安藤正樹
2003年京都大学法学部卒業。2001年より創業メンバーとして参画している株式会社ドリコム で、営業担当取締役として、WEBサービス構築事業、社内システム構築事業、ホームページ制作事業、インターネット広告事業などの、新規事業の立上げ、事業拡大、営業部門のマネジメント全般を担当し、東証マザーズ上場に貢献する。
2009年4月、株式会社エスクリに入社し、東証マザーズ上場を経験後、結婚式場の責任者、マーケティング部門の責任者を経て、取締役事業本部長に就任し、東証一部指定替に貢献。その後、常務取締役として事業部門を管掌し、結婚式場30施設、内製部門、新規事業、HRを統括、売上262億円/ 社員数1023名の規模(連結)へ成長させた。
2016年5月、株式会社リクシィを創業。2社でIPOを経験している点、インターネット領域/リアル領域の双方に精通し、それを組み合わせたビジネスモデルを描いて実行できる点、 1人~1000人のマネジメントの知見がある点が特徴。
結婚式の挙式数は減っているが、依然3兆円近くのマーケットがある市場。しかし、ユーザーの選べる選択肢は多くない。そんなマーケットで結婚式アイテムをオンラインで自由にアレンジするサービス「Choole(チュール)」を展開するのが、リクシィだ。
ひとことでいうとチュールは「結婚式アイテム・結婚式場をオンラインで自由にアレンジできるオンライン結婚式準備サービス」です。この「自由にアレンジできる」というのがポイントで、いままでは実現するのが難しかったのです。その他にもエコシステムを作るべくブライダル向けコンサルサービス、結婚式場向けの人材紹介事業をやっています。
サイトのみかけはいたって普通に思えるかもしれない。ただ、サービスのキャッチコピーにある「結婚式するなら好きなものだけ」を実現するのは難しい。
ほとんどの式場では、花、衣装、料理などの結婚式で使うアイテムは式場契約のものしか使えないのです。例えば、今増えてきているシーンですが、インスタで探して見つけたお気に入りの衣装を着たいと思ったとします。そうすると式場側では持込み扱いになり、持込みはNGと言われたり、持込もうとすると持込み費用が取られたりします。
でもそれって多様な結婚の形がある今の時代にふさわしくないなと思って、「自由にアレンジできる」し、しかも持込み代はゼロにして組み合わせることができるようにしました。
全アイテム持込みOKというのは、婚礼業界では結構インパクトのある話だ。
普通は式場を決めて、取扱いの装飾を選ぶ流れになるのだが、チュールなら、このちょっとロックな装飾からインスピレーションを受けて結婚式場を選んでいくような、普通では逆順の選び方もできる。
どんな利用者が利用しているのだろう。
利用ユーザーはオシャレにやりたいというような人が多く、一般的には結婚式と言えば「かわいい路線」のイメージが強いかもしれませんが、「オシャレ路線」の方が多いですね。式の流れもケーキカットとか、ライスシャワーとか「あるあるなテンプレでなく自分らしく組み合わせで」というところが特徴です。
男性側もテンプレな結婚式に気恥ずかしさを感じる方は多いだろう。例えば似合う衣装を選ぶと言うより消去法になってしまい、お笑い芸人のような衣装を選ばざるを得なくなることもある。男性もこだわりを思い切り発揮できるのだ。
ありそうでなかった実にユニークなサービスだ。
サービスを立ち上げた経緯について聞いた。
元々IT企業ドリコムの創業メンバーとして取締役になり、マザーズ上場まで経験しました。そのあとブライダルのエスクリでリアルの結婚式事業の責任者を務めて一部上場までを経験しました。ITとブライダル業界の両方でITとリアルの両方を10年経験してきました。その中でやりたいことが「チュール」のモデルでした。
「自由に選べる結婚式」を考える人は多いはずだが、業界の慣習を突破して実現するむずかしさもあったのではないか。
とはいえ、やはり業界的には難しい所もあって。業界各社さんを構想を語りながら2年くらいかけて回ってきました。実際は結婚式場さん側も挙式数は伸びていないので、新しい事をやらなければいけないという意識は強く、チュールのサービスを理解していただけると賛同いただけるようになってきました。
どんな反響があったのだろう。
スタート4か月で130以上の会場・ブランドが参加しています。世間的にもチュールのリリースはAbemaTVにも載ったりと好意的に受け入れられました。今後は婚礼業界が変わっていることをPRしながら利用してくれるユーザーや、式場さんを増やしていきたいですね。
10年間の婚礼業界のノウハウ、ネットワークを活かして不可能を可能にしたような形だ。
実は安藤さんのやっている事業は、チュールだけではない。
例えば人材事業などは単体でも事業になりそうなビジネス。
なぜ人材事業なども展開するのだろう。
チュールのサービスを伸ばすのももちろんですがコンサルや人材をやっているのも、結婚式に集中してもらうためにやっています。そのために事業の課題である人、モノ、金に答えられるサービス展開を用意していき、将来的には例えば結婚式場が使っているモノの仕入れなどの経営支援まで広がるエコシステムを構想しています。
将来の展望を聞いた。
婚礼はシュリンクしていると言われますが1.4兆円のマーケットがあります。結婚式と言うマーケットにこだわって、式場、パートナー、ユーザーさんを組み合わせて価値がでるものをどんどんやっていきたいです。業界自体は大きく、変化するのも大仕事ですが、世間のニーズを我々がキャッチして、提案して業界が変化するお手伝いができればと思っています。
記念、思い出、といった接続領域にも事業を伸ばす展望のようだ。
おしん記者
AIアクセラレーター、募集中。メンタリングを受けた人の感想はこちらやこちら。
30分で取材
掲載無料
原稿確認OK