小瀬村 卓実
愛知県出身。京都大学の経済学部を卒業。学生時代はバスケに打ち込んでおり、小学生から始め、京大でも体育会バスケ部で活動。新卒で総合系のコンサルファームに入社。中途採用を経験後、コンサルとして新規事業を中心とした戦略案件に従事。
職業斡旋は古来より続く人類社会になくてはならない仕事の一つだ。その市場規模は7兆円と大きく、国内においても数多くの人材紹介所がひしめき合う。その一方で、関係者の多さと複雑性からIT化が進みにくい業界としても知られている。人材紹介業において、個人の判断は求職者の一生を左右し間違いは許されない。属人的な判断や都合からくる職業紹介のミスマッチを減らすため、人材紹介業のスペシャリスト集団「ASSIGN」が立ち上がった。独自のノウハウを駆使したキャリアシミュレーションAIを完成させたという。
一言でいうと「経歴と価値観から天職を探せる」AIキャリア診断サービスです。現在はiOS版をローンチしています。エージェント業界は歴史は長いものの、なかなかITが浸透しない業界でもあります。弊社はもともとがエージェントの会社、そこで蓄積したノウハウを使って新規サービスを立ち上げました。
「VIEW」では求職者は自分の経歴や価値観を登録できます。その情報を元に、VIEW内のAIエンジンが最適なキャリアパスを選択するという仕組みです。経歴などは質問に回答する形式で進めていきます、価値観の診断は24問からくる質問をワンタップで回答するだけ。トータル3~4分の質問回答で診断可能です。
その情報を元に、求職者は最適なエージェントとマッチングすることができます。エージェントそれぞれが得意領域を持っていますので、よりミスマッチが減り双方にとってメリットがあります。
経歴と価値観をベースにキャリアパスをレコメンド、そのキャリアパスに最適なエージェントに相談することができる。
ターゲットにしているのは20代の若手だ。人力をメインとする人材紹介業界では工数の関係上どうしても高単価になる高年収シニア層が贔屓されることが多い。そんな現実をIT利用で変えていく方針だ。
現状の登録者は若手ハイクラスによっていますね。職種は営業職が多く、IT関連の方も多いです。僕らはハイクラスにこだわるつもりはなく、20代の転職全体を支援していきたい。エージェントは一般的に転職させた人間の年収をベースに、手数料を取るモデル。数をこなせない以上、高単価を求めやすく、どうしても3、40代のベテラン求職者を重視する傾向がある。VIEWではアプリによりマッチングの最適化をはかり、エージェント相談時の成約率を高めることで、若手でも腕の良いエージェントから充実したサービスが受けられるようにしています。
競合についても聞いた。
前提として、弊社は顧客志向で、競合を見ません。あえて考えるならば、現状では競合は存在していないと考えています。間接的には、人材紹介メディア等が競合にあたりますね。ただ僕らの場合は業務自動化という文脈も持ち合わせています。エージェント側は何もしなくてもマッチングした転職者からの相談依頼が送られてくるので、1人あたり月100通以上の手打ちメールがなくなります。
サービスを立ち上げた経緯について聞いた。
前職では内資系コンサルファームに就職。創業者の傍で経営を学びました。その後コンサルタントとしてクライアントを回る中、新規事業について触れることも数多くありましたね。多くの人が一度は起業という選択肢を考えると思いますが、起業をしたいという気持ちが何年たっても薄れなかったので独立することにしたんです。
私は外から人材業界を見ている時、この業界がいかに非効率的かを感じていました。完璧な業界に今から飛び込んでも誰も喜びません、やるなら欠陥だらけの業界。ITを使って、より良いキャリアサポートをしていきたい。この業界に変革をもたらしたいんです。
社会人としての経験を重ねる中で、起業への思いが薄れなかったことで確信したという。
将来の展望を聞いた。
我々の社名はASSIGNというのですが、これはコンサルタント用語で、プロジェクトに配属するという意味。これを社内の合言葉にしています。多くの人材紹介会社では「人を売る」なんて表現を使ったりしますが、私はそれが嫌いで。人の人生に寄り添ってキャリアパスを決める、これが僕らの仕事だと思っています。売るは社内での絶対のNGワードになっており、必ずアサインという言葉を使うことになっている。
VIEWは今後、企業単位でのレコメンドができるよう進化していきます。まず目指すのは「1分で受けるべき企業がわかる」。その先には「1分で歩むべきキャリががわかる」ようにしていきたい。
若手起業家が人材紹介業を変える、大きな野望を持つASSIGNを今後も追っていきたい。
取材担当中山
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