松本悠利
2008年、東京大学大学院広域科学専攻物理部を修了後、アメリカのSchlumberger Limitedに入社。地下の石油埋蔵量を計測し、石油メジャー各社にデータ提供するエンジニアとして活躍。業界不況により退社後、独立・起業を決意。2017年8月、個人間でカメラや工具などをレンタルしあえる『Anyble』のサービスを開始。2018年3月にAnyble株式会社を設立、代表取締役社長に就任。メーカー各社が保有する精密機器のBtoBシェアリングをプロデュースするWebサービス『Ekuipp』を運営。
製造業には欠かすことのできない精密機器。しかし、精密機器は使われなくなると廃棄してしまうことが多く、ゴミになってしまい環境にも影響を及ぼす恐れがある。そんな問題を解決する、法人間での計測器・測定器の売買のサービスを展開する「Anyble株式会社」を紹介する。
「Anyble株式会社」を一言でいうと「計測器・測定器が法人間で直接売買できるオンラインマーケットプレイスを提供する」サービスです。主に、「Ekuipp」(エクイップ)という精密機器のマーケットプレイスを提供するサービスの運営を行っています。
具体的には、総称してマザーツールと呼ばれる計測器・測定器の売買がオンラインでできるマーケットプレイスを運営しています。電球から発せられる光量、部屋の温度、風量や木面の粗さなどを微細なレベルまで測ることのできる様々な種類のマザーツールを売買することができるサービスを展開しています。
「Ekuipp」では、電子、物理、化学といった多岐に渡る分野の精密機器ができる。
波形測定・データ収集の分野だけ見ても、オシロスコープやネットワークアナライザーなどかなり豊富な機器と多彩なメーカーの商品が取り揃えられている。
ユーザーとしては、電気メーカーさんのような製造業を行っているメーカーさん、中古買取業者さんがいます。あとは、リースアップという、一般の賃貸借やレンタルのようにお客様が業者から機械を借りるリースの期間が満了して使わなくなった商品を売るリース会社さんも私たちのユーザーです。
競合としている企業は現状日本にはありません。海外では、計測器や測定器の売買をしている企業さんはありませんが、備品や農機具の売買を行っている企業さんや医療器具のレンタル・シェアリングを行っている企業さんはあります。ですが、BtoBでのマーケットプレイスの需要があることを知っていることや、日本の測定器の海外からの価値が高いことが私たちの強みです。
起業の経緯について聞いた。
以前は、測定器を作る外資系の開発のエンジニアとして働いていました。ですが、倉庫管理をするたびに無駄が多いと感じていました。そして、私が働いていた会社の開発部門が日本から撤退したときに、いいきっかけだと思い起業しました。
起業後は、まずシェアリングはどのようなものかCtoCのレンタルをやって学ぼうとしました。そして、投資家さんに会って、話しを聞いていく中で、そんなにCtoCは甘くないということに気が付きました。そこで、自分のバックグラウンドを活かせて、元々やろうとしていたBtoBへとシフトし、今年で会社創設2期目を迎えました。
社名の「Anyble株式会社」はAny(どんなもの)とable(可能)の略語で、「どんなものでも可能にする」という意味が込められています。
将来の展望を聞いた。
測定器とかよりも、製造業において「この余ったものどうしよう」となったら、「とりあえずEkuippに持っていけば大丈夫」「Ekuippに持っていけばなんとかなるよ」みたいな感じで、まず1番最初に製造業の方が立ち寄る会社になりたいです。しばらくは、サービス自体の知名度の向上と流通の増加を目指して、1プロダクトでやりきるということをしていきたいです。そしてどこの国でも測定器・計測器は、同じ基準を用いているので、海外でも日本の精密機器は使用することができます。ですので、将来的には、日本で培ったブランド力を活かして、日本の計測器や測定器を東南アジアのマーケットプレイスへと海外展開をしていきたいです。プロダクトにおいては、直近1年で出品数1000点を目指し、100法人の参加を目指していきたいと考えています。
日本だけでなく東南アジアといったグローバル展開を目指す「Anyble株式会社」をこれからも応援していきたい。
取材担当阿部
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