伊藤宗寿
電通グループ、外資系ITハードベンダー、ECサイト運営、ゲームベンチャー等で事業企画・マーケティングを担当。製造業・IT・海外協業やIoT分野を中心に活動している。
ペーパーレスと言われる現代でも、印刷業界(紙)は3400億円といまだに大きな市場である。「無駄な印刷物」、「紙の浪費」、「印刷物デザインにかかるコスト」と印刷を一枚したいというだけでも多量の問題が起きる。それに対してのイノベーションもまた多岐にわたるが、最新の技術を使って印刷業界にイノベーションを起こす企業がある。スタートアップ企業の「Publica」だ。
一言で言うと「WEB技術で印刷物を作れる」サービスです。よくある問題として、WEBから直接出力をすると欲しい規格で印刷ができません。大抵の場合はサイズが違う、文章や画像が途中で切れるなど印刷用途としてはそのまま使いにくいものがでてきます。私たちのサービスでは、WEBページのコンテンツを印刷物として出力することができます。
Adobeツールなどを使うことなく、印刷向けのPDFが作成できるという。
Publicaで使用しているエンジンはHTMLとCSSをベースとしています。仕組みとしては、実はとても簡単なことなんです。一般的な人は意外と知らないのですが、CSSの中には印刷物向けの仕様があります。我々はそれをパッケージ化し、誰でも簡単に印刷物を作れるようにしています。
サービスで出来ることについてきいた。
例えば、ページのレイアウトができます。印刷物にするためにはWEBサイトのように1ページではなくサイズに合わせて複数ページにレイアウトする必要があります。これを自動的に行うことができます。例えば一つの例としてあるのは、「カタログを作りたい」です。WEBサイトにはすぐに商品情報を掲載することができますが、紙の印刷物はすぐには制作できないため商品販売開始に間に合わないということもあるようです。「Publica」を使えば、簡単にWEBのコンテンツから印刷物を制作できますので、カタログが必要なときにすぐに印刷することができます。
競合サービスについてきいた。
外注ではなく自社で印刷物を作れるサービスは他にもあります。ただ従来型のサービスは印刷物を作ることに特化していますが、私たちはWEBページを作りながらついでに印刷物を作る点にフォーカスしています。「わざわざ」ではなく「ついでに」が売りのポイントです。
印刷物を作るサービスはあるが、WEBに比重を置いたサービスは非常に特徴的だ。
なぜ創業したのかをきいた。
このサービスにたどり着いたキッカケは二つあります。一つは幼少期のころの経験によるものでした。父が機械設計をやっていたので、小さい頃家では大量なカタログやマニュアルがありました。量が多すぎて、よく枕にして遊んでました。「何でこんなに紙が必要なんだろう」そんな疑問を常にもってました。
父の影響もあってからか、大学時代は機械関係の学部に進みロボット研究をしました。その頃もやっぱり大量のカタログがあって、自分自身で紙の大事さを痛感しました。その時問題として、あったのはカタログ作成時のミスです。大量の文字が乗っているカタログですので、ミス一つが命とり。どうにかこの問題を解決したいという思いはその頃からありました。
もう一つは、ブラウザ会社のMozillaに転職したときに、初めてMozillaという会社がブラウザの世界基準を作っていることに気が付きました。当時のブラウザ標準の中に印刷の規格があるのを見つけました。あ、これこの技術と印刷を掛け合わせたらどうかって気が付いたのです。
将来をきいた。
将来的には、みなさんが自由に使えるクラウドサービスにしたいと思っています。中小企業や大企業関係なく、ボタン一つで印刷ができるイメージです。これが実現できた先には、普段紙を使わない企業でも好きなタイミングで紙を作れるようになります。ペーパーレスの時代ですが、なくすではなく適切に使うというのが私たちの目標です。
紙自体はしばらく無くならないと思います。印刷の裏には「Publica」ありみたいな展開の仕方をしたいと思っています。クラウドサービスにすることによって、世界中どこからでも自由に印刷ができるこの世界を目指しております。
ペーパーレス時代にあえて、印刷物にフォーカスをする「Publica」はどう発展していくのか今後も追い続けたい。
取材担当中山
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