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インタビュー 2018.03.23

「学び」を重視するエンジェル投資家が語る、投資のポイント

宮地 俊充

静岡県浜松市出身。浜松日体高校を経て、2000年4月に青山学院大学法学部に入学。在学中は、ミュージシャンおよび作家を目指し、電波少年的放送局企画部 放送作家トキワ荘などに出演。

しかしその道でプロになれず、卒業後の進路を決めかねていたときに、同じ大学のサイバーエージェント藤田晋氏の書籍「渋谷ではたらく社長の告白」を読み、音楽や番組作り以外に、会社作りやサービス作りもクリエイティブな仕事だと気づき、ビジネスの道を志す。その後公認会計士試験合格後、監査法人、M&Aファーム、ITベンチャー役員を経て2011年11月株式会社ベストティーチャーを創業。

ベネッセ、Z会、旺文社、ジャパンタイムズなど教育系大手と提携し、革新的なオンライン学習サービスを開発。2016年8月にSAPIX YOZEMI GROUPに参画。 AI、IoT、VR/AR/MTといった新規事業に取り組む傍ら、日本初「人工知能スタートアップ特化型」アクセラレータープログラムAI.Accelerator等でメンターを行なう。2017年12月にベストティーチャー退任後、エンジェル投資家・経営顧問として活動。

2018年2月、音楽活動用の法人である株式会社ティーンスピリットを創業。代表取締役社長に就任。(wikipediaより)

社会がおもしろくなりそうかをポイントに、共感できなければ投資しない

スタートアップに個人で資金を出すエンジェル投資家が増えている。しかしなかなかその活動は見えにくい。

自らも起業家として起業しExit。そのノウハウと資金を元に投資活動を行っている宮地 俊充さんに話を聞いてきた。

「シードからシリーズAの必要資金を全部出す」スタンスで、プロダクトリリースしてすぐのスタートアップに投資しています。サムライさんとかMovidaさんの金額大きい版をやって代理CFOをこなしていくイメージですね。公開している投資先はVAZやMiddleFieldがあげられます。

宮地さんの投資先の代表はこの2社だ。

VAZ.tokyo(バズドットトウキョウ)は、日本トップレベルのショートムーバーやYouTuberを抱えるプロダクション

MiddleFieldはクルマのアフターパーツ流通改革を目指す[Garage/ガレージ]を運営する

投資のポリシーなどはあるのだろうか?

特にテーマ領域はないですが、これから来る市場かつ成長市場であることは前提として押さえます。もうひとつは自分が共感できるポイントがあるかを見ています。具体的には「社会が面白くなりそうか」ですね。そこで共感できなければ投資しません。

VAZとMiddleFieldは、両方とも「今までの価値観にはなかったけど、あったら社会が面白くなりそう」というところがよかったですね。

なんでも宮地さんは月に20社程度のスタートアップと面談すると言う。起業家とのランチを週4-5日、1時間の面談。顧客紹介することもあるそうだ。実際会ってみて人として見ているところを教えてもらった。

少なくとも3-5年付き合うことになるので、仲間感が持てるかどうかです。もうひとつはPDCAが回っていることを重視していますかね。あとはフィードバックなどを一度受け入れて、採用するかどうかは別としてしっかり解釈できる人だととてもいいです。

面談から投資に進んだエピソードを聞いてみた。

MiddleFieldはプロトスター栗島さんのところで会いました。成長産業なのもわかるけど私が車乗らないし、面談の時に資本政策とかを教えて、体よく断ったつもりだったんですけど(笑)

彼らの方から「宮地さんがいいです」って言ってくれて、オフィスに遊びに行って実際チームを見てみるとNO.2がちゃんといてバランスがいいなと。もうひとつはWebでない業界にWebを入れてく所がよいなと思いました。

CEOの中山さんは「苦手なタイプだと思ったけどそういうのもアリだ」と考えたそうです。COOの片岡さんは「オフィスに来てくれた時にフラットな感じでいいと感じた」そうです。なんともバランスがいいでしょ。

