山口 公大
神奈川県出身、慶應義塾大学環境情報学部卒。2010年株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。様々な新規事業立ち上げを経験。15年に米IT企業Sprinklrの日本支社を創業。同社社長室室長となる。渋谷のSTARTBAR創業オーナー。プライベートで18年2月にアフリカ最高峰キリマンジャロに登頂し、麓でキリマンジャロビールを振る舞われた際、登山の記憶がそのビールに保存される感覚を体験し、同じような、人生の挑戦を彩るビール作りに興味を抱く。18年7月Sprinklrを退職。個人事業家として、常に自分の山に向かう人を応援し、繋いでいくブランド“TRYPEAKS”を立ち上げる。
取材担当こばやし
オリジナルクラフトビール“TRYPEAKS(トライピークス)“を、11月の第1弾販売を目指して作っています。現状は会社を作らずに、本業を持つ個人20名ほどでプロジェクト立ち上げ過程を共有したり、分業をしたり、外部からのご意見・ご協力を頂きながら、日本を代表する新しいビールを作るべく頑張っているところです。
取材担当こばやし
“TRYPEAKS(トライピークス)“という名前には、自分の人生に立ち向かい<TRY>+それぞれの山に登る<PEAKS>、という由来からきています。どんな一歩でも、前に進む全ての人を支え、労い、応援することによって、 また新たな一歩を踏み出させる。そんなブランドを作り上げたいと思っています。
第1弾のビールでは、“長野県産国産ホップ“を採算度外視でふんだんに使い、記憶に残るような強い香りのエールビールを作っていく予定です。また、発酵を終えてすぐの若いビールを手詰めで提供することによって、TRYPEAKSの挑戦の始まりを表すような爽やかなビールにできればと思っています。
“採算度外視・常に変化“で最高のビールを追い求めるTRYPEAKSに関わり続けていただくことにより、支援者みなさまの日常が少しでもドキドキワクワクするようなプロジェクトにしていきたいですね。
取材担当こばやし
2015年の2月に友人が構想した、学生が無料で飲めるバー“STARTBAR”の立ち上げに創業オーナーとして関わりました。学生は大学受験の延長で内定をもらうのが難しい大手人気企業へ盲目的に就職をしている。
社会人になると正解のない世界を走っていかなければならなくなるのにも関わらず、です。
心の中では、やりたいことがあったり、挑戦してみたいことがあるのに、世間体に引っ張られて個性が消えていく。
こんなおかしな状況を、まずは学生と社会人がフランクに交流できる場を作ることによって、少しでも解消していきたかった。結果、20社を超えるベンチャー企業に出資をいただきながら、年間で1000名ほどの学生と出会い、BARという場から色々な個性が花咲くことがわかりました。こういう場を作ってわかってきたことは、人は誰もが何かしらの山(夢や目標)を登っているんだ、ということなんです。山が大小関係なく美しいように、個々が持つそれぞれの山は優劣なく一様に美しく、その人の人生の大事なストーリーになっていて。山に向かうことは本当に辛いことで、時に理不尽で不条理だったり、批判されたり、バカにされたりすることだってある。ただ、そんな中でも、一歩を力強く踏み出し、着実に前を向いて進んでいる人が数多くいます。そして、そういった人が向かう先にある景色は、どんな時も、成功や失敗を超えた、心の繋がる信じあう世界なんです。この瞬間を応援し、色々な人に共有したい。そう思うようになりました。
そんな想いを持つようになった今年、プライベートでアフリカ最高峰のキリマンジャロ(5,895m)登頂に挑戦しました。無事頂上へたどり着くことができて下山した際、穏やかな喜びに浸っている中、麓で振舞われたのが、キリマンジャロビール。一緒に登ったガイド・コック・ポーター・仲間と乾杯をした時、登山のみならず、これまでの葛藤や体験が、カセットテープを再生するように戻ってきて、それぞれのストーリーを全員で話し始め、互いに繋がっていったんですよ。
この時に直感で、今までやりたかった、“人の挑戦を応援し、繋ぐブランド“をビールで作れないかと具体的にイメージするようになりました。
取材担当こばやし
これは2つあって、 まずは、このビールを提供する場を挑戦が生まれる場所に限定していることです。現在のビールの飲用シーンの多くが、”疲労の忘却”・”ストレスの解消”といったようなものになってしまっていると思っていて。我々は挑戦を応援するというコンセプトを大事にしたいので、”挑戦が起きる瞬間”・”目標を見上げて武者震いする瞬間”に限定していきたいと思っています。そのためにも、飲食店や酒販店では販売せず、コワーキングスペースやゲストハウス、企業に卸していきます。
もう1つは、ビールの味が定期的に変わっていくことです。麦の種類、ホップの種類や量、副材料を変更しながら、ビール自体が変化し、最高のビールを目指した挑戦を繰り返していきます。 単純に飲み物としてだけでなく、定期的に届くビールが変わり、ビール自体が変化・挑戦し続けることで、結果買っていただいた方々の挑戦を後押しする。
このビールがなかった時よりも、人生が楽しいものに変わるというところまで目指しています。
取材担当こばやし
クラウドファンディングのやり方を色々調べていく中で、クラファンを成功させるためには2つのことが重要だろうと考えていました。
1つ目は初動の選挙戦。思いの旗を立てた後は、ひたすら泥臭く地上戦で、制作者や関係者を集めていく。
作り手に回る人数が100人いれば、100人は確実に買う。そして100人がその周りに伝えてくれる仲間になってくれる。
「プロジェクトが始まる前」にこれをどれくらいやれるかで初動の立ち上がりは決まると思っていたんです。
今回はスタート時に、20名ほどが作り手に回っていて、50名近くの方には先にコンセプトを伝えながら、サンプルのビールをタダで渡して回って。その後でプロジェクトを公開しました。結果として開始数時間で目標の100万円を達成することができたと思います。
取材担当こばやし
2つ目は、生産者と消費者の境界線を溶かすこと。今回のプロジェクトのリターンは、資料を全公開していたり、プロジェクトに参加できたりするような、作り手側の空間をオープンにしています。支援者はその空間に「がっつり入り込んだり」・「たまに参加したり」・「見学だけしに来たり」といった様々な形で生産者と消費者を行き来することができます。
ビールの購入から体験の購入に変えることにより、定着してくれる人が増えるのではないかと考えています。
これは今まさに現在仮説検証中ですが、すでに作り手側に続々と人が集まってくれており、手応えを感じています。
取材担当こばやし
挑戦する人を増やし、成功や失敗を超えた心の繋がる世界を広げたいです。
映画のグレイテストショーマンが好きで、その世界観が近いですね。個々が自分の人生に向き合いながら輝いて、その集合体で世界が出来上がっているような。
このビールがその世界観の入口です。ビールというプロダクトは間口が広くて、多くの人の挑戦に立ち会うことができるプロダクトです。だからこそ、我々のビールをそういった場で手に取ってもらえるよう、徹底的に渡し方をこだわって、より多くのストーリーに関わっていきたいと考えています。
そして次はその人たちやストーリー同士をつなぎ合わせてコミュニティを作り、挑戦の輪を広げてベースキャンプのような空間を作りたい。その空間ができれば、さらにそれを展開していきたい。
個から村、村から街、街から都市、都市から国というようなイメージで、目指す世界観の規模をどんどん広げていきたいと思っています。
定期的に味が変わっていくビール。日々刻々と変化していく現代の世相を表すような、そんなプロジェクトが動き始めました。今後の動向に注目したいところ。まずは第1弾の発売が今からとても楽しみです!
取材担当こばやし
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