ファッション特化の人工知能を展開する株式会社ニューロープ(本社:東京都豊島区 代表取締役:酒井聡)は、Reality Accelerator・大和企業投資・都築国際育英財団を引受先とした第三者割当増資等で約5,000万円を調達した。
酒井聡
2011年、株式会社マイナビ新卒入社。大学や専門学校の情報を取り扱う教育広報事業部にて、情報誌の編集、マーケットリサーチ、プロモーション、営業支援などの業務に就く。進学情報誌「進路のミカタ」創刊にて、編集デスクを務める。2012年、株式会社ランチェスターにてウェブアプリケーション、スマホアプリケーションの開発をメインとする当社にて、複数のプロジェクトに従事。2013年、中小企業診断士資格を取得、株式会社 Present Square執行役員就任。2014年サイバーエージェント主催の「アントレプレナー・イノベーションキャンプ」で優勝し、同社より出資を受けて株式会社ニューロープを起業。
ニューロープは2014年に創業後、モデル着用アイテムの類似アイテムを買えるファッションメディア「#CBK(カブキ)」をリリース。しかし代表の酒井さんによると、事業立ち上げ当初は苦しかったという。
インフルエンサー約300人と提携したり、マガジンサイトを立ち上げたり、ブログに直接アイテム情報を表示してユーザー接点を増やしたりとメディア領域に注力したものの、他社キュレーションメディアが乱立する中でマネタイズに苦戦。一時は事業規模の拡大に見通しの立たないリビングデッド(生ける屍。IPOやM&Aといった出口の見えなくなった「元スタートアップ」を指す)と見なされてもおかしくない状況でした。
祖業の「CUBKI」は現在も運営されており、これが後のピボットの強みとなる。
ニューロープは2015年10月より、メディア事業を通して得られたビッグデータを元にして、deep learningを用いたAI開発に取りかかる。
学習用サーバの調達、アルゴリズムのチューニング、ビッグデータの加工など試行錯誤を繰り返しました。開発期間中の約1.5年間は、第三社のWebアプリケーションやキャンペーンサイト、パンフレットなどを開発・制作する受託事業等で資金を捻出して投資を続け、2017年4月、正式にファッション特化の人工知能をリリース。
ファッションスナップを自動解析する『ファッションおじさん』やコーディネートを自動提案する『人工知能ショップ店員のMika』がテレビ・ラジオ・ネットメディアなどに取り上げられ、話題を生みました。
PRもうまく行き、そこからファッション系のAIに特化した受託等で顧客を広げていく。
ニューロープはAI技術をメインにする企業へと生まれ変わった。
そこからニューロープは受託からSaasへの事業モデル移行を図り、ピボットを行う。
2017年6月にはディップ株式会社主催の『AI Accelerator』の一期生に採択され、プログラムの支援を受けながらビジネス開発にも注力。アパレルEC向けのリコメンドエンジンや画像検索機能、SNS上のファッションスナップを解析してトレンド予測に取り組むなど、AIを軸としたサービスを開発し、各社アパレル関連企業への導入を進めてきました。
販売実績と受注見込みを積み上げるかたちでプロダクトマーケットフィットの証明に至り、メディア事業からAI事業にピボット。確かな手応えに基づいて今回の資金調達に乗り出しました。
プロダクトマーケットフィットの実証を経て、今回Reality Accelerator・大和企業投資・都築国際育英財団を引受先とした第三者割当増資等で約5,000万円を調達した。投資家陣からコメントが寄せられている。
アパレル市場のEC化率は年々大きく上昇しており、そんなアパレル市場の中でも「アパレルEC向けソリューション」はREALITY ACCELERATORの注力領域の1つです。その中でもNEWROPEは画像解析を軸に集客からCVR改善まで幅広くサービス化が上手いスタートアップでお客様にも満足いただいていると聞いています。またAI.Acceleratorで3ヶ月支援させていただいたことがきっかけで、その後も酒井さんの営業アライアンス力、エンジニアリングが強いところ、そして何よりもリビングデッドから蘇生しレベルアップして生き返る不死身の起業家魂に惹かれて投資させていただきました。
NEWROPEは採用でも日本にいる外国人エンジニアを積極的に採用するなど、新しい働き方やチームを体現しているスタートアップでもあります。今回採用した資金を使って優秀なエンジニアにどんどん入ってもらいたいと思っていますし、サービスをさらにブラッシュアップしていってほしいです。モール型サイトの登場からアパレル業界のEC化は年々進み、消費者側の利便性はますます向上しています。電車に乗りながら、アイテムを買うことも日常的な風景となっています。ニューロープはアパレルECにさらなる価値を提供しようとするファッションテック・スタートアップです。
ニューロープの画像解析技術は、アパレルECサイトのストックから消費者毎にアイテムをレコメンドできる点がユニークです。気になるモデルのコーディネートを真似しようと思った時、ゼロから探すのはなかなか苦労しますが、ニューロープの技術を導入したECではその悩みから解放されるかもしれません。消費者にもたらす体験を向上させつつ、アパレルECの売上に貢献できる切り口が魅力的で今回出資させていただきました。
代表の酒井さんは決断力と実行力が優れている方で、メンバーも素晴らしい方々が集まっています。今回の調達資金で、さらにメンバーを増やし、事業拡大に邁進してほしいと思います。
ファッションテックの経営者だけあって、普段の酒井さんはとてもおしゃれ。
ファッションに込めた思いも語ってもらった。
人間とファッションAIがコラボする未来を作りたいと思っています。ニューロープに対するアパレル企業からの問い合わせは多く、このことは「変わらなければいけない」という業界全体の危機意識を反映したものだと捉えられます。
一方で、AIを開発するニューロープは、AIがあらゆる問題を解決できるとは考えていません。AIには明確に得意領域・不得意領域があり、良質なユーザー体験を生むには人とのコラボレーションを必要としています。
通販サイト、メーカー、小売店、ファッションテックなど、アパレル周辺領域の企業と協業することで、ニューロープはファッション業界全体の進化に貢献し続けることを目指します。各社にテクノロジーパートナーとして選んでいただくためにも、既存AIの強化や、新規AIの開発に全力で取り組んでまいります。
チームも国際色を加え、成長を見せている。
ファッションテックでまた楽しみなスタートアップの再登場だ。
取材担当進藤
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