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インタビュー 2018.01.29

誰もが自分らしく働ける社会の実現を目指す「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」

「働き方改革」という言葉を最近よく耳にする。ワーク・ライフ・バランスであったり、副業解禁であったり。高度経済成長時代から続いてきた、終身雇用制度も変革を迫られているなかで、今「フリーランス」という働き方に注目が集まっている。副業を含むフリーランス人口は、今年1100万人を超えたという調査もある。(フリーランス1100万人時代、支援サービス広がる – 日本経済新聞

今回は、そんな昨今注目を集めているフリーランスを支援する「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」を取材し、代表の平田麻莉さんにお話を伺った。

〜平田麻莉さん〜
大学3年の頃にできたばかりのPR会社に入社し、仕事生活を送る。その後大学院に入学し、博士課程の学生をしながら大学からの業務委託の形で広報と国際連携の仕事を担当。ここで学生とフリーランスの二足の草鞋をはじめて経験することとなる。その後、妊娠・出産をきっかけに大学院を退学。2017年1月に一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会を設立し、代表理事を務める。フリーランスとして株式会社ビザスクや株式会社タスカジでも勤務。

フリーランスとして働く「働き方の選択肢」をつくりたい

私がこの協会に取材のお願いのメールをお送りすると、すぐに代表の平田さんからお返事が来た。取材の依頼は快諾。何回かのやり取りの中で、フリーランス協会の資料をお送りいただいた。その資料を一読して、私が思ったのは「きっと、フリーランスの人たちが待ち望んでいたものがここには沢山あるのではないか。」ということ。
フリーランス1100万人時代と言えども、フリーランスを取り巻く環境はまだ決して整っているとは言い難い。例えば会社員なら少なからず会社に守られている一面があると思うが、フリーランスならば裸一貫で取引先と取引しなければいけないシーンがあるだろう。そんなときの不安は会社員のそれとは全く違うはずだ。

フリーランスとして2回の出産・保活を経験するなかで、日本の中で”規格外”感を感じた。
そんな経験から、フリーランスとして働くという「働き方の選択肢」をつくり、社会のなかでの柔軟な働き方を整えていきたいという思いが、この協会を設立することになった思いの一つになっている。

と平田さんは語った。

メルマガ会員4000名のフリーランス協会が目指すもの

フリーランスによるフリーランスのためのインフラをつくりたかった。

と語る平田さん。協会は誰もが自分らしく働ける社会の実現を目指す。決してみんながフリーランスになるのを推し進めることが目的ではない。

フリーランスはその業務の形態上、どうしても共に情報交換をし合える仲間が作りづらかったり、1人で作業することも多いため孤独を感じる人も少なくないという。そのため、協会ではイベントやセミナーを定期的に開催して、フリーランス同士の交流を促進する活動を行っている。また、国に対して働き方改革やフリーランス支援の働きかけを行うなど、積極的に社会に対して提言も行っているそうだ。
協会は2017年1月に設立され、まだ1年も経っていないが、登録メルマガ会員数は4,000名を超える。協会が提供するサービスの核となるベネフィットプランを使える一般会員の数も550名を超えた。Facebookのいいね数も2,000以上だ。メルマガ登録の際にも「こんなサービスを待っていました。」といった、ユーザーからの反響も少なくなかったという。会員のボリューム層は30〜40代。ユーザー層としては、クリエイティブ系が一番多いそうだ。

みんなが望んでいたけれど出てこなかったサービスが誕生した

協会が提供する有料のベネフィットプランについて少しまとめてみたい。このベネフィットプランは、フリーランスやパラレルワーカーをターゲットとしているサービスで、年会費1万円を払えば誰でも入会が可能だ。
内容は、業務上の賠償を補償してくれる賠償責任保険や所得補償精度、税務・法律関係の相談対応、健康診断や人間ドックの優待、温泉などのリラクゼーション施設を優待価格で利用できる福利厚生など極めて多岐にわたる。
その上、フリーランスの使用者が多いチャットサービス「Chatwork」の有料会員権も無償提供される。実際、「Chatwork」の優待はかなり好評だという。
正直私がフリーランスだとしたら、今すぐにでも加入したくなるようなコスパの高いサービスだ。

