冒頭「大手企業メンター40名以上が集うイベントとなった」とのASAC會田さんの報告から始まったイベント。
8月30日(水)に開催された イベント「ASAC Batch4 Half Demo Day!!!」。ASACとは「東京から世界に誇るリーディングカンパニーを生み出す」がテーマ。「新結合による新事業創出プラットフォーム」がASACの役割となる。トーマツベンチャーサポートと東京都が共同で運営する「成果にコミットすアクセラレーションプログラム」と銘打つプログラムだ。
今回集まった9社は、モチベーション管理から、農作物の販売まで幅広い。特徴としていえるのは社会的意義の高い事業が多いことだろう。このあたりは東京都の委託を受けてプログラムを運営しているところに由来している。
3時間にわたるイベントとなったが、目次から興味があるコーナーをご覧いただければと思う。
まずは入口でパシャリ。
平日夜間の開催となったが、40名ほどの大企業メンターが集結しオープンイノベーションへの意気の高まりが感じられた。スケジュールは以下の通り。ASAC Batch4の採択企業9社によるピッチ(half demo pitch)が行われ、そののちスタートアップの事業課題に対しメンター陣がメンタリング(half demo bootcamp)を行う構成となった。
19:00~開会
19:00~19:15 opening
19:20~20:20 half demo pitch
20:30~21:00 half demo bootcamp①
21:00~21:30 half demo bootcamp②
21:30~22:00 half demo bootcamp③
2部は各スタートアップ企業による、1社4分のショートピッチが行われた。
企業ごとにトーマツベンチャーサポートの担当者がつく仕組みなのだが、ピッチごとに起業家を紹介してそののちピッチとなった。思いが強い担当者ほど語りすぎて起業家のピッチタイムを削っていき、親子の関係のような微笑ましい光景も見られた。
全ての企業が資金調達や大企業との連携を行っているのでVCや投資担当のみなさん、ぜひコンタクトを取ってみていただきたい。
ナノティス株式会社では、東京大学との共同研究により、マイクロチップとスマートフォンによるインフルエンザ即時診断デバイスの研究開発を行っている。取り扱いに専門知識が不要で、不快感を伴わず誰でも迅速に診断を行うことのできる革新的な製品を開発することにより、患者/
医療従事者双方への負担軽減、医療環境の悪い地域での的確な即時診断の実現を目指す。スマートフォンを用いるため、推奨される対応を
その場で表示する等の革新的な医療サービスや、リアルタイムでの疫学調査も可能となる。将来はジカ熱、エボラ、HIVといった多様な感染症
に技術を応用し、世界のパンデミックを抑制することをミッションとしている。
生体センサーで体内時計を可視化できる腕時計型デバイス(非侵襲型で世界初)を開発。そのユーザーに対してCBT-I(医学的効果が認めら
れている、不眠の認知行動療法)を基にした体内時計コーチングをアプリで提供することで不眠症を改善、睡眠質を向上させる「体内時計によ
る健康管理:時間健康学(Chrono Wellness)」」を実現したい。これによって、医療機関へ行かずとも不眠症、睡眠リズム障害、時差ボケ、交代
勤務による心身の不調など、体内時計の乱れに起因する不調の改善・予防できる。そのデバイスとアプリを使って、企業向けの従業員健康改
善・労働生産性の向上、最適な労働時間を設定するB2Bサービスを行う。
「チャレンジをカジュアルに」A10 Lab Inc.はテクノロジーを利用した行動変容を促す習慣化サービス「みんチャレ」で楽しく続き人生が変わる体験を提供します。アプリの平均レビュー4.7以上と好評でGooglePlayベストアプリに選ばれました。早起きやヘルスケアなど「続かない」という理由で実現できないことが多いのですが、そこにイノベーションを起こします。ビックデータの解析で人は自分から積極的に行動すると幸せになるという事がわかりました。行動する第一歩を踏み出しやすくし、行動し続けられる様にサポートする事で、今までできなかった事ができる様になる体験を提供し、習慣化でみんなを幸せにします。
海外販路拡大を希望する日本全国の食品生産者と、こだわりの日本食材を求める海外の食品輸入事業者を直接つなぐBtoBマッチング・プ
ラットフォームを構築します。既に多く輸出されている大手メーカーのナショナルブランド食品ではない「小ロット・希少性」を価値とする地方特産品や農水産品、6次産業化商品などの輸出拡大にITを活用した効率的ソリューションを提供することで、政府目標である「食品輸出額 年1兆円達成」の一助を担います。また、日本全国の魅力的な食品生産者の掘り起こしには、地方自治体や地方銀行と連携することで、地域が一体となった“食のアウトバウンド”による地方創生を実現します。
もともと日本は着物着て狭い歩幅を草履で歩いていた文化であり、靴での美しい歩き方が知られていません。特にハイヒールは綺麗に歩きに
くく、痛みや疲れなどを感じる人が多くいます。歩き方は将来の腰や膝の痛みにも影響します。しかし自分の歩き方を自分で見ることが難しく、歩き方を改善しようと考える人自体が多くありません。そこで私たちは世界初の画期的なIoTプロダクト「スマートヒール」を作ります。スマートヒールを履いて歩くだけで、歩き方が可視化され、アプリから指導してもらえるため、美しく健康的に歩けるようになります。私たちは歩き方に対する価値観を一新し、今も未来も輝ける社会を実現します。
