ついにヘルスケアと教育の分野にAIが活用され始めた。事業を手掛けているのは、インピュート株式会社である。
ヘルスケアの分野では、自閉症(※)や注意欠陥多動性障害の支援のためのアプリを提供。他にも、ストレスを管理できるウェアラブルアプリの開発している。
教育の分野では、ひとりひとりのニーズに合ったコンテンツを提供できる英語学習アプリ「FLUENT8」の開発・運営を手掛けている。
どんなサービスなのだろうか。インピュート株式会社の経緯と展望とともに詳しく見ていこう。
※自閉症:自閉症とは、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害のこと。現代の医学では自閉症の根本的な原因を治療する事はまだ不可能である。彼らは独特の仕方で物事を学んでいくので、個々の発達ペースに沿った療育・教育的な対応が必要となる。
(参照:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html)
マヤンク・シング
2006年に工学博士課程のために来日。群馬大学で課程を修了したのちも日本にとどまり,IBM東京基礎研究所と住友ベークライト(株)で働きました。
専門は高性能コンピューティングです。私はAIの信奉者で、この技術が世界を完全に変えると信じています。
自閉症、ADHD、ストレス性障害、アルツハイマーなどの問題に取り組むため、2年前にIMPUTEを立ち上げました。
――インピュート株式会社の取り組んでいる事業について教えてください。
インピュート株式会社ではAIを活用した、ヘルスケアと教育分野のシステム・サービスを開発しています。
――ヘルスケア分野ではどんなサービスを提供しているのですか?
ヘルスケアの分野では、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害を支援するためのアプリを提供しています。アプリはABA療法に基づき、症状を改善・軽減するためのAI機能を搭載しています。
従来の薬ではなく、プログラムによって症状を緩和するE-メディシンという手法を取っています。
――サービスの特徴を教えてください。
従来のセラピーでは高額の料金がかかっていました。
それに比べて、費用がかからないのが特徴です。また、システムを用いているので、いつでも支援を受けられます。
――リーズナブルに、いつでもセラピーを受けられるのですね!
他にも、ウェアラブルアプリの開発もしています。こちらはストレス抑制システムです。
主なユーザー様は、ASDやADHDを抱える方々。しかし、そのユーザーはその方々だけにとどまりません。誰にでもパーソナライズして、適用することができます。
誰にでもストレスを受ける前には、心拍数などの数値に特定の変化があるんですね。その数値を計測して、ストレスの変化を予測できます。そして、不安を和らげる手助けをします。
――教育分野でのサービスについて教えてください。
教育の分野では、AIを活用してビジネスマンの英語学習のためのアプリ「FLUENT8」を提供しています。
特徴は、人によってレベルに合った設問を出せること。
デイリーレッスンとビジネス英語教材をAIで組み合わせ、ユーザー様が最短で結果を出せるようにしています。
――他に特徴はありますか?
他にもバーチャルティーチャーが特徴です。
アプリ内でAIの先生が英会話力を向上させるためのパートナーになってくれるんです。
人目を気にせず何度も英会話の練習ができたり、予約がