谷本 潤哉
広告代理店でコピーライター/デジタル・プランナーを経験。長時間かつ不規則な勤務で心身が疲弊したが、「時計を持たない1週間の無人島生活」で回復したことをきっかけに「体内時計」に興味を持つ。誰しもがそれぞれ持っている、人間本来の時間(=体内時計)を基にした新しい生き方、働き方を提唱したい。
睡眠障害は人類を長らく苦しめてきた隠れ疾患の一つだ。心身両方の健康面、労働面などに大きく影響している。全人口の比率でいうと、20%もの人が睡眠障害に苦しめられていると言われている。そこに対してIT技術による課題解決を試みるのが「O:SLEEP」を展開する株式会社「O:」(オー)だ。
一言でいうと「企業の従業員の睡眠習慣を改善し、
その利用データから組織改善を促す」サービスです。 日本では2000万人の人間が不眠で悩み、 内500万人が睡眠薬を使用していると言われていますが、 我々は睡眠医学とエンゲージメント指標に基づいたコーチングサー ビスで、従業員とマネジメント層を支援します。
体内時計を活用したヘルスケアサービス「O:SLEEP 」の紹介動画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=XAjrQPuKiA0&feature=youtu.be
「O:SLEEP」では誰でもダウンロード可能なアプリでの展開をしている。従来の睡眠改善アプリとは仕組みの部分で違いがあるという。
我々のサービスでは、従来型の睡眠系サービスとは方向性が全く異なります。従来型の睡眠サービスは、覚醒度が高い時間帯にすっきり起きれるようアラームを鳴らすものですが、我々は「そもそも良い睡眠って何なのか」「その良い睡眠に近づくためにはどうすれば」良いのかわからない人がほとんどですが、その悩みに応えるコーチングを実現することに注力しています。
理想の睡眠時間は、それぞれ個人毎に傾向が異なります。我々はそれぞれのユーザーに合わせた最適な睡眠時間や就床時間を算出します。
実際のアプリのサービス画面になる。
CBT-iという不眠治療法があり、海外では保険適用されている治療法ですが、日本国内ではあまり知られていません。方法としては、睡眠に関する正しい知識を学習し、1週間睡眠データを日誌に書いてベッドにいる時間を最適化させる療法ですが、保険が効かず高額で治療できるところも少ないのが現状です。「O:SLEEP」はCBT-iのロジックを活用し、アプリだけで睡眠状態を把握、睡眠習慣の改善に繋げられます。
実際に体内時計を個人で測る場合、30万円もの費用と膨大な時間がかかるという。アプリとデバイスだけで測れる技術は非常に特徴的と言える。
利用シーンについて聞いた。
導入予定の企業様としては、居眠りがリスクに繋がる業界の方から特にお声掛けをいただいております。労災や事故と隣合わせの方々はその不規則な労働時間から睡眠障害に陥りがちです。一部の職種や企業では居眠り防止という観点から睡眠薬の服用を禁止されている企業もあります。
そういった流れで発生する睡眠章第のリスクを把握していない企業は、私たちのアプリとデバイスで様々な睡眠問題の解決に役立てると期待を頂いています。
確かに、タクシーの運転手や長距離ドライバーは夜間での営業が多い。そういった層には刺さりそうなサービスだろう。
他の利用シーンについてはどうだろう。
社員さんの生産性が気になる企業さんにも好評です。睡眠状態やいくつかの簡単なアンケートから会社の生産性を金額換算します。また少し先の話となりますが、個人ごとのベストパフォーマンスの周期やタイミングは異なっていて、体内時計が密接に関わっています。将来的に我々のサービスは、科学的な知見をもとにその体内時計を可視化し、個人にとって最適な出社時間や仮眠をとる時間などを算出できないかと考えています。
個人別のパフォーマンス改善はまさに今世間が注目する、「働き方改革」でも大事な要素だ。社員の労働環境に気を配る企業であれば気になる部分であろう。
どういう経緯で創業したのか。
前職時代は激務が続いて心身の不調と常に隣り合わせでしたが、初めて有給をとって無人島に行ったことがありました。そのときに時計を持っていかなかったこともあり、太陽が登ると目を覚まし、日が沈むと眠るような生活を続けたのですが、信じられない解放感を味わうことができました。
それから仕事であまり堪えることはなくなったのですが、後々この現象に体内時計が作用していることがわかりました。その原体験から体内時計のことがずっと脳裏によぎるようになり、可視化して他の人にも私と同じような体験をしてもらえたら面白いだろうなと日々妄想しながら事業を進めています。
体内時計を正常に戻す発想は、自然的な生活から生まれたという。古来からの人間の生活サイクルに生活スタイルを合わせていく、これも一つの健康維持の方法と言えるだろう。
将来をきいた。
睡眠で困っている人は5人に1人の割合です。世界的に言うと13.8億人の方たちが睡眠障害で悩んでいます。その皆様が我々のお客様対象です。睡眠障害の方みんなのお悩みを解決したいという点から、海外進出を予定してます。
急に突拍子もない話ですが、宇宙進出も狙っています(笑)。宇宙空間は地球と異なり、光と接するタイミングが不定なこともあり、体内時計の管理が非常に難しくなりますが、宇宙領域は以前から体内時計に気を配っている業界です。我々は腕に装着するデバイスを作っているのですが、月に最初にたどり着いたアームストロング船長がオメガ・スピードマスターを着けていたように、最初の有人火星探査する宇宙飛行士の方には「O:」のデバイスを着けてほしいですね。
古来から悩まれている課題に大して革新的な手法で挑み続ける「O:」社は今後も目が離せない。睡眠分野での研究がさらに進めば、人類に大きく貢献できるはずだ。
取材担当中山
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