平井瑛
株式会社estie代表取締役。東京大学経済学部卒業後、三菱地所に入社。米国・英国・ASEAN・中国における不動産投資運用、賃貸、開発に従事。新事業創造部を兼務し、新規事業を企画立案。その後、東京のオフィスビル賃貸営業を経験。2018年12月株式会社estieを創業。
スタートアップ企業はオフィス探しで苦労する。苦労して探しても良い物件が見つけられなかったり、物件を見つけても移転の際にトラブルに見舞われたりすることがある。そのような問題を解決する、スタートアップ企業でも簡単にオフィス探しができるプラットフォームを提供する株式会社estieを紹介する。
サービスを一言で言うと、「オフィスの借り手と貸し手を結ぶマーケットプレイス」です。
流れとして、ユーザー企業が登録時に利用人数や賃料の予算など希望条件を記載すると、複数の大手仲介会社のエージェントから条件に合いそうな物件のオファーが届きます。エージェントからの情報は登録から当日~1日程度で届きます。
オフィスの賃貸となるとインターネットでは物件情報が限られていて、良い物件の情報はオフラインでしか得られないことが多いです。ですが、エージェントに関して、すでに大手オフィス仲介会社の過半数がestieに参画しているので、市場の大部分の物件情報にアクセスできる状態であり、実績のある企業と一緒にやっているため提案の精度や信頼性も担保できます。
ユーザーとしては、スタートアップの企業様が多いです。9月20日にサービスをローンチしてから、約100社の企業様にサービスを利用頂いています。
企業様の規模感としては、社員数が30名までの企業様が75%、30から100名の企業様が15%、100名以上が10%という内訳になっています。
競合として、私たちと同じビジネスを手掛けている企業さんはここ半年で市場に現れ始めていますが、今のところ飛び抜けているところはありません。Web集客に強い仲介会社はビジネスの展開上ベンチマークしており、SEOのやり方という意味で参考にしていますが、一方で仲介会社自体はestie上で物件提案をしてくれているためパートナーでもあります。
弊社の強みとして、長年の信頼と実績のあるエージェントを擁する仲介会社がパートナーとして参画しており、同じ物件の提案でも他のチャネルより賃料が安かったり、フリーレントがついたり、そういったオフライン以上のメリットをオンラインで提供できているという点が挙げられます。また、マーケットに情報が広まる前に物件を提案できるのは大手ならではでもあるので、実際にそういったことからestieにメリットを感じていただけるケースが増えてきました。
起業の経緯について聞いた。
前職は三菱地所という会社でオフィスビルの営業をしていました。その中で企業様も企業規模が小さい時はオフィスを探すのに苦労し、オフィスを貸す側も彼らにどうアプローチしたらいいのか悩んでいるという状況がありました。また、知り合いのスタートアップではオフィス移転でたくさんの苦労があったと聞き、一方で私たちが目にするような大手の仲介会社では手厚く丁寧な対応をしていたため、顧客の満足度は高いように見えました。多種多様なオフィスの需要があるのにも関わらず、オフィス選びのやり方はほとんど選ぶ余地もないというミスマッチが起きており、住宅や他の業界に比べてもオフィス市場は遅れているように感じました。そこで、オフィス探しをしているスタートアップやその他の企業が信頼のできる不動産会社と安心してマッチングできる場を作りたいと思い、去年12月に会社を設立し、4月から正式に株式会社estieをスタートしました。
将来の展望を聞いた。
今後の目標では2020年の1年間で1000社の企業様にサービスを利用して頂くことを目標としています。1000社の中で150件の成約を目指し、その後のご移転のサポートをし、お客さんの探しやすさとオフィスの提案のしやすさに注力していきたいと考えています。
現在不動産業者向けのestie proというサービスも並行して提供しており、市場データの分析基盤を開発しています。今後5年間では、estie proで事業者側の物件管理と顧客管理を洗練し、estieと結びつけることで、より能動的にお客様がオフィス移転をできるようにしたいと思います。企業のオフィス移転は業績を左右する大きな経営判断だと思うので、無駄や非効率を省き、攻めのオフィス移転を実現して欲しいと思います。
オフィスと企業の架け橋である株式会社estieの更なる進化を期待したい。
取材担当阿部
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