代表取締役社長
金子 和夫
1980 年4 月~ 2012 年4 月 大手メーカーのコンピューター海外営業部門に在籍。 北米、欧州、中米、オーストラリア、中国、韓国、アフリカ、アジア各国に出張/駐在。併行して調達~生産~販売に至るグローバル受給管理システム構築プロジェクトのリーダーとして立ち上げと運営を行う。2014 年7 月 株式会社デジタルアテンダントを設立、代表取締役に就任。
インターネットやAIの発達で、とても便利な社会になった。反面、その波に乗れていない人がいるのも事実。高齢者や障がい者など、IT弱者と呼ばれる人のデジタル格差は広がり続けている。今こそ、AIの力を彼らのために使っていくべきではないか。
今回紹介するDIGITAL ATTENDANT社は、AIの力で高齢者・障がい者にとっても自由で便利な社会を実現するためのサービスを提供する。
詳しく見ていこう。
当社が現在提供しているサービスは「ダイナパートナー」と「ダイナグラス」の2つです。今までの機械が行う単純な処理だけでなく、状況に合わせた判断ができます。
ダイナパートナーはAIが持つ高い画像認識能力を使って、音声会話や多言語対応を可能にした人工知能接客システムです。WEB接客/WEB集客や受付対応、インバウンド接客ができ、サービス・介護・自治体・交通など様々な場所で利用されます。
ダイナグラスは、情景を音にして視覚障がい者に届け、支援していくウェアラブル端末。当初は普通の眼鏡にカメラを付けるスマートグラスの形態を考えていたんですが、実用性に問題がありました。重いんですよ。重たい眼鏡なんて、誰もかけたくありませんよね。
ダイナパートナーは2017年末に開始されたサービスだ。家族・カップルなどの人物を認識し、認識した人・集団によって対応を変え、接客などの業務をこなせる。対象の認識能力としては、年齢・性別を見分けられるのはもちろんのこと、体全体を把握可能。これらの基本的な機能に加え、APIを使えばさらに幅広い問題を解決できる。
ダイナパートナーはBtoCのサービス。お客さんを捕まえて興味を持たせるところまでの仕事ができます。今は駅・飲食店・自動販売機・公共施設・店舗案内など、様々な場所で導入されていますね。人と接する部分があるビジネス・行政ならどこでもフィットさせることができるんです。その中でも飲食のサービスでは、ダイナパートナーを特許として出願中。とれるまでに1か月ぐらいかな。飲食業界って人手不足が深刻で。僕らとしてはAIの力でもっと業務を楽にしてあげたいんです。現状として大手のオーナー系の外食チェーン2社との交渉を行っています。
そのほかの導入先としてはバス会社ですね。神戸・三宮のバスサービスに導入されています。特に時刻が正確になりづらいバスは、IT化があまり進んでいません。今後システムの整っていない2次交通をIT化させていきたいです。ダイナグラスのほうは市場規模320億円ぐらい。当社のような小さい会社にはこれで十分。視覚障がい者に喜びを提供できることの方が大きいですかね。ユーザーの方はダイナグラスを使って電線があることを知れることが、喜びになりえるんですよ。全く知らなかった世界を広げることができますからね。
競合についても聞いた。
ダイナパートナーではAIさくらさんなんかが競合です。AIさくらさんは機能はダイナパートナーと現段階で同等と思われますが月額課金を含め比較的高単価です。一方、ダイナパートナーは導入段階から価格を低く押さえ、導入し易さを大事にしています。システムも学習・成長型システムで、使えば使うほど費用対効果が改善してゆきます。
ダイナグラスはOTON GLASS・オーカムが競合ですかね。但し彼らのプロダクトは文字読みに特化しているので、屋内外の情景を伝えるダイナグラスとは完全な競合関係にはならないんです。加えて彼らのハードウェアは眼鏡にカメラをつけるスマートグラス型のウェアラブル端末なので重いんです。当社が開発しているものとは装着する形態で大きな違いがありますね。
大手だと競合はほとんどいません。高齢者・障がい者向けのサービスには参入が少ないんですよ。企業が高齢者や障がい者の方にITサービスを売っても、当事者が理解できないことがありますから。東日本大震災の時に、タブレットは神棚に飾ってあった例もあったほどなんです。これからは高齢者や障がい者にも受け入れられるようなIT化をしなければなりません。
サービスを立ち上げた経緯について聞いた。
僕は東芝のdynabook事業に初期から参加し、30年ぐらい世界を相手に戦っていました。その後、子会社の社長などを経験し、中国など世界各国を飛び回っていましたね。今ではその経験が海外展開をするときに役に立つかなと思っています。
実は「ダイナ」という名前は東芝のものを受け継いでいるんです。東芝の遺産を使わせてもらおうと。「誰もが自由に使いこなせるシステムの提供」という東芝の精神を現在にも引き継いでいます。
将来の展望を聞いた。
「ダイナマップ」を今後開発していこうと思っています。ダイナマップは、犬がいる・小さい子供がいるなど視覚障がい者にとっての危険要素をカバーできるようなマップです。Googleのストリートビューを高速で読みこんでマップを作製したり、ダイナグラスで蓄積されたデータをハザードマップに活用できるような技術を開発したい。ダイナマップを社会資源として使えるようになれば、自動運転などの技術にも応用できます。社会的弱者の視点を導入し、完璧な交通を作りたいです。
今は情景認識・音声認識などを技術的に分けていますが、全てはつながっているんです。AIが作り出すつながりでIT技術の恩恵を誰もが受けられる世の中の実現を目指します。今年1年、開発中心からプロモーションにも力を入れていこうと思います。フォーラムなどを開いて、当社を紹介していきたい。ターゲットを明確にして、狙い撃つような拡販をしていきます。将来的にはマザーズ上場を目標にしています。
取材担当橋本
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