代表取締役
前原 幸美
起業前に在籍していたKLab株式会社では、開発リーダーとして複数ソーシャルゲームの開発・運営を担当。その経験を活かして起業し、コードのかけるディレクターとして、スマホゲームの立ち上げや自社ゲームエンジンの開発・販売などを行う。2016年より施設向けのVRゲームを企画・開発し、その後アバターライブ配信アプリ「トピア」の開発・運営に注力。
顔出すのが嫌だ。フェイスブックよりTwitterが好き。それが日本人の国民性ではないだろうか。このような国民性のため、顔出しをして発信活動をする文化がなかなか広がらない。
そこで、VRの力を使い、顔出しなし・PCもいらない・データ通信も動画の15分の1というサービスが登場した。
株式会社アンビリアルが開発するアプリ「トピア」だ。
どんなサービスなのか、詳しくみていきたい。
――トピアの概要を教えてください。
株式会社アンビリアルが作る「トピア」を一言でいうと「別人になれる配信サービス」です。
まずアプリを開くと、アバターが作成されます。そしてカメラに向かって顔を動かすと、画面上のアバターも顔が一緒に動くようになっているんです。アバターが生身の自分に代わり動いてくれるんですね。ユーザーはそんなアバターの姿と声を楽しみます。
実はこのアバター、動画サービスではないんです。音声ストリーミング配信と、同時に配信者の顔の動きのデータを送ることでアバターを動かしています。
この仕組みのおかげで、通信量が動画に比べて15分の1に抑えることができました。ギガを消費しないので、ユーザーにやさしく、企業にはインフラコストを消費しないというメリットがあります。
また、事前にDLしておいたアバターデータは、ローカルにあるものなので画質が良いのも特徴の一つですね。
実際のトピアの配信画面
――配信者はどんな方が多いのでしょうか?
中高生の方が多いですね。その次に大学生、社会人と続きます。
配信者の男女比は3分の2は女性、3分の1は男性という印象です。
配信者の皆さんには、雑談や歌をメインに楽しんでいただいています。踊りもできるんですよ。
――競合はいますか?
まったく同じサービスを提供している企業さんはないですね。
近い領域では株式会社ミラティブさんですね。ただ、ミラティブさんはゲーム実況が多いので、雑談が多いトピアは棲み分けできていると思います。
間接的な競合は配信アプリ全般ですね。それらのサービスとトピアが違う点は、超お手軽にアバターになれる点ですね。
トピアの配信ではPCが不要で、イラストを用意する必要もない。10分でアバターの作成ができてしまいます。配信もボタン一つで顔出しもしなくていい。これらの手軽さが大きな強みの一つになっています。
――サービスを立ち上げるまでの前原さんの経緯を教えてください。
大学卒業後、新卒で日本総研に入社しました。システムエンジニアとして、業務系システムを作っていましたね。3年間勤務しました。
その後、KLab株式会社に転職し、ブラウザのソーシャルゲームを作っていました。
2年弱経験を積んだ後に独立したんですが、最初の事業では、コアメンバーが失踪するという事件があって。一度解散し、しばらく一人でゲームディレクターやコンサルタント業をやっていました。会社はあるが、個人事業主のような感じでしたね。
――そこから現在の「トピア」の開発まで、どんな流れがあったんですか?
やっぱり自分の事業をやりたいという想いが強くて。VRにも興味がありました。そこで、VRエンタメ施設向けのゲームを作り始めたんです。
このプロダクトをゲームショーに出展して、VRエリアの中で小間当たりの集客力がNo.1になるぐらい多くの方に遊んでもらえました。しかしVR施設の稼働率が低く、マネタイズができなかったんですよね。
そこで軌道修正をし、VRデバイスが浸透していない今でもたくさんの方が楽しめるように、スマホでVRっぽいことがやれたらと。それが今の「トピア」になります。
画面自体は2Dですが、自分ではない誰かになるという概念はVRっぽいなと考えています。
――今後のアンビリアルの展望について教えてください。
今後は、トピアのサービスを広げていく過程で、現実とは違う世界を作っていきたいと考えています。現実には今ないものを、新しい現実として作り出していきたい。
「トピア」はギリシャ語で「場所」という意味です。現実とは違う世界を作るというコンセプトは最初からありました。
また、社名である「アンビリアル」もアンビリーバブルとアンリアルを掛け合わせた造語です。現実ではないものを現実にしてしまいたいんです。
「トピア」や「アンビリアル」という名前のような世界を作っていけるように、さらに進化していきたいと思います。
――具体的にプロダクトはどんな進化をしていくのですか?
トピアはライブ配信の機能から、コミュニティの機能へと進化していきたいですね。アバター同士のコミュニケーションを取れるようにしたい。
まずはコラボ機能をつけたり、アバター同士が絡めるような機能を追加していきます。
その後は、VRデバイスの普及とともに、このコミュニティをVRに移行させたいですね。
VRの領域はこれからさらに発展することが予想される。そんな市場で「トピア」はコミュニティの機能を果たしていくとのこと。今後の活躍に期待だ。
取材担当橋本
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