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インタビュー 2019.08.31

【株式会社Crono】資金面でのインフラ整備し、若者の挑戦を企業や社会が支える仕組みづくりに取り組む。

やりたいことや挑戦したいことがあっても、資金の問題で断念してしまうことがある。それが将来に直結するような経験だった場合、人生における損失は計り知れない。このような人たちが増えては、日本の経済は停滞もしくは低迷してしまうだろう。

この問題の解決を目指している会社がある。株式会社Cronoだ。学生に奨学金を提供して、挑戦できる環境を整えているという。それだけではない。企業の出す条件を満たせば、その返済が免除される。

株式会社Cronoとしても、ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション(SEA)が運営するSEAソーシャルベンチャーファンド及びエンジェル投資家を引受先とし、第三者割当増資による資金調達を完了させ、新取締役に家入一真氏(株式会社CAMPFIRE代表取締役, NOW株式会社代表取締役)・荻原国啓氏(SEA代表理事, ゼロトゥワン株式会社代表取締役)の2名が就任した。

どんな思いがあって、こんなサービスが考えだされたのか。そもそも、どんな仕組みで奨学金を提供される予定なのか。

詳しく見ていこう。

代表取締役
高 瀛龍

慶應義塾大学にてマクロ経済学を専攻し、金融緩和を行なった場合の経済効果について国際連結マクロ計量モデルを用いて解析。2014年アクセンチュア株式会社戦略コンサルティング本部へ入社し、金融分野のクライアントを中心に企業の戦略立案や新規事業策定を複数プロジェクト行う。また、在職中にプログラミング言語を学習し、2016年末より本格的にフリーランスとしてシステム開発の受託を開始。自身の経験から、資金不足によって学びたいことややりたいことが出来ないことに問題意識を持ち、「機会の平等」を実現化するため、Cronoプロジェクトの立ち上げを決意する。

目次

  • 学生の資金の問題に2つの事業で解決を目指す、株式会社Crono
    • 加盟企業へのリターンと返済は選択可能
    • 経済的な問題を抱えている学生・地方出身の学生を救う
    • 給付型奨学金とともに、市場を切り開く
    • 学生だけでなく、企業にも大きなメリットが!
  • 将来への不安や、お金の問題で挑戦を断念する悔しさは、高さんが一番知っている。
  • 若い人のための資金面でのインフラ整備に取り組んでいく
    • 若者の挑戦を企業や社会が支える仕組みを作る

学生の資金の問題に2つの事業で解決を目指す、株式会社Crono

――株式会社Cronoはどんな事業を考えていますか?

株式会社Cronoでは、「若い人達の資金調達の状況を改善する奨学金サービス」と「教育ローンを肩代わりする会社とその返済を抱えている学生さんをマッチングするサービス」の2本柱の事業を構想しています。

――まずは「若い人たちの資金調達の状況を改善する奨学金サービス」について教えてください。

私たちが提供する予定のサービスでは、企業が奨学金を提供し、学生さんはその奨学金をもとにチャレンジ・バリューアップをしてもらいます。そして、将来において学生さんが企業や社会に恩返しできる仕組みです。

やりたいことがあるんだけれども経済的な理由で挑戦を踏みとどまっているような学生さんは多いですよね。そんな学生さんを企業としてサポートできるサービスを作りたいと思っています。

例えば、留学やプログラミングスクールに挑戦したいけれども、お金がないからあきらめざるを得ない、というような人をサポートしていきたい。そういったチャレンジは将来的に企業のためにもなりますよね。企業ではグローバル人材やエンジニアが不足している状況です。

そんな社会にとっても必要となる人材を、社会全体で育てられるような仕組みを作る。そのためにまずは「奨学金」というモデルを選びました。

Crono奨学金の概要図

――2つ目の「教育ローンを肩代わりする会社とその返済を抱えている学生さんをマッチングするサービス」について教えてください。

最近では奨学金や教育ローンを肩代わりしている会社が登場しています。そのような企業には、奨学金の返済不安を抱えて働かなくて済むようにしたいという想いあって、福利厚生として提供しているんです。

そんな返済サポートする会社と奨学金を抱えている学生を純粋にマッチングするのが、2つ目のサービスです。

奨学金返済支援マッチングの概要図

加盟企業へのリターンと返済は選択可能

――学生が株式会社Cronoの奨学金のサービスを使う流れについて教えてください。

まずは、株式会社Cronoが奨学金を提供します。その後学生さんには留学やプログラミングなどのチャレンジをしていただきます。ただし、そのチャレンジの後には条件があります。

その条件とは、教育ローンの形でお金を返済していただくか、加盟企業でインターンをするまたは入社するというものです。

加盟企業でインターンをしていただいたり、入社をしていただいたりした場合は、奨学金の返済の必要がなくなります。

――加盟企業への入社やインターンは義務なのですか?

注意していただきたいのは、加盟企業に入社することは義務ではないということです。自分で奨学金を返済するというオプションも提供しています。

今後加盟企業のプールが大きなものになれば、必然的にそのプールの中に入りたい企業がある確率は高くなります。そうなれば、奨学金はゼロになるので、学生にとっては大きなメリットになりますよね。

経済的な問題を抱えている学生・地方出身の学生を救う

――ユーザーの学生の理想像について教えてください。

イメージしている学生像は、努力はしているんだけれども経済状況が苦しいために、挑戦ができていない人です。

具体的には、英語やプログラミングを一生懸命学んでいるが、経済的な理由で留学やエンジニアスクールに行けないような人ですね。

このような学生さんが増えてしまうのは、その人個人がものすごく悔しいことはもちろん、世の中的にも大きな損失です。

経済的な理由で挑戦できないような人を救いたいと思っています。

――他にターゲットとしている学生さんはいますか?

そのほかにも、地方出身の学生さんもターゲットにしています。

というのも、地方の学生さんは努力する以前に情報が少ないという現状がある。このような情報格差のせいで、努力するにも何をやっていいかがわからないという人が少なからずいらっしゃいます。

このような現状を、挑戦している人の姿を発信しロールモデルを示すことで改善していきたい。

何かに向かって努力している学生は幅広くターゲットになっていますね。

給付型奨学金とともに、市場を切り開く

――既存の「給付型奨学金」はやはり競合になるのでしょうか?

給付型奨学金は協業関係にあると思います。既存の給付型奨学金は提供人数が限られていて、落ちてしまう人が多いです。既存の給付奨学金をもらえなかった方に弊社奨学金を検討して頂きたい。逆も然りです。私たちは給付型奨学金のサービスとともに、支えていける学生の数を広げていきたいと思っています。

給付型奨学金は、サステイナブルな仕組みではないという問題点がある。サステイナブルでないがゆえに、サポートできる学生の人数も限られてしまいます。

そこで我々のサービスではサステイナブルな仕組みに拘ろうと思っています。企業にリターンを提供できるようなシステムを構築することで、より大きな規模で資金を学生さんに提供できる仕組みを作っていきます。

――競合の企業はいますか?

日本国内では、奨学金を扱っているような企業は少ないです。

私たちから、新しい「奨学金」というマーケットを開拓していこうと思っていますね。

学生だけでなく、企業にも大きなメリットが!

――サービスの強みについて教えてください。

学生さんだけでなく、企業にも大きなメリットがあります。

奨学金を必要としている学生は目的意識を持っている優秀な方が多いです。企業はそのような学生に対して早期に接点構築ができるだけでなく、Cronoの仕組みにはインターンへの参加や加盟企業入社のインセンティブがあるため、既存の採用媒体よりもコンバージョンする可能性が高くなると考えてます。

実際に、「インターンシップにぜひ参加したい」や「関心のある企業が加盟企業に入っていたら、挑戦資金も得られて就職先も見つかる」という意見を聞きます。

――学生だけでなく、企業にとってもメリットが大きいサービスですね!

将来への不安や、お金の問題で挑戦を断念する悔しさは、高さんが一番知っている。

――株式会社Cronoのサービスの背景にはどんな経験があったのでしょうか?

私自身も、貸与型奨学金を利用していました。この奨学金を利用する時、一般的には400万円ほどを借ります。しかし、私の場合は大学を2つでているので、800万円ほど借りていました。そのため、将来の返済の不安がとても大きかった。

また、留学にも行きたかったのですが、資金的にあきらめてしまった経験もあって。私は大学では成績が良く、英語も勉強していてGPA・TOEFLのスコアは足りていました。にもかかわらず、お金の問題で断念してしまったんです。

お金を借りすぎて将来が不安だったこと、お金によって挑戦を断念してしまったことが現在のサービスを開発するきっかけになっています。

――その後、新卒では何をしていたのですか?

新卒ではコンサルティングファームに入社しました。

コンサルタントとして働く中で「起業したい」という想いもあったんです。起業するために一番手っ取り早い方法はエンジニアになることだと思い、プログラミングを学んでいました。

その後、エンジニアとして稼げるようになったので独立。フリーのエンジニアとして働いていました。

そんな中で、たまたま同じゼミの先輩が 株式会社CAMPFIREで新規事業を始めて。僕もその新規事業にかかわらないかと誘われました。そこで株式会社CAMPFIREにジョイン。再会した先輩が、のちの共同創業者になります。

――そこから、現在の会社を立ち上げるまでにどんな思いがあったのですか?

フリーのエンジニアであった時から、学費の問題を解決するようなサービスを作りたいと思っていました。

そこで考えた結果、最終的に奨学金の問題を解決しようという考えにたどりついたんです。そのアイデアを実現するために会社を立ち上げる流れになりました。

若い人のための資金面でのインフラ整備に取り組んでいく

――目指している社会を教えてください。

今までの社会では、自分の成長は自己責任でした。

しかし、今後の日本は人口が減っていきます。そのため、「成長は自己責任だ」と言っている場合ではないんです。

社会・企業が自分たちの人材を育て上げるようにしていかなければいけません。社会が若い人材を支えられるような仕組みを作っていきます。

今後も私たちは、若者の挑戦を企業や社会が支えられるようになるために活動していきます。

学生の資金面での資金調達をサポートし、より良い社会の実現を目指す。株式会社Cronoの進歩は続く。

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編集後記

取材担当橋本

貸与型奨学金だと、一般的には400万円の貸付。給付型奨学金は狭き門。こんな学生に厳しい国で、こんなにやさしいサービスが出てきてくれるなんて…。学生の皆さん、期待しましょう!

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投稿者プロフィール

橋本 雅弘
橋本 雅弘
大学では社会福祉学を専攻。現在はStartupTimesのほか、日本最大級のAIメディア「AINOW」でも執筆。学生スタートアップ特化型アクセラレータープログラム「GAKUcelerator」でメンターを勤める。

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