フリーランスには「ゴレンジャー」的な魅力がある

フリーランスについて平田さんにお話を伺っている最中に、興味深い言葉を耳にした。それは、

フリーランスには「ゴレンジャー」的な魅力がある。

ということ。「ゴレンジャー」とは赤・青・黄色など様々な色のヒーローやヒロインが戦う、いわゆる戦隊モノのテレビ番組のことだ。そのゴレンジャーの姿は、フリーランスとしての働き方に重なるそう。
フリーランスは、それぞれが自分の個性や才能を活かして働いている。例えば、1人はデザインが得意だったら、もう1人はライティングが得意といったように、みんなそれぞれの専門性がある。

専門性がチームになって掛け合わさったときの快感が、フリーランスにはある。

と平田さんはいう。
それぞれが自分の個性や才能を活かし、それを掛け合わせて大きな仕事をするという平田さんの考え方には、私自身とても共感が持てた。

フリーランスは「スキルや知見に対して対価をもらうシビアな働き方」

終盤に、平田さんにフリーランスとして働くということについての考えを伺った。
フリーランスは会社員と違い自由だから良い、などとフリーランスに対する肯定的な意見を多く耳にする昨今だが、

フリーランスは「スキルや知見に対して対価をもらうシビアな働き方」だ。
プロであるということは再現性があるということであり、どんな状況でも結果を出すことが求められる。フリーランスは時間を切り売りしているのではなく、パフォーマンスを売っている。

と平田さんは語る。

そのため、平田さんは続けて

いきなりフリーランスになるのではなく、まずは会社員として雇用を確保されている状態で、副業的に仕事を行い、そこで成功が得られた場合、独立してフリーランスになるという働き方も考えてみるとよいのではないか。

と提案してくれた。しかし、現状は副業を許可する企業が増えてきているとはいえ、まだまだ副業が許されていない企業も多い。だから、平田さんは日本の働き方の現状について

副業をすること、フリーランスとして働くこと、また会社員に戻ることなど様々な働き方が自由に選択でき、そのなかに流動性が確保されるような労働環境を整備していくことが今後必要だ。

と語った。また、地方の疲弊と東京一極集中についても、

東京一極集中による地方の疲弊を食い止める手法として、フリーランスやパラレルワーカーという働き方が有効だ。また、二拠点居住やワーケーションといった、「段階的移住」を提案している。

と平田さん。
いくら地方創生といっても、いきなり今ある仕事を全て地方に移したり、地方移住を決めることは容易ではない。これからは、このような場所に囚われない新しい働き方の重要性やニーズはよりいっそう高まっていきそうだ。

これからの働き方を考えていくために

冒頭でも書いたが、昨今様々な場面で耳にすることが多い「働き方改革」という言葉。
副業解禁など社会でも少なからず変化が起こりつつある。そんななかで、平田さんはフリーランスに焦点を合わせ、その立場から働き方改革を主導している。フリーランス協会が目指す「誰もが自分らしく働ける社会の実現」―それは決して容易なことではないだろう。しかし、誰かがそれを推し進めようとしないことには何も前進することがないのは確かだ。
今フリーランスとして働いている人はもちろんのこと、そうでない人も将来の働き方としてフリーランスがより身近になっていることは想像に難くない。これからの日本では社会の変化とともに、きっと今以上に多様な働き方をする人が増えていくことは必至だろう。
協会への取材を通じて、私は今後の日本社会での働き方の一歩先を垣間見ることができたような気がした。

(取材・編集・構成:佐々木圭太 / Startup Times編集部)

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