせてもらって、起業を志しているU25をイベントで募ろうとしています。
私個人の合格基準で言うと「志の高さ」「本気度」「地頭がいいかどうか」「人が巻き込める」というところ。簡単に言うと、でかいことと行動が伴っているプランと人がすべてだと思っています。
反対に「伸びたところでどうするのってビジネス」は私はあまり好きではありません。甲子園優勝めざしますと言ってるものの、130キロのゆるい球を投げてくるマシンで練習している感じがするので。
今後は、クルーズと連携しながら起業家集団「Candle」マフィアに成長させる考えだ。
おしん記者
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