上ノ山 慎哉
1983年 新潟県生まれ。大学卒業後、ダイレクトマーケティング支援事業のファインドスターに入社。新規事業立ち上げ、営業マネージャー、グループ会社役員を経験。東日本大震災を機に起業を決意し、退職。同社からの出資を得て、2012年7月にスタークス株式会社を創業。代表取締役に就任。インターネットを活用したサービスの開発、販売を行う。孫正義氏の後継者プログラム『ソフトバンクアカデミア』最終合格。
ECの市場拡大に伴い、発送・配送の担い手の確保やカスタマーサポートの現場などで多くの課題が発生している。一方で国内の生産年齢人口は減少傾向にあり、人材確保は容易ではない。
それをチャンスと捉えEコマースの課題解決をするスタートアップがある。それが「スタークス」だ。
クラウド型・物流プラットフォームサービス「リピロジ」とLINE@に特化したカスタマーサポート・ツール「CSクラウド」を運営。どちらもITを活用し、ECの「コスト削減」と「高品質」を同時に実現するプラットフォームサービスです。
スタークスのサービスは2つ、まず1つ目は「リピロジ」だ。
リピロジは、化粧品・健康食品・食品など定期販売商材を扱うEC企業を中心に、わずか2年で420社以上のEC企業様に導入頂き、月間150万個以上の荷物を取り扱っています。
導入いただく理由は3つあります。
ひとつは、発送代行をクラウド化することで、配送費だけではなく発送業務にかかるコストや地帯別料金の最適化など、発送代行に関わる様々なコストを削減します。
ふたつめは、これまで手作業に頼りがちだった発送業務を「システム化」「専任コンサルタントによる倉庫管理」「倉庫間ナレッジ共有」といった“仕組みの力”を使うことで、誤出荷率は業界平均の1/6まで減少しました。最後に、クラウド化によって拠点分散することで、発送業務のリスク分散やリードタイムの短縮も実現しています。
社会課題になっているECの流通問題にフォーカスしたサービスの為、顧客からの要望もあつく、一気に実績を伸ばしてきていた。
ではどのようにしてスタークスは生まれたのだろう。
代表の上ノ山は、ベンチャー企業に勤めた後、28歳の時に起業しました。日本は課題先進国と言われますが、その日本で「成長産業×社会課題」を事業で解決する事業をやりたいと考えました。
成長産業としてEC市場に注目し、販売後のバックヤードに多くの課題がある事に気付きました。EC市場が成長する一方で、労働人口減少という社会課題により様々な問題が起きていました。
例えば、配送会社のドライバー不足は深刻な問題です。送料無料、即日配送は当たり前に求められ、また再配達率は50%ほどとも言われています。EC市場の成長の歪みが、配送の現場にしわ寄せられ、荷物を運ぶ側の人々の構造的不利がひどくなっていると思います。今後、ECが伸びなくなることはありえない。そこでECのバックヤードを革新するプラットフォームを構想し、EC物流の最適化を始めました。
ECは成長の一方で多くの課題が生じ、人口構造上人材確保は容易ではない。まさに「成長産業×社会課題」だったわけだ。
ITによる効率化は理解できるが、どう考えて、配送最適化に取り組んだのだろう。
1か所の倉庫からいろんな荷物を全国へ配送するモデルがいづれ限界がくると考えています。
配送会社に利を生み出す仕組みを作るために、実行しているのが「受注予測・最短距離・再配達なし」の3つの取り組みです。まず、取扱い荷物を定期郵送物定期郵送物(サブスクリプション型郵送物)に絞りました。配送業は季節の繁閑で収益性が左右されます。定期頻度で送るサブスクリプションに絞ってやると配送会社も予測が立てやすいんです。
もうひとつは、ユーザーに近いところに配送拠点を作りました。配送エリアが広がるほど配達効率は落ちます。だからラストワンマイルを短すること。
最後に再配達率が下がるような工夫を取り入れました。パッケージや商品形状のを見直しを EC企業に提案し、ポストインできるサイズで配送を実現しました。
今後のEC市場で成長し続けるには、「配送会社に選ばれる荷物になる」ことが必要だと考えています。どんなに売れても送れなければ意味がない。
どこから手を付けていいかわからなくなりそうな課題を鮮やかに上ノ山さんは解決する。
将来を聞いた。
現在は、EC物流の現場で起きる社会課題の解決に取り組んでいますが、領域を限定はしてはいません。積極的な新規事業開発にも着手していきます。
先日、新しい事業としてリリースしたのがCScloudです。
CSクラウドはリリースしたばかり。
どんな狙いがあるのだろう。
リピロジでは、EC物流の不を解決に取り組んでいますが、EC市場で人手不足によって苦戦しているものの一つが「顧客対応」です。コミュニュケーションはECの付加価値をもっと高くできる可能性があります。
そこでCScloudというLINE@(企業向けLINEアカウント)を使ってカスタマーサポートできるクラウドサービスをリリースしました。今、最も一般的になったコミュニケーションツールであるLINE@ですが、「1:1トーク」は問い合わせ対応をチームで行うために設計されていないので、ただでさえ人数不足のEC事業者にとって、LINE@というカスタマーサポートを活用するのは非常に大変でした。
また顧客対応の現場では、LINE@だけでなくメール・電話によるサポートもまだまだ多いため、応対履歴がバラバラになっており顧客対応の難易度が増しています。
そんな悩みを解決するために開発したのが「CS Cloud」です。
今後の展望について聞いてみた。
我々は「マーケット・イノベーションで社会課題を解決し、世界に新しい可能性を拡げる」というミッションを掲げています。
日本のEコマース市場は出発点に過ぎません。スタークスの事業領域は国・地域、地域に存在する社会課題とその課題を解決できる産業の掛け算で成り立っているので、今後、事業領域は大きく拡大する余地があります。
たとえば、日本が直面している少子高齢化に伴う労働者不足も、少し遅れてアジア諸国の課題となるはずです。課題解決の先駆者として世界への挑戦も見据えていきます。
取材担当進藤
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