酒井聡
2011年、株式会社マイナビ新卒入社。大学や専門学校の情報を取り扱う教育広報事業部にて、情報誌の編集、マーケットリサーチ、プロモーション、営業支援などの業務に就く。進学情報誌「進路のミカタ」創刊にて、編集デスクを務める。2012年、株式会社ランチェスターにてウェブアプリケーション、スマホアプリケーションの開発をメインとする当社にて、複数のプロジェクトに従事。2013年、中小企業診断士資格を取得、株式会社 Present Square執行役員就任。2014年サイバーエージェント主催の「アントレプレナー・イノベーションキャンプ」で優勝し、同社より出資を受けて株式会社ニューロープを起業。
矢野経済研究所によると2016年の国内アパレル総小売市場規模は前年比98.5%の9兆2,202億円、紳士服、婦人服、ベビー・子供服いずれも減少している。一方で通販チャネルのシェアが高まっていく見通しで、ファッションテックと呼ばれるIT企業が成長を見せている。
その中でファッションに特化して様々なAIをリリースしているスタートアップがある。それが「NEWROPE」だ。
ひとことでいうと「ファッション特化の人工知能を使った分析、レコメンドシステム」をアパレルサービス企業に提供している会社です。
中核になっているのは#CBK scnnr API。
#CBK scnnr はどんなエンジンなのだろう。
CBK scnnrはファッションスナップの解析をして、アイテム分類しアイテムごとのタグ付をするAIエンジンです。そのエンジンをAPIで利用し、ECサイトでのレコメンド、オウンドメディア内などでのメディアコマース、EC内での画像検索、接客チャットボット、
ファッション特化のアドセンスサービス、SNS等でのファッショントレンド分析、売り場でのカメラを使った顧客ファッション解析まで、幅広くサービスを開発して提供しています。
どんな顧客がいるのだろう。
EC、出版社、アパレル(SPA)さんまでファッションの画像を持たれている会社に幅広く使っていただいています。特にアパレルのSPA系企業さんはは品数が多くて当社のAIが力を発揮しやすいですね。社名は明かせないことが多いのですが、モバオクさんではメディアコマース、マガシークさんでは画像検索をご利用いただいたりしています。
『モバオク』内に新しく展開されたWebマガジンの『M/Mag.』。記事に掲載されているコーデに気に入ったものがあれば、読者はワンタップで類似商品を『モバオク』出品アイテムから検索できる。各社が展開するオウンドの収益化に有効な仕組みだろう。
マガシークではユーザーがSNSや雑誌、街で見かけた商品、コーディネートの写真などをアプリへ読み込むと、読み込んだ商品の類似商品が出てくる。テキスト検索の頻度が減っているスマホユーザーに有効な施策だ。
ただ、画像認識の領域は競合も多い。
競合さんと比較すると、精度が自慢です。優位性が3つあります。ひとつは2014年からコーディネイトアプリをやってるので教師データがたくさんあります。もうひとつは画像を言語化してタグ付しているので画像だけでなく言語との掛け合わせができることです。最後にチューニングもずっとやっていますのでノウハウも溜まっています。
特に言語化しておくと、チャットボットでの展開なども強いのですが、画像認識の多くは似た画像を探すものですので、ここまで言語化できているところも珍しいかもしれません。
ファッション解析LINEBOT「ファッションおじさん」などはその成果のひとつと言えるだろう。
言語化されている画像データは今後の自然言語への展開なども考えやすい。
なぜこのようなサービスを始めたのだろう。
元々起業ってかっこいいと思っていて、領域×サービスを掛け合わせてアイデアだしたりしてたんですが意外とファッション×テックで勝っているものがなかったんですよね。そこでサイバーエージェント主催の「アントレプレナー・イノベーションキャンプ」に応募したら優勝しました。出資ももらえてコーディネイトアプリ「CUBKI」を始めました。
現在も「CUBKI」は運営されている。
そこからAIに至るには紆余曲折があったようだ。
「CUBKI」はスタイリストが提供するメディアですが、それ1本だと厳しいかったですね。インフルエンサーを抱えていたのでイベント送客とかもやってみましたが、当日来ないとかトラブルもあって自分に向いてないなと考えました。あとはSEOや記事作成もやりましたけどライティングの安値競争はつらくてやめました。
気づきはメディア運営の中にあったそう。
「CUBKI」のファッションスナップの中にアフィリエイトをいれると結構購買してくれることに気づきました。マッチしたアイテムを自動で挿入できるようにと考えて、そこからAIを作りはじめました。
プレスリリースを出すまで1年、初期で解析しなければいけない物量が大きくてデータを解析する時間がかかりました。そのあと教師データの追加などもしたのでさらに時間がかかりましたね。
アイテム組み合わせのレコメンドBOTなどは、スタイリスト発のメディアを運営したノウハウが生きている。
起業からの積み重ねが現在の優位性につながっている。
将来を聞いた。
直近はファッションテックNO1を目指しますが、ヘアスタイル、メイク、インテリアまでAI領域を広げていきたいです。
酒井さんはその先も見据えているようだ。
テクノロジーをとがらせてサイエンスティックな会社にしたいですね。個人としては自然科学に興味があって、ユーグレナ、昆虫食、とかにも興味があります。サメの肌構造を活かした飛行機とかあるじゃないですか、そういうのはわくわくします。フロンティアが楽しいと思っているので感性を科学するみたいな方向性もあるかもしれないですね。
まだ構想は始まったばかりだが、ファッションを超えてテクノロジー企業として成長する構想だ。
取材担当進藤
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