障がい者や難病患者と家族は、生活支援に関する情報を欲していますが、取得が難しい状況です。この課題を解決するため、まず様々な場
所に散らばる情報を一元管理し、容易に情報取得できる環境をつくり、次に当事者や家族が知る「生の情報」を多くの同じ環境にある方々に容
易に共有できるようコミュニティの構築を行います。コミュニティが活性化し、多くの情報共有が実現した暁には、薬や福祉機器などの利用情報を製薬会社や福祉器具会社へ提供することで、新薬・新商品の開発に役立ててもらえるサービスへと昇華させていきます。
核家族化の進行、共働き世帯の増加等により、家族がそろって食卓を囲む機会が減少。さらに調理済み食品の普及による家庭の味の画一化
や、食の外部化が急速に進んでいる。未来の食卓から、手作りの家庭の味が消えてしまうことを危惧し、「食を起点に人を繋ぐ」そして「未来を担う子供達に、豊かな食体験を通して、家庭の味、日本の食文化を伝える」をミッションに、当該事業設立に至った。料理代行マッチングプラットフォームにおいて、より気軽に・手軽に、豊かな食体験に出会う場を創出する。
小規模なオーガニック農家と消費者を直接つなぐCtoCプラットフォーム『食べチョク』を運営しています。現在、小規模農家は生産量が安定しないために販路が限られてしまい、こだわった農作物を作っても収益が上げづらい状況にあります。一方で消費者の食に対する意識は年々高
まっており、安心安全な食品が求められています。そこで『食べチョク』では、こだわって生産をしているオーガニック農家と、高品質な食材を求める消費者とを直接結びつけることにより、小規模農家の販路拡大を目指します。そして、こだわって生産をしている農家が正当に評価される世界を実現したいと考えています。
「ファッションに特化したクラウドソーシングサービス「Sof PROJECT(ソフプロジェクト)」。ファッションデザイナーやパタンナー、ソーイングスタッフ、ヘアスタイリスト、メイクアップアーティスト、モデル、フォトグラファー、ファッションスタイリストに仕事を依頼できるサービスです。洋服・衣装のデザインや制作の依頼だけでなく、ファッションショーやポートフォリオ制作に必要な全てのクリエイターを見つけることができます。本サービスを通じて、世界のクリエイターに活躍の場を創出します。
その後、総勢40名のメンターが起業家のちらばる各テーブルに着き、30分毎にメンタリングをする「メンタリング袋叩きスタイル」のBootCampが行われた。
座席はこのようにASACのオフィス内に配置され、メンター陣がぞろぞろと回っていく仕組み。
各テーブルごとにテーマが設定されている。ブランディングのためのメディア戦略、メガベンチャーへのロードマップ、ユーザーのインタビューなども行えているはずなので、それをどうサービスに反映するか・・・など幅広く多くの課題が設定されており、各テーブルにはそこに造詣の深いメンバーがアサインされる仕組みだ。
こちらのテーブルではリアルのインタビュー結果をどう生かすべきなのかが語られた。お酒も入りながら堅苦しい雰囲気ではない。このテーブルは女子2人のテーブル。
ビビットガーデンは農産物の直販を行っているのだが、リアルの場でのヒアリング結果「マルシェでは色鮮やかな野菜が売れる」のだが、Webサービスそれを反映するには?ユーザーニーズがあるかどうかを確認するには?というテーマ。
「色鮮やかな野菜を買うボタン」のような安易な施策に飛びつきがちだが、どう施策を検証していくのかはどのスタートアップも悩むことだろう。2人のメンターが話を聞きながら次々に答えていく。「右脳に訴えてみては?」「こんな風にインタビューで聞いてみては?」「こういうテストの仕方もあるよ」などと起業家がなかなか思いつかない角度からアドバイスがされていく。
次のテーブルではファッションにかんするサービスを扱うSpring Of Fashon。サービスのバリューとしてどういうものがあるべきかを議論。
スタートアップ界隈では有名人?cookpadの住さんもメンター。住さんはあまり得意ではないと自らこぼしつつファッション領域にも自分の好きなガジェット分野に例えてメンタリングをしていく。これでズバズバメンタリング進んでいくのが不思議だ。やはり先達の知恵を借りるメリットがよくわかる。
創業者の保坂さんも熱く事業への思いをぶつけていく。大幅なピヴォットをしたあとなのだが、このフェーズの企業とであえるのもこのイベントの特徴だろう。
障がい者とその家族に向けた情報プラットフォーム事業をテーマに事業化を模索しているイースマイリーでは、現在プロトタイプ作成に向けてプロダクト仮説を作っている段階。
「ユーザーの最初のひとりをどう見つけるのか」という、スタートアップみんなが通る課題がテーマとしてあげられた。
初期の課題から、グロース過程の課題まで、幅広い課題を幅広いメンターに聞ける場はなかなかないので貴重な時間となっている。
最後にメンターを務める、フォーブスの九法さんが代表として「取材したくなる、筆の乗る人は思いを持っている人」逆に「取材したくない人は頭がよく見せようとする人」とメディアならではのコメントで採択企業にメッセージを送って、拍手に包まれながらイベントが終了した。
おしん記者
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