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インタビュー 2018.05.29

アルムナイと企業をつなぐプラットフォーム作り「Official-Alumni.com」by Hackazouk

  

鈴木仁志

カナダのマニトバ州立大学経営学部卒業後帰国し、アルパイン株式会社を経て、T&Gグループで法人向け営業部長・グアム現地法人のゼネラルマネージャーを歴任。

帰国後は、人事・採用コンサルティング・アウトソーシング大手のレジェンダに入社。採用プロジェクト責任者を歴任した後、海外事業立ち上げ責任者としてシンガポール法人設立、中国オフショア拠点設立、フィリピン開発拠点開拓等に従事。シンガポール法人では、人事・採用コンサルティングとソフトウェアを提供し、ビジネスを展開した。

2017年、ハッカズーク・グループを設立し現職。自身がアルムナイとなったレジェンダにおいてもフェローとなる。HR Techについての知見も多く、寄稿や講演なども行っている。

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アルムナイと企業をつなぐ、「アルムナイ・リレーション」という発想

人材業界の市場規模は9兆円と今なお高水準を保っているが、人材の総数は2020年にかけて減少する見通しだ。人材の総数の減少は市場に大きな変革をもたらし、企業が小さなπの中で人材を取り合う時代だ。転職業界は大きな盛り上がりを見せており、今や差別化が必要となってきている。「ハッカズーク」社が提唱するのは、「アルムナイ・リレーション」と言われる離職人材を企業とつなげるということ。

※アルムナイとは本来「卒業生、同窓生、校友」などの意である。

一言でいうと「企業OB/OGであるアルムナイと企業をつなぐ」サービスです。辞めた人間は裏切り者であり、悪だというのが日本の一般的な考え方。離職者側でも少し気まずいものです。しかしこの考え方は欧米などではすでに変わりつつあります。人口が減少する中で、カルチャーや仕事を理解しているアルムナイは往々にして新規転職者よりも即戦力になったり、業務委託パートナーやアンバサダーなど多くの関わり方があります。そのようなアルムナイとつながりを持つことが、これからの時代では必要になってくるのです。

 

「ハッカズーク」では、現在企業向けにアルムナイとコネクションを作れるプラットフォームと、その活用を手助けするコンサルティングと運用サービスを展開している。

おかげさまで多くの企業からご相談を頂くのですが、導入検討中の企業が持つ問題としていえるのが、大きく分けて二つあります。1点目はアルムナイ用の予算や人的リソースが基本的にはないということ。多くの企業採用や従業員に対する施策などに予算を振り分けていおりますが、退職者用に予算を持つことはほとんどありません。それではいくら人事担当者が頑張っても限界があります。新しい取り組みでROIがわかりづらく、追加の予算も取れないというケースも多いです。

2点目は企業側がアルムナイ人材に対しての確かなアプローチ方法を持っていません。多くの場合、退職者は何かしらの不満を持って退職するケースが多いです。また、辞めたあとも辞職した会社には後ろめたさを持ちます。なので退職者側からも企業側からも声をかけずらいのが現状です。お互いどうやって関係を再構築すればわからない、というケースは非常に多いです。また、企業だけが得をするような関係値は成り立たないので、アルムナイとってのメリットが設計できないという企業も多いです。

 

そんな課題に対して、コンサルティングサービスとプラットフォームの両方で切り込む。

プラットフォームとして展開しているのがクラウド型の「アルムナイ・リレーション・プラットフォームの『Official-Alumni.com』です。企業とアルムナイ のコミュニケーションやNPS/eNPSを活用したアルムナ イ・エンゲージメント測定『Gauge』など、企業とアルムナイ がWin-Winの関係値を築き、その関係価値を最大化す ることをサポートするプラットフォームになります。

このプラットフォーム上で情報発信をしたり、コミュニケーションします。アルムナイの本音を引き出すためには、我々のノウハウをもとに作ったのが『Gauge (ゲージ) on Official-Alumni.com 』です。アルムナイのロイヤルティとエンゲージメントを測定(Gauge)し、企業の的確な投資判断や、アルムナイに対する情報発信設計をサポートする機能です。クラウド型システム『Official-Alumni.com』上で提供されます。

アルムナイ用のクラウドサービスは、現在の数ある人材向けSaasの中でもかなり斬新と言える。斬新が故に活用方法がわからない企業に対してはしっかりと活用をサポートするコンサルティングや運用サポートを付随させている。

競合サービスについてきいた

現状明確な競合サービスはあまりありません。たとえば、ソーシャルメディアのグループ機能を使うのは一見似たように見えますが、誰が誰宛に情報を発信するかなどにおいては大きな違いがあります。

今は従業員だけを対象にしているHR Techサービスが、今後は対象を従業員からアルムナイに拡大してくるようなケースは出てくると思いますが、アルムナイエクスペリエンスを最大化できるという点において特化システムの強みがありますし、企画・設計のコンサルティングからシステムと運用まで提供できるのは当社の強みです。

 

退職者のエコサイクルを行いたい

なぜ創業したのかをきいた。

前職は人事・採用のアウトソーシングをメインにやっている会社でしたが、シンガポール法人にいた6年間は人事制度のコンサルティングなど幅広いサービスを提供していました。クライアント企業は採用フェーズの候補者管理と入社後の人事管理で多くの投資をされますし、同じように、社員も会社の成長のために多くの時間と労力を投資するわけです。それなのに退職してしまった途端、縁を切ってしまう。何でこんな勿体無いことをしているんだろうと思った時に、周りを見ると当たり前のように双方にとってWin-Winのアルムナイ・リレーションを構築している外資系企業が多くありました。これは日本人にも日本企業にも絶対に必要だなと思いました。

良く思うのですが、日本って仕事を辞めることって悪いことというイメージがありますよね。これは心理的契約などと呼ばれるような、企業と社員の間での暗黙の了解や期待値が長期雇用前提であるというのも大きな理由です。ただ不思議と辞めた人同士ではつながりがあったりするものです。これから人生100年時代に突入し、一人の人間はより長く働くことになります。そこで前職と何らかしらの形で繋がれるという選択肢がなければ、個人にとっても企業にとっても非常にマイナスに働きます。

採用・人事コンサルティングを通じて持った企業・候補者・従業員との接点、そしてその中で疑問に感じた日本企業の退職者に対する扱い人、これを解決出来ると思ったのが海外で出会った「アルムナイ・リレーション」という価値観でした。これを日本でも普及したい、そう思い創業にいたりました。

より人材を上手に利活用するためには、これからの人生100年時代でアルムナイ・リレーションは欠かせないという。

「退職って悪だよね」そんな考え方を無くします

将来の展望を聞いた。

ますます日本は信用スコアが普及する社会になると思ってます。既に前職を登録する、Facebook,linkedin,eight∞,などのサービスは一般的になっていま。前職とのつながりが当たり前になってくれば、よりきれいな辞め方が生まれます。アルムナイ・リレーションによって、飛ぶ鳥跡を濁さない人が信用を得て得をする社会になれば、跡を濁さないように辞めますよね。これって退職者も企業も気持ちいいものになるので、退職後何年も経ってから関係値を再構築するのではなく、ずっと繋がっていられる関係になります。

海外展開もすでに視野に入れています。トップの写真でもあるようにすでに我々のチームは多国籍で構成されており、フィリピン法人も立ち上げており、年内にはフィリピンでの1社目の導入を予定しています。まずは日本で成功事例を多く作り、それから東南アジア展開を加速する予定です。

転職、退職におけるエコシステムの生成、大きなテーマをもつハッカズーク社が日本にもたらすときを楽しみにしている。

『Official-Alumni.com』を知る

編集後記

取材担当中山

あるむない?という感じだったので大変勉強になりました!中山もアルバイト時代は無連絡で辞めたりもしたことありです。今考えると愚かなことですが、自分の信用にかかわると考えたら絶対できませんよ。

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