VAZはもう事業としては結構出来上がっていて、個人として興味があるエンタメ分野。やらない理由はなかったんですが、いろいろ大変なこともある中、折れずにきちんと体制を戻してくるCEOの森さんの心の強さを感じたところが大きかったですね。

とにこやかに話す宮地さん。

社会的ニーズがあり、学びが大きいエンジェルという仕事

どのようにしてエンジェル投資家の宮地さんは生まれたのだろう。

起業家としてベストティーチャーを創業して、成長させることができ事業を売却して資金ができました。最初は自分を育ててくれた起業エコシステムに貢献したいと考えていたら、単純にエンジェルニーズがある、社会的ニーズがあるということから始めました。

やっていくうちに気づきがあったのは、「投資検討する流れで経営が学べる」しかも「自分以外のやり方を学べる」ということです。そして起業家には自分が得てきたノウハウを返すことができます。

最近の学びの一例を話してもらった。

原因と対策のセット「事業と組織と財務のパターン」が見えてきた気がします。

例えば、事業は「伸びない問題」が必ずでてきます。Pivot、転業なのかみたいなタイミングがやってきます。そのパターンが見えてきた気がします。組織は自分としても苦手意識がありましたが「朝社員が来ない」「中途採用したけど活躍できない」とかこれもパターン化できるようになってきました。あとは財務、調達とかは比較的パッケージ化しやすく、シード、シリーズABCでの要件定義と調達額、資金使途の相場観が見えてきましたね。

だから調達した直後の若手起業家には「すぐお金を使わなくてよい、採用要件を下げて大量採用するとすごいことが起こるよ」とか予言めいたことを言ったりします(笑)

こうして、常に最新の知識がアップデートされるのがいいところですね。エンジェル業は学びが大きいです。

エンジェル投資家は個人で投資するためリスクも大きいが、筆者が会ってきた投資家たちは学びを重視する方が多いように感じる。

資本の論理だけでない、複数の概念が併存する世界を

会いたい会社を聞いた。


一番会いたいのは社長100%で外部株主入ってない会社、ですね。当たり前か。例えば、事業分野も聞いたことがないようなところとか、ブロックチェーンとか仮想通貨も興味を持って追っています。

あとは、仕事とか会社とかの所属概念が変わってきていますのでその辺もいいなぁと。働き方改革って言うんですかね。

宮地さんの興味は実に幅広い。将来の話も聞いてみた。

結構遠い未来まで妄想していますよ(笑)幸福度を1つの指標だけではなくて、総量で見るような複数の概念が併存する世界になると予想しています。

最近はエンタメ領域でPerfumeやBabyMetalのようなドリームチームを作る新しい会社を始めました。「働き方改革」「仮想通貨」「会社形態が正しいか」といった実験をその会社でやってみたいですね。株式による調達方式が最善例なのか、ICOもありますしね。

社員を抱えてやるのがこれから現実的なのか、所属する人がいてもいいし、いなくてもいいんじゃないかとも思うんです。御社の年商は? 時価総額は? 従業員数は? みたいなものがもう古いというか時代に合わなくなってきてるよね、っていうメンバーといろいろ実験していきます。

ただ、僕自身も答えが全て見えているわけではないので、新会社についてはあまり告知してないのはそういう理由です。

新しい会社は「渋谷から世界へ。 時代を映すコンテンツを創り続ける」をテーマに始まっている。

宮地さん2回目の起業TeenSpirit

学びを重視するエンジェルでもあり起業家、宮地さんの次の投資先が楽しみだ。

「TeenSpirit」について知る

編集後記

取材担当進藤

1年前にReality.vcの郡さんのご紹介からAIアクセラのメンターをやっていただくことになった宮地さん。最近ではイベントでご一緒したりで毎回学びをもらえる方です。シードスタートアップはぜひ1度渋谷で会ってみるといいよ!

AIアクセラレーター、募集中。メンタリングを受けた人の感想はこちらこちら

「AI.Accelerator」

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