清水 淳史
株式会社トルビズオン取締役COO(最高執行責任者)。九州大学芸術工学部4年。専攻は情報工学、メディアデザイン。
国際会議・国際学会への参加など主に学術界にて活動後、ビジネスに興味を持つ。「HULTPRIZE」を始めとする、ビジネスプランコンテストでの多数受賞経験を有する。
ドローンが日本中を飛び舞う未来、誰もが一度想像した未来だと思う。こと日本国内において、これを実現するために突破しなければいけない法律が存在する。民法上、上空300メートルほどまでは、その下の土地所有者が空の権利を持つと、過去の判例などから言うことができる。つまり、その土地所有者の許諾なしには空の上で勝手にドローンを飛ばすことができないのだ。その課題を解決するべく、またドローンが飛び回る近未来を実現するべく「トルビズオン社」が立ち上がった。ユニークな側面から課題に切り込むサービスが「sora:share」である。
「sora:share」は一言でいうと「空のシェアリングサービス」になります。サービスとしては、土地所有者とドローンを飛ばしたい個人をマッチングするプラットフォームです。土地所有者は遊休資産として持つ空を解放します。解放された場所をレンタルしたドローン所有者(または法人)は、その場所で飛行する権利を得ることができます。そしてsora:shareに登録された空がつながっていくと、飛行できる空は点から線になります。こうして空に道を作っていくのが僕らの仕事です。
サービス上では、すでに解放されている空の情報がアップロードされている。ここから、ドローン所有者は空をレンタルできる仕組みだ。
ドローン所有者は、使用料を支払う仕組みだという。料金は、場所によって異なるようだ。
現状は、空撮や練習目的のユーザーが多いですね。場所は売る側としては、自治体や土地を所有する一般人になります。また現在我々は、sora:shareに登録された空の道を活用し運輸会社と共同でドローン配送の実証実験を行っています。来年度には商用化していきたいところです。
日本、海外含めて直接的な競合はいません。観光や空撮などを専門にやっている企業は存在しますが、空の権利という文脈では僕らが初めてですね。そして実際僕らはスカイドメインという考え方で特許を取得し参入障壁を作っています。スカイドメインは、インターネットにドメインがあるように、緯度や経度、高度に応じて空の住所を作るという仕組みです。
起業の経緯について聞いた。
僕らの会社は2014年創業、当初はドローン空撮や測量などを行っていました。その時に代表である増本が感じたのが、空中権の問題です。民間の理解がない限りドローン社会が実現できないと気付きました。そしてそのタイミングで僕とCTO冨田が参画し、上空シェアリング事業を起業しました。「空に道をつくる」という、ビッグビジョンで世界を変える事業をやらない理由はありませんでした。
将来の展望を聞いた。
現在はつくば地域でドローン配送社会実装のスモール検証を進めています。一年以内には、ASEAN地域に進出をする予定です。タイでは既に1500haもの空が登録されています。
国内は今後数年で法規制が整備されていくという見立てをしています。つまり、ドローン配送などが行えるような法規制が整うはずです。僕らはその法規制に則り、ドローン配送から空飛ぶ車・空飛ぶ広告を実現させていきます。まずは国内の山林などの過疎地については続々と道を敷いていきたいですね。都市部での飛行はまだしばらくかかる見通しで、大きなプロジェクトですが着実に歩みを進めていきます。
空の道を作る、大きな野望を掲げるスタートアップ「トルビズオン」社は今後も目が離せない。
取材担当中山
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