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インタビュー 2017.12.21

教育は高額商品だがブラックボックス、を解決する「教育図鑑」

矢野一輝

東京大学大学院総合文化研究科修了(社会学) NTT入社。本社 企画部、人材開発部を経て、マルチメディアビジネス開発部ではgoo、Hot Wired Japanを企画、e-Learning戦略などを担当。 その後京都造形芸術大学准教授/東京大学研究員に転身。教授業とともに受験生獲得広報、文部科学省助成5億円を獲得、“知および伝達と理解の構造化” の研究開発を行う。“コンピュータとネットワーク技術を使って大量の情報を調べ、各要素の間の関係性を明らかにし、利用可能にする”ことを目指す。研究成果を基に、2014年9月教育図鑑株式会社設立。シリアルアントレプレナー。

中学受験をする受験生がほんとに知りたいことを知ってもらうメディア

矢野経済研究所によると2016年度の教育産業全体市場(主要12分野計)は、前年度比0.6%増の2兆5162億円にのぼる。少子化の傾向にある日本にあって「学習塾・予備校」「英会話・語学学校」など7分野で市場規模を拡大している。

その中で受験生や親御さんがほんとに知りたい情報にこだわっているスタートアップがある。それが「教育図鑑」だ。

「教育図鑑」という「受験をする受験生や親御さんがほんとに知りたいことが載っているメディア」を運営しています。わが子にホントに会う教育を見つけるサイトです。

教育図鑑シリーズのひとつ、中学図鑑

進学情報領域は古くからメディアがあるマーケット。競合との違いはどこにあるのだろう。

中学受験生のいる家族の家計にしめる教育費は4割と教育は明らかに高額商品なんです。しかも違いが大きい。

高額商品は特に細かな違いを比較して購買決定したいはず、しかし調べようとすると、意外に情報がない。伝統的紙媒体は学校で30項目程度の情報が平均、所在地や校長の名前などの一般的内容が多いのです。教育費のかなりの割合を占める進学塾なんかはもっと少ない情報量になります。

Web媒体はどうかといえば、もっと少ないんです。学校も塾も、途中で取り換えることは困難な“サービス”でありながら、購入判断に必要な情報が提供されているとはいえません。

確かに塾などはチラシのイメージが強い。

中学図鑑にはある学校に関する記事だけでも多数ある

中学図鑑を例に違いを説明してもらった。

中学図鑑は400項目、他媒体と比較して20倍の情報量があります。内容は親御さんが気になること、教育側が伝えたいことをヒアリングして作っています。そのほかにも「授業料などの項目比較ができる」「中の人が発信する信頼性」「卒業生による現場取材」「ユーザーのこだわりポイントによるレコメンド」などが他媒体との違いになりますね。

情報の量、質にこだわったサービス展開のようだ。

NTT→大学教授→起業家

なぜ教育図鑑は生まれたか。

もともとNTT本社のマルチメディア企画部隊でした。インターネットを使った取り組み 人と情報をどう結びつけるか(ロボット型検索)、人と人をどう結びつけるか(SNS)、どうしたら普通の人が簡単に発信出来るか(CMS)、どう教育するか(e-Learning)、などを考え、たくさんの企画をしました。しかしNTTを取り巻く環境が変化し、次第に“面白いこと”や“まだ誰もやっていないこと”より、競争が激化するネット業界の中でいかに勝ち抜くかに重点が移っていきました。会社の方向性はとても正しいのだけれど、私自身はネット上の新しい取組みとビジネスを両方できたらいいのになあ、と考えていました。そんなときに縁あって大学の教授に誘われました。同時に自分がやりたい研究をするために文科省の研究受託に応募し、幸運なことに採択されました。

そのテーマが教育に関する情報と情報、人と情報をマッチングさせることでした。そこから大学発ベンチャーとしてスピンアウト、今に至ります。

もう一つ、付け加えさせてください。私が勤めた大学は必ずしも超有名大学というわけではありませんでした。しかし先生方や職員の皆さんはさまざまにアイディアを出し、悩みながら工夫して学生を育てようとしていました。学生は地味ながら新しいことを学ぶことを楽しんでいました。いい大学だなと思っていました。超有名でなくともいい教育機関はあるんだなあ、と。この良さを伝えるにはどうしたら良いのだろうと考えていました。この思いも教育図鑑のきっかけになりました。

 

プロダクト開発と顧客のバックグラウンドを持っての起業だったようだ。

サイトに書かれた創業のストーリー

学校や塾選びはまだ紙媒体の強い領域だがWebサービスを選択したのはなぜなのか。

実際、まだまだ紙媒体が強いのですが、Web検索の量は増えていて。まだまだ教育機関側もweb・スマホ戦略が定まっているわけではなく、トラフィックも呼べていないので、クライアントサイド、ユーザーサイドともにメリットは強いんですよね。

大学での体験と検索エンジンで得てきたノウハウが合わさって生まれたきっかけだった。

まだまだ未開拓の市場

将来を聞いた。

まだ始めたばかりで大きなことを言うのもなんですが、教育市場の広告費は8000億、Webだけでも近い将来900億円まで伸びると予想されています。

直近でも学習塾・予備校ポータルサイト「塾ナビ」を運営するイトクロさんが上場されましたが、まだまだ紙媒体が強く未開拓の市場であるといえます。

たしかに、紙媒体のイメージが強い市場ほどWebスイッチの可能性は大きいと言える。

「塾ナビ」は昨今マザーズ上場を果たしたイトクロの運営するサービス

学びの情報にこだわる理由はもう一つあるという。

学びとは“興味”を見つけて育てることだと教育図鑑のメンバーは考えています。優れた教育機関には、興味を生む=好奇心を刺激する「人」「内容」「仕組み」「出来事」があります。

興味は人それぞれ、その時々によって、異なり、変化する多様なものです。私たちは、学びにつながる“興味”を、整理し尽くし、顕在化します。そして、学びたいと考えている人が、今の自分に合った“学び”を見つけるためのガイドになりたいと考えています。

学びを促進する情報メディアの試み。成長が楽しみだ。

「教育図鑑」について知る

編集後記

取材担当進藤

プロトスター栗島さんからご紹介いただいたご縁で取材につながりました。VC、支援家、アクセラ問わずエコシステムのみなさんからのご紹介もお待ちしております!

スタートアップタイムズでも起業家のPR支援として取材を行っていますのでお気軽にお問い合わせください。

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