こんにちは、安元一耀です。
今回は「世界を変えるファッションマーケット」のBUYMAを取り上げます。
本ブログでは、BUYMAを運営する株式会社エニグモの決算資料を読むことで得られた知見を書きます。
これを読めば、「ユーザーはBUYMAで年間何回くらい買い物をしているのか?」や「ユーザーがBUYAMで商品を1個買うごとにBUYAMはどれくらい儲かっているのか?」など、ちょっとしたBUYMAの裏事情(?)を知ることができます。
BUYMAはECなので、決算資料で見るべき指標は「取扱高」「売上高」「テイクレート」がメインとなります。それぞれについて見ていきます(2018年1月期決算説明会資料参照)
まずは取扱高から見ます。
(参照:http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf)
取扱高は前年比と比べて(371億円 − 332.7億円)/ 332.7億円 = 11.5%の増加率です。
この増加率についてですが、Amazonや楽天のECですと取扱高が20%増、ZOZOTOWONですと取扱高が35%増の成長率です(ZOZOTOWNはかなりの異常値です)
なので、11.5%の増加率というのは少し低い方なのではないかな?と考えています。
次は売上高です。今回はエニグモの1つの事業である「BUYMA」に注目しているので、「ソーシャルコマース事業」の売上を見ます。
(参照:http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf)
売上は2018年1月期で42.7億円でした。
最後にテイクレートを計算しておきます。
テイクレート = 売上高 / 取扱高ですので、42.7億円 / 371億円 = 11.5%となります。
EC運営会社の平均的なテイクレートは8%前後ですので、それよりは少し高いという印象です。
※BUYMAはアイテムの購入者と販売者の両方から手数料を取るビジネスモデルです。ここでは便宜上のテイクレートを算出しました。エニグモのHPには、以下のように記述がありましたので、この11.5%というテイクレートはあながち外れてはいないと見積もっています。
BUYMAの売上は取引当事者の双方からの手数料です。
アイテム料金の約5%(+オプション手数料)を購入者から、5~7%(ステータスによる)を仲介手数料としてパーソナルショッパーから、取引ごとに徴収しております。
売上高が前年比と比べて10.6%増加していたので、その要因を調べるために販管費を一応見ておきます。
(参照:http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf)
人件費が増えているものの、社員が増えているのでこれは特に問題はなさそうですが、やはり(?)広告費が増加していました。売上高の増加要因は広告によるものと見て良さげです。
BUYMAではどんな人がどれくらいのお金を使っているのか?を調べてみます。
(参照:http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf)
まず、女性が75.1%で平均年齢が33歳。購入平均単価が18025円とのことです。
※ちなみに、ZOZOTOWNの購入平均単価は約4000円ですので、BUYMAはかなり高級嗜好であると言えます。
(参照:http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf)
ARPUはほぼ横ばい状態が続いており、38271円となっています。38271円を購入平均単価の18025円で割ってみると、約2.12となります。
つまり、BUYMAを使っているユーザーは、「平均年齢33歳くらいの女性であり、年に2〜3回BUYMAで買い物をしており、1回の購入で約18025円を使用している。」と言えそうです。
ちなみに、過去の決算資料から年間の商品購入数と購入平均単価を調べて見ると以下のようになりました。
年間の商品購入数(D列)は若干減少傾向ですが、購入平均単価(F列)は上昇傾向にあるということがわかりました。
購入平均単価はトレンドや為替レートにも左右される数値なので、「購入平均単価が上がった=ユーザーの所得が増加した」とは一概には言えなさそうです(現にARPUは横ばいですし。。。)
ECが出てきて買い物が便利になったとはいえ、ユーザーが年間で消費するお金の金額はそんなに変化がないのですね。。。
ユーザーがBUYMAで商品を1回購入するたびに、BUYMAはどれくらい儲かっているのでしょうか?テイクレートを先ほど計算した通り、11.5%と見積もって計算してみます。
1点18025円(購入平均単価)の商品が売れると、18025 × 11.5% = 2073円がBUYMAの売上となることがわかります。
BUYMAの営業利益率を計算してみると、以下から38.6%とわかります。(16.5億円 / 42.7億円)
2073円に営業利益率38.6%をかけると、800円となります。
つまり、ユーザーが18025円の商品を買うと、およそ800円がBUYMAの利益となっていると推測できました。
※1万円の商品を買えばBUYMAの利益は444円となります。
最後にBUYMAの強み・弱みを分析して終わりとします(重要そなもののみ取り上げます)
①:BUYMA自体が在庫を持たないこと
→ 在庫を持って商品を管理するというのは、企業にとって固定費のリスクとなります。BUYMAは海外在住の人が注文を受けてから現地で購入するというモデルなので、そのリスクを軽減できています。
②:世界でたくさんの売り手を確保できていること
→ これが一番の参入障壁になっているでしょう。CtoCのようなネットワーク効果が働きやすいサービスではユーザー数がそのまま強みになります。
①:レビューの獲得スピード
→ CtoCサービスでは、レビューが重要な機能の1つとなります。メルカリのようなあらゆるジャンルを扱っているCtoCサービスの場合、1ユーザーあたりの購入頻度が多いのでレビューの獲得スピードが非常に早いです。
しかし、BUYMAの場合、上記で述べた通り1ユーザーあたりの購入頻度が低い(年に2、3回)ので、レビューの獲得スピードが落ちるというのが弱みになると考えています。
ユーザーインタビューをしているときにBUYMAの話題が数人で登場したので、そのユーザーの声をいくつか紹介します。
・ネットとかで欲しい海外の服を見つけたら、BUYMAで口コミを見て、店舗まで買いに行ってます(店舗にない場合はBUYMAで購入)BUYMAを口コミサイトとして利用しています。
・BUYMAは商品が相当高値で売られていることがあるから買うときは要検討する。相場感が知れないのはなかなか辛い。
・海外ブランドの服は質やサイズの確認が難しい。だから、BUYMAで購入して失敗してしまったという経験がある。
というわけで今回はこれで終了です。ありがとうございました!
安元一耀
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