以前、最近、学生起業家の中で目立ってきているCandle出身起業家についてCandleの金さんにインタビューしたのですが、今回はその中の一人MimiTVの山下さんに話を聞いてきました。
山下 主暉
上智大学在学中にTrippieceやLancersなどでインターンを経験。上智大学理工学部機能創造理工学科卒業。卒業後、製造業webメディアを運営するCluezのサービス立ち上げおよび海外展開を経験。
2015年10月より株式会社CandleにジョインしMimiTVを運営する動画事業部を統括。
2016年10月に株式会社CROOZに12.5億で事業売却しグループ入りを達成。その後Candle取締役就任
2017年5月より管掌領域である動画事業部を分社化し、株式会社MimiTV代表取締役就任
現在はMimiTV代表として、動画メディアのグロースおよびマーケティング、アプリグロース等に従事。
Youtuberのキャスティングを強みとするUUUMが上場したり、同様のVAZが世間を賑わせたり、Youtuberまわりの話題に接しない日はない。
そんな領域で「明日からより可愛くなる、信頼できる情報を伝える」ことをミッションにサービスを提供しているのがMimiTVを運営する山下さんだ。
MimiTVは10代後半〜20代後半の女性に向けて、最適な形で、明日からより可愛く、美しくなれるメイクやヘアアレンジ、コスメなどの情報を発信している美容系動画メディアです。
MimiTVはいわゆる分散型動画メディア。アプリやYoutube、Facebook、Instagramなどを通じて動画で情報を伝える。Youtubeではその世代から支持を受けるモデルや芸能人が出演し、普段のメイクや流行りのメイクを紹介。Facebookやinstagramでは30秒程度の短い動画で隙間時間にさっと美意識を高められる動画を作成し、簡単にトレンドを取り入れられるようになっている。
アプリはそれぞれをまとめるハブの役割。
Youtubeではチャンネルを展開。詳細なメイク法など読み物の役割を果たしている。登録者数は21万人を超えるという。
Instagramでは公式アカウントを展開。スナップカタログのような役割を果たし15万人のフォロワーを抱える。
Facebookでもファンページがあり、1日4回と高い頻度で動画が投稿されている。いいね数は22万を超える。
さきほどあげたUUUMやVAZに加えC CHANNELなど競合が多い領域で、どのようにサービスを提供しているのだろうか。
他のメディアとの違いを聞いてみた。
ポジショニングでは、C CHANNELは総合サイトですよね。VAZさんの運営するMelTVは近いところですがエンタメ寄り。私達は美容に特化して「使えるテクニックで専門的で正しい情報が見れるメディアを目指しています。
ユーザは10代後半から28歳くらいまでをターゲットにしています。YouTubeは若めのユーザーが多いので、メイクを始めるところからアンチエイジング手前まで幅広くカバーしていますね。雑誌で言うと、Vocheさんや美的さん、マキアさんなどになるでしょうか。
たしかにYoutubeを中核にするメディアで「信頼性」を売りにしているメディアは珍しいのかもしれない。美容情報を求めるユーザーをターゲットとしているところにも配慮しているのもあるのかもしれない。例えばFacebookページの動画投稿頻度の高さは社会人層を狙った施策とも考えられる。
インフルエンサーマーケのサービスのように見えるが、例として言及されているような美容雑誌を読む層に当てた王道のメディアを目指していると言えるだろう。
しかし「信頼性」は言うは易いが行うのは難しい。どんな取り組みをしているのか。
インフルエンサーメディアは、Youtuberさんにお任せ、というところも多いのですが、キャスティングから企画、撮影、編集をすべて内製化しています。また、収益源はスポンサードが基本になっています。クライアントからみても薬事法に引っかからないようにするなどはとても大事なので、必然的に正しい情報をわかりやすく届けることになります。
スポンサードモデルをとっておけば確かに、情報の正確さを担保するインセンティブはわきやすいだろう。山下さんは言う。
専門的で正しい情報にこだわっているのは必要最低限のことです。商品説明もするのでプロのヘアメイクに入ってもらったり。ピカ子(あんじゅ)さんに入ってもらってやっています。
出てくるキャストも、紙媒体などに出ている、すでに有名な人が信頼できる情報を伝えることにこだわっています。
確かに、チャンネルをのぞいてみれば前田希美さんなど、CMやテレビ番組で見かけるレベルのキャストが出演している。
各段階で信頼できる情報を届ける工夫をしている。
山下さんは男性なのだが、またどうしてメイクなのだろうか。
メイクするのが好きなわけではないですけど(笑)たくさんの人に毎日使ってほしいと思って。メイク美容は人口の半分が毎日接するのですごいこと。でっかい課題解決も大事だけど、まいにちの一瞬を幸せにするのってすごいことですよね。
「苦手なんだけど」みたいのをなくしていくと多くの人の毎日がよくなる。そっちの方が好きなんですよね。
山下さんは続ける。
気分いいときに、人生はポジティブになるじゃないですか。あさ、毎日リセットできるのはとってもいいなと思って。
ビジネス的にはどうだったのだろう。
MimiTVは動画コンテンツ製作に2年以上前から取り組んでいましたが、当時はネット内での有名人が個人で上げている感じだったんですよね。携帯の通信量の上限があがって、動画見る人が増えていく過程で法人がしっかりと編集しながら配信していく流れが強まると考えました。
伸びそうな領域の中でも、強みであるキャスティングが上手く活き、女性系メディアももっていたので美容系を選んだのは成功でした。
人物とタイミングと強みが一緒になって、事業として立ち上がったのがMimiTVだった。
それでは将来はどうなるのだろう。
事業としては「美容と言えばMimi」になりたいと思っています。文字のままでよければ文字のままでいいし、ライブが伝わるならライブもあります。イベントやったり、紙面に出すなど、動画にこだわりすぎずやっていきたいですね。
美容に関しては見とけば安心というようなメディアにしたいです。
ライブコマースにMimiTVは進出している。実際のところはどうなのだろう。
ライブコマースはB-DashCampでも3社登壇しましたが、わたしたちもやってみて一番大きかったのは動画だけでは不十分なことってあるんだなと分かったことです。
というのも、LIVEを初めてみるとユーザーから集まるコメントや質問の中には数多く動画では解決できないような課題が見つかったからです。今はまだ、LIVE動画を見る習慣がないユーザーさんも多いですし、ライブコマースの中で1万個売る。みたいな販売個数ではなく、紹介されたブランドの認知度やイメージがどう変わっていくのかを注視しています。
ライブコマースはまだMimiの1機能だが、徐々に役割を大きくしていく見込みのよう。「美容と言えばMimi」を目指し分社化、7月にはBdashから資金調達も果たしスピードアップをしていく考えだ。
ここからはキャンドルマフィアシリーズとしての番外編。
MimiTVはCandleの1事業だったが、Candleマフィアのひとりとして5月に分社化しCandleの子会社になっている。
実は本インタビューは、Candle本体の執行役員を務める、古川さんに同席していただいたので、本体と子会社の関係性について聞いてみよう。
古川さんは方針をこう表現した。
本体は「新規事業創出企業」として新しい事業・会社を生み出すことに集中しています。MimiTVのように子会社として独立した場合、子会社独自の文化を尊重し、独自の判断をできる限り委ね、独立した経営意思決定を促します。本社機能としては、新規事業の創出とバックオフィス補助がメインになります。
グループとしての役割も明確になっているようだ。引き続き、キャンドルマフィアを追っていきたい。
おしん記者
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