人を採用するか否かは、人事部の主観によって決められることが多い。
そのため、その企業に本当に合う・合わないかの判断は、あくまで採用面接官の主観で決まってしまうのだ。
そんな現状を解決するため、人材採用の分野にデータ分析を応用し、その人にとっての最適な企業かどうかを判断できるサービスがある。
株式会社トランスが開発した「TRANS.HR」だ。
AIが入社後評価をし、早期退職の可能性や能力の可視化、最適な部署・営業先も探ることができるのだという。
詳しく見ていこう。
代表取締役社長
塚本 鋭
東京大学・大学院において、機械学習(AI)や大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞(総代)等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所にコンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月の上場を牽引。プラットフォーム事業のデータ分析・産官学連携を主担当すると共に、B2B事業責任者、カスタマーサポート部門責任者、子会社副社長等を歴任。2018年に株式会社トランスを設立。
――TRANS.HRのサービスについて教えてください。
TRANS.HRを一言でいうと「AIが入社後評価をして、早期退職などを予測するピープルアナリティクスサービス」です。
具体的には、まず既存の従業員の方にデータを入力していただきます。そのデータをもとに機械学習をし、ハイパフォーマー・ローパフォーマー・早期退職者の傾向を分析します。
採用時には、採用したいと考えている人が、ハイパフォーマーになりやすいのか、早期退職しやすいのかを分析可能。今いる社員データをもとに新入社員を分析するツールになっているんです。
――TRANS.HRを利用の流れを教えてください。
TRANS.HRの利用の流れは、まず従業員の方のデータを集めます。そのデータをもとに予測モデルを作成。採用の場面で使っていただくことができます。
予測モデルに当てはめることで、活躍度や早期退職をする可能性、類似している社員を可視化します。この機能を通して、新入社員の教育方法なども議論しやすくなるんです。
また、TRANS.HRで得られたデータを使えば、部署内の類似している人が判断できるので、どの配属先がその人にとって最適かを調べることができます。
配属先だけでなく、営業先も選定でき、応用できる範囲は幅広くなっています。
TRANS.HRの導入による実際の効果
――ユーザーについて教えてください。
ユーザーの方は、業種に限らず、100~1000人規模の成長している企業様、特に現状ではIT系・人材系の企業様のご利用が多くなっていますね。
また現在、100名様未満の企業様向けに、会社横断で使える予測モデルも新規開発しており、こちらも少しずつ利用ユーザーが増え始めています。
――競合について教えてください。
採用アセスメント企業は競合になりますね。適性検査は現在50種類ほどありますが、TRANS.HRでも使用させていただくので協業であり、競合という存在です。
しかし現在、TRANS.HRのようなピープルアナリティクスサービスは、市場にあまりありません。そのため競合は少なくなっています。
――TRANS.HRの強みはなんですか?
今までの適性検査は、社会一般的なデータを使って、人を判断していました。この仕組みだと、会社の現状に合っていない判断基準になってしまうことがあり、最適な人材を採用することが難しくなっていたんです。
例えば、ITベンチャーで活躍する人材と大企業で活躍する人材は違いますよね。それでも従来の適性検査だと同じ結果になってしまうんです。
TRANS.HRは、今の会社の状況に基づいたデータを作成するので、最適な人材を採用できる精度が高くなっています。
この予測精度の高さがTRANS.HRの強みになっていますね。
――株式会社トランスを立ち上げた経緯について教えてください。
新卒では、野村総合研究所にてコンサルを担当していました。その後、株式会社クラウドワークスで6年間勤務。事業側の責任者をやっていました。採用も担当しており、難しさを知ったんです。自分が採用して活躍できない人がいるのは、お互いにとって不幸だと感じましたね。
そこで採用の意思決定を主観的に決めているのはおかしい、データ分析が活用できないかと思いました。
というわけで、採用とデータを掛け合わせたプロダクトを開発。もともと独立したいという思いはなかったのですが、経営×データという自分にフィットする場所がなかったので起業しました。それが現在の株式会社トランスです。
――今後TRANS.HRはどんな進化をしていきますか?
TRANS.HRは今後、予測精度を上げていこうと思っています。
また、機械学習はわかりにくい部分があるので、使いやすい仕様にしていき、多くの現場の方に使っていただけるようにしていきたいです。
これらの取り組みを通して、世の中のミスマッチを減らせるようにしていきたいと思っています。
――ミッションを教えてください。
TRANS.HRは人事の領域で、主観的な意思決定で行われているものをデータを使って課題解決を目指していますが、これを経営の範囲まで広げていきたいと考えています。
経営における意思決定を、データを使って効率化し、再現性の高いものにしていきたい。
最終的には1つの会社だけでなく、複数の会社で応用したいと思っています。社会全体での人材配置の最適化を目指していきたいですね。
人事だけでなく経営へ。企業だけでなく社会へ、TRANS.HRは活動の幅をさらに広げる。
現在は「ITベンチャー向け適性診断」をクローズドβ版で開発を進めいるとのこと。
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取材担当橋本
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