AIで特許業界にイノベーションを促進する人工知能サービス「amplified.ai」

     Samuel Davis

Founder, amplified ai
高校時代よりAIとコンピューターサイエンスを学ぶ。2010年 知財調査・分析を行うLandon IP米国本社に入社。2012年に東京事務所の立ち上げに参画し、事業の急成長を成し遂げる。2014年CPA Global によるLandon IPの買収後は、エンジェル投資家及びアドバイザーとして数々のAIスタートアップの成長に携わる。2017年 amplified aiを設立。ジャズ&ロックミュージシャン。

特許業界にイノベーションを

日本国内における特許出願数は実に年間30万件にも上る。特許要件のひとつである発明の新規性の判断は、特許庁の審査官や経験豊かな弁理士らが行う非常に専門性の高い業務だ。その分野でイノベーションを図るスタートアップ企業がある。それが「amplified.ai」社だ。

 

一言でいうと「特許業界にイノベーションを起こすAI」です。特許は新しい技術発明(インベンション)に与えられる権利で、企業はこの技術を使って市場に革新(イノベーション)を起こそうとします。様々な市場に革新が起きましたが、特許制度自体は成立から数百年に渡ってほとんど変わっていません。

 

普段の生活では特許に接する機会はあまりないだろう。実は現在業界ではかなり課題があると言われている。

例えば、審査そのものがあります。特許の出願件数は世界で年間300万件で、この10年で二倍になりました。審査は審査官が一つ一つ判断するわけですが、既に特許庁で対応できる件数ではなくなりつつあります。その結果、審査結果が出るまでの時間がかかり、どの国でも特許出願から特許登録までには3〜5年を必要とすることが当たり前です。各国の特許庁もこの問題解決のために審査記録の共有や早期審査制度など様々な対策を打ち出してきましたが、状況はあまり改善していません。審査官を増やせばいいじゃないかという話にもなりますが、結局それは特許出願の費用に転嫁され、発明活動が活発になればなるほど特許取得のコストが増えるという悪循環に陥ります。

新規性の審査は、発明と既存特許とを比較して行われます。比較対象となる既存特許は、審査官がキーワード検索や特許に付与された分類を利用して探し出します。この比較において、発明の何が新しいのかを審査官と発明者が議論するわけですが、比較できる文献はせいぜい5〜6報です。人間ですから、見落としもあるでしょうし、言葉の解釈に誤解もありえます。ときには文献に書く必要がないくらい技術的に当たり前なことが、そのことを書いた文献が見つからないがために特許になることもあります

 

従来の審査方法は規模でも、精度においても限界にきており、イノベーションを阻害する可能性があるという。

もともと特許というのは、技術開発への投資を促すための独占権を、技術の公開と引き換えに与える制度です。しかし、技術サイクルが早まり、技術分野の垣根がなくなり、訴訟行為が発展した現代では、特許の取得や訴訟回避のコストが技術開発投資を阻害する恐れがあります。我々はそこを解決したいのです。

我々のサービスでは、AIが全世界の特許公報から類似した特許を探し出し、調査レポートという形にまとめ、ユーザーに納品します。従来の文献検索は単語を検索しますが、我々のプロダクトでは文章が内包する”概念”を抽出し、ディープラーニングによってAIが特許の内容を理解した上で、類似性を判別できるようにしています。我々のAIは、過去の審査で見落とされていた文献を高い精度で発見することに成功しており、前述の審査をより高精度に自動化する可能性を秘めています。

単語での検索ではなく”概念”での類似判断を用いるamplifiedでは、レポートが下の図のように作成され、無数の概念から特許が構成されていることがわかる。

繰り返しになりますが、ここで述べた”概念”というのはただの単語の並びではありません。したがって、従来のツールでいう”概念検索”とも異なります。単語の並びは言語に依存しますが、”概念”は言語に依存しません。特許の権利発行は国ごとに行う属地主義なので、発明によっては日本語で書かれた特許しかない、中国語で書かれた特許しかない、ということがあります。そうすると、後から同じ発明が英語圏で出願されても、中国語や日本語でのキーワード検索と読解ができなければ、その発明の新規性を否定する先の出願を見つけられません。

また、技術的な概念は異なる表現がたくさんあります。例えば「半導体が特定の光を吸収する」ということは「半導体のバンドギャップの大きさ」とも表現できますし、「特定の光から電流を生じる」とも表現できます。これらの文章が同じ概念を表すことは技術者には当たり前です。我々のAIも、このような異なる単語の組み合わせが同じ”概念”を表すということを、言語によらずに理解できるのです。

我々のAIはそういった「言語」を超えて概念を理解します。どの言語で書かれたものでも、ひとたび概念を理解すれば、それと同じ概念を、異なる言語で書かれた特許文献の中から探し出すことができます。

実際の調査レポートでは、ターゲット特許と類似性の高い上位50件をリストアップ。ユーザーはリストアップされた類似案件を、様々な観点から比較できるという。

我々のプラットフォームでは検索にも対応しております。新規特許の出願時に類似しているものを簡単に検索できますので、特許としての独創性を測ることができます。類似案件を類似度から上位50までをランキングづけておりますので、新規出願時の既存案件との比較も可能です。

また、既存特許の場合では、自社の特許の防衛申請や交渉にも役立てることができます。

競合について聞いた。

競合で言うと、特許×AIのサービスはあります。そういった多くのサービスは従来のキーワード検索を利用する、独自のシステムでスコアリングする等であり、”文章の概念”による特許検索を取り入れたのは我々のサービスだけなんです。

この、言語の壁や特定のジャンルに左右されないのが我々の強みです。

 

特許関連業務のプロセス改善を行い、よりフェアなシステムに

なぜこのジャンルに着目したのか。

以前、米系企業の知財サービス会社で日本法人の立ち上げを担当しました。その際に、特許庁、弁護士、大企業等あらゆる特許に纏わる側面を観察できたからこそ、このアイディアに辿り着きました。高校時代から研究してきたAIにディープラーニング革命が起こり、このソリューションをいち早く創れる事を確信しました。

当時(今も)審査は人の手によって行われていたので、審査は属人化され、審査結果にどうしてもばらつきがあります。弁理士に費用をかけられれば、特許取得でも有利に働くことがあります。

特許はもともとイノベーションを支援するというのがコンセプトですが、これではむしろ邪魔をしてしまうと思いました。我々は特許関連業務のプロセス改善を行い、よりフェアなシステムにしていきたいと思っています

AIと特許という二つのディープな業界に身を置いたからこそ思いつくアイディアなのだろう

イノベーションのグーグルを目指す

将来をきいた。

イノベーションを守る重要な社会的役割を果たす特許のプロセスを楽にしたい。また、新規性を確認できるということはそこから新しいものも生まれると考えています。既存のものを把握すれば、そこにはない新しいものへ導くことができる。イノベーションには技術と社会へ取り組むビジネスモデル、二つの要素があります。我々は全ての分野における技術を理解するエキスパート=AIを,人々へ提供したいと考えています。

AIは人間が思いつくことと異なる発想をし、更なるイノベーションを促進できるものとして、新たな技術開発も可能となるでしょう。

 

AIは人間が思いつくことと異なる発想をし、更なるイノベーションを促進できるものとして、新たな技術開発も可能となるでしょう。

今後AIと対話しながら特許調査を自動化するソフトウェアをリリース予定です。

amplifiedの今後の展開に注目だ。

 

編集後記

取材担当中山
うーん、難しいジャンルの話ですね。特許ってなんかもっと雲の上のものだと思ってましたが、まさか人力とは。学び。

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