大月聡子
株式会社Phybbit 代表取締役社長。2011年、首都大学東京 理工学研究科修了後、Phybbitを創業。複数社のアドテクサービスの受託開発を経て、自社サービスのSpiderAFを新事業としてスタート。現在、コンサルティング・営業・PR業務をメインに従事。
アドフラウド(Ad Fraud)は日本語にすると「広告詐欺」や「広告不正」と言われ、ボットによる成果の水増しや、ディスプレイ広告でインプレッションを不正に発生させ広告費をだまし取る行為などを指す。アドフラウドの問題点は、広告を掲載した広告主やネットワーク事業主が、アドフラウドによって、広告費をだまし取られてしまうところにある。そのような問題を解決する、広告とネットワークのアドフラウドを検知して広告を守るアドフラウド対策に特化したサービス「SpiderAF」を紹介する。
「SpiderAF」を一言でいうと「国内最大級のアドフラウド対策ツール」です。また、「SHARED BLACKLIST」という「SpiderAF」を利用している人たちでブラックリストをシェアする広告配信事業者様向けのサービスを展開しています。
具体的に言うと、クライアントから広告のデータを受け取り、それを分析して、アドフラウドのリストを提供します。それに応じて、アドフラウドを検出したり、請求除外ができたりするようなサービスを提供しています。
「SpiderAF」のダッシュボードの画像になる。独自のAIがアドフラウドを検知してのスコアリングしている。ダッシュボードからアプリやサイトのデータを簡単にインポートできる。
「SHARED BLACKLIST」においては、国内大手の広告配信事業者による毎日数十億ものデータを解析したリストによる精度の高いアドフラウド対策からブラックリスト情報を共有することで、不正・ブランド毀損かどうか事前に確認でき、アドフラウドの未然防止まで行える。
ユーザーとしては、主に広告主とネットワーク事業者ですね。最初、私たちのサービスはネットワーク事業者向けに作られましたが、その後、口コミの広まりで広告主から問い合わせがくるようになったため、広告主へのサービス提供を始めました。
競合としては、海外サービスでいうと中国のデータバイザーとドイツの24 metricsです。ですが、これらのサービスと異なる私たちの強みは、日本のマーケットをよく理解しているところです。ドイツや中国の競合会社が理解していないような日本独自のマーケットの特性をよく理解しているので、日本のマーケットの分布などに非常に強いところが私たちの強みですね。
起業の経緯について聞いた。
以前は、大学院で原子物理学を専攻していました。就活はしておらず、大学院の修士最後の秋口に、事業仕分けが行われた際に「お前らは好きなことやってお金もらえてるからいいよな。1円でも稼げるようになってから文句言え」と言われた際に、反骨精神で勢いで起業したのがきっかけです。その当時はこれをやろう!ってよりかは見返してやろう!という気持ちが大きかったです。
起業後は、スマホアプリの受託やアプリに対する広告や検索ツールの受託から始め、その受託業務を行うにつれて、広告に対する知識やツール開発力を身に着けていきました。そして1年前に「SpiderAF」をリリースし、今年会社創設9期目を迎えました。
社名の「Phybbit」はPhysics(物理)とRabbit(うさぎ)の略語です。Physicsは起業当初物理系の人が多かったことから、Rabbitは起業した年が兎年だったことから、それを合わせて「Phybbit」という社名にしました。
将来の展望を聞いた。
プロダクトの営業という点において、この1年間で成し遂げたいことはグローバルでの売り上げ実績を毎月1,000万円近く生み出していくということですね。日本での売り上げはいい感じに伸びていますが、世界から見れば、日本という離島でいくら売り上げても、規模は小さいです。なので、グローバルでの売り上げを伸ばして海外展開して、規模を拡大していきたいです。まずは、日本からプロダクトの営業を始めて、私たちのプロダクトに対するニーズがある国があれば海外展開していきたいと思います。また、時代が変化するにつれてアドフラウドの市場がなくなる可能性もありますが、私たちには、ブラックリストやセキュリティーシステムのノウハウがあります。それを活かして、ほかのマーケットでのセキュリティー強化に貢献していきたいです。
アドフラウドというニッチな分野でグローバル展開を目指す「Phybbit」をこれからも応援していきたい。
取材担当阿部
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