神谷 勇樹
東京大学工学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了。ボストンコンサルティンググループ、グリーを経て、すかいらーくに参画。マーケティング本部ディレクターとして顧客データ分析、デジタルマーケティング機能の立ち上げなどを牽引。取り組み開始前の5年間、右肩下がりだった売上を、2年連続2%以上の既存店成長を果たす土台を構築。利益改善に対する貢献額は2桁億円にのぼり、IPOにも貢献。
2016年にリノシスを創業し、飲食・小売業界向けのシステム開発とコンサルティングに従事。
飲食業界の働き方改革にテクノロジーは欠かせない。近年注文や決済などの自動化サービスは多く登場している。米国の巨大モールやコンビニでも実証実験が行われているが、無人店舗とも呼ぶべきものにはまだまだ程遠いのが現在の実情である。リノシス社は利用客の注文時の音声や表情を読み取り、最適な接客を実現するAIセルフレジを開発した。
一言でいうと、「おもてなしの最適化をするセルフレジ」になります。現在セルフレジ自体は存在していますが、どのサービスもまだまだ実用に程遠いのが現状です。一般的に人が注文を受けるという意味は、ただの御用聞きだけでなく状況に応じた提案をできるのが価値とされています。私達は、そのような人が行っていることを人工知能で再現。利用客の年齢や性別、利用時の天気などをふまえた最適なメニューを提案し、決済まで完結できるセルフレジを開発しました。
ディープラーニングの技術を活用し、リノシス社のセルフレジはレコメンド機能を搭載する。顧客情報の読み取りをはじめ、バックヤードにある在庫状況と連動したレコメンドなど、様々な状況に応じたレコメンドを行うことで、売上の向上にもつなげられるという。
実際にモスバーガー社との実証実験を終えたという。顧客満足度は非常に高く、利用客の90%以上から高評価を獲得しているようだ。
導入先は主に先会計で単価があまり高くない飲食業になります。主にハンバーガーショップやファーストフード、コンビニなどがターゲットです。
私達の強みはソフトウェアであり、そしてそれをハードウェアの上で最適に動作させることです。また、ただの省力化ではなく、お客さまの売上向上につなげていくことまでをゴールに据えて開発を行っていることも僕らの強みの一つです。
起業の経緯について聞いた。
大学生の頃はフリーランスのエンジニアをやっていました。そこから大学院に進み、フルタイムでエンジニアをやっていたこともあります。卒業後はコンサルティングファームがファーストキャリア。そのあとはグリーでアメリカの子会社立ち上げなどに携わったりしました。その後すかいらーくグループに転職。エージェントと話していた頃、“THE IT”の私には当初外食産業で働くという選択肢はありませんでした。ところが話を聞くと、膨大なデータがありながらそれを活用できていない。正に自分がやるべき業界だと感じたんですね。外食産業はユニークユーザーが年間7000万人いる物凄く大きな領域。日本の人口のおよそ半分の方が来店するすかいらーくという会社は、データドリブンなビジネスが好きな私にとって、とても魅力的でした。
私の実家も実は飲食店を経営しています。ある意味、飲食業界に食べさせてもらってきたともいえます。業界に恩返しをしたいという思いがすかいらーく卒業後、私を起業に駆り立てました。
業界全体はやっぱり凄く大変で、人手不足って言われていますよね。でもちゃんと設計したサービスがあれば、どんな業態でも活きると私は思っています。ある意味、人よりもソフトウェアが強い部分も多々あるんです。この業界における人手不足の解決は一つの産業革命で、いわゆる働き方改革だけでは解決ができない領域。テクノロジーが頑張らなければいけないと思っています。リノシスは、テクノロジーを用いて業界全体にイノベーションを起こすべく創業した会社です。
事業としても会社としてもいろいろな山の登り方はあると思います。IPOも、会社としてより社会的な信用を勝ち取るために通るべき道だと思っています。今後も業界全体に幅広く私達のソリューションを導入いただくために、社会的な信用を高めていくための様々な展開を行っていきます。
外食産業全体を変える。大きなビジョンを持つリノシス社を応援していきたい。
取材担当中山
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