所山 武司(写真左)
3歳からピアノを始める。9歳の頃に時武蔵野音楽大学付属音楽教室エクセレンスコースに入学。その後ショパンコンクールin Asiaやコロラド州keyboardフェスティバルのコンクールなど一位多数。2016年にロサンゼルスのColburn Music Academyに入学。在学中にビバリーヒルズにてピアニストのJean-Yves Thibaudetと2台ピアノを共演。また、コロラド州keyboardフェスティバルの招待からMackenzie Placeにてソロコンサートを開催した。昨年、一時帰国を決意しTokyo Inter High Schoolへ入学。
小原 聖誉(写真右)
2013年AppBroadCastを創業。 創業3年でmediba(KDDIグループ)へバイアウト。medibaにて新規事業役員CBDOののち退職。 現在23社に投資・支援を行い、うち1社が2018年に上場しています。 今後の投資対象フェーズは自分が役に立てるエンジェルラウンドに特化します。 価値は、手と足と心を動かして起業家のブースターになれること、合計300名以上の起業家コミュニティ運営による起業の知恵の共有です。
中国のピアノ人口は日本の10倍いる。そして中国の人々は小さい頃から楽器を学び、良い先生に教えてもらうためにアメリカへ行くことを志す人も多い。今回は、アメリカのトップ層の音楽家の先生と中国の富裕層の音楽を学びたい方ののマッチングサービスを展開する株式会社TOKYO CREATIONを紹介する。
ーーサービスについて教えてください。
サービスを一言で言うと「アメリカのトップ層の音楽家の先生と中国の富裕層の音楽を学びたい方のマッチング」です。
中国の人は移住してでもアメリカの大学に通いたいと思っています。ですが、ビザの関係などですぐに渡航することは難しいです。また、中国では楽器を学ぶのが主流です。しかし、文化大革命の影響で西洋のいい先生が中国国内にいないのが現状です。私たちのサービスでは、オンラインでアメリカのトップ層の先生に楽器教えてもらえるので、アメリカに行きたいけど行けない中国の人が学べるだけでなく、将来的にアメリカに留学へ行く際のビザの支援をしています。
ーーオンラインでアメリカの一流の先生に教えてもらえるのは新しいですね!どんなユーザーさんがいらっしゃいますか?
ユーザーはピアノ習い始める3歳から18歳の中国の富裕層の子どもたちを想定しています。そして中国には日本の10倍のピアノ人口がいるので、かなり多くのユーザー数を想定しています。
楽器を教えて頂く先生はアメリカのトップ層の先生です。
競合は、中国国内に何社があります。私たちの強みは、富裕層をターゲットにしている点と一流の先生に教えて頂けることが強みです。
ーーどうして所山さんは起業しようと思ったんですか?
アメリカから帰国した際に、何をやろうか迷っていました。もちろんパフォーマーとして活動していくことも考えていました。しかし、日本のクラシック業界は現在衰退していて、本当にこの現状を放っておいて良いのかと非常に悩んでいました。そしてStartup hub tokyoに訪れた際に小原さんに出会い後押しをしてもらい、「日本の音楽業界に恩返ししたい」という思いから起業しました。起業後は音大生と音楽を学びたい生徒のマッチングをしようと思いましたが、ユーザーの金銭面的な問題からうまくいきませんでした。母親が中国人なので、北京でのビジネスを考え、まず中国で展開した後に日本でも展開する方向で、現在のサービスに至りました。
ーーそうなんですね!小原さんはどのような思いで所山さんに協力なさったんですか?
「私はシェルパのような存在」です。初めて所山さんにお会いしたのは自分の登壇イベントでした。熱意はあり、なによりもエネルギー量が高い起業家だとすぐにわかりましたが、後日個別に会った際に、「日本市場を対象にした音楽学習シェアリングサービス」ということで、一生懸命に作り込まれていたものの、立ち上げのイメージや日本においてのスケーラビリティは弱そうな印象を受けました。そしてなにより、所山さんの強みがあまり活かされていない事業なのでもったいないと思い、そこでその当時は出資関係ではなかったが、所山さんの熱意に負け、毎週壁打ちすることを約束しました。また、私のオフィスを自由に使ってもらうことにし、事業検討する際は徹底的に彼の強みに根差したものにしました。
彼の強みとして、
・グローバルなコンクールでの優勝経験があること
・アメリカ音楽院でのコネクション(先生・生徒)
・ピアノメーカーとの関係
・中国語ができること
・日本の企業は進出が難しいが、彼ならば参入ができることが強みとして挙げられ、自ずと日本国内に閉じたものではなく、中国市場での展開の検討をしていくことになりました。
また調べていくうちに、
・中国市場はピアノ人口が日本の10倍いること
・中国人は子供の習い事として、ピアノを第一にしていること
・中国人は子供にアメリカの音楽院に行かせるためにお金を使っていること
・日本のメーカーは中国で買われているものの、教育面では弱者であることというようなこともわかりました。
起業家である所山さんの強みや事業ポテンシャルから素直に考えると、中国人の市場に挑戦していくことは必然です。 にもかかわらず普通に考えてしまうと、つい日本人の市場に挑戦してしまう。 でも、事業企画というのは一度決め、資金調達もしてしまうとそれを推進することにコミットせざる得ません。 最初の参入市場と事業設計が肝心なので、所山さんを鼓舞し、共に挑戦していきたいと思います。 私は先輩起業家として、勝負を賭ける事業企画を大切にしてもらい目線を上げてもらいたいと思っており、事業戦略と0→1の立ち上げについてシェルパのような役割を負担しなければならないと思っています。
ーー将来の展望についてお聞かせください!
今後1年間で、ピアノ領域をしっかり展開していきたいと思います。そしてアメリカとの業務提携も進めていきたいと思います。
そして今後5年間ではピアノ領域だけじゃなく管楽器領域も広げていきたいと思います。日本においては大手の音楽教室と生徒のマッチングメディアを作っていきたいと思います。あくまで中国は通過点で、日本の音楽業界に貢献し、恩返しができるように頑張ります!
取材担当阿部
30分で取材
掲載無料
原稿確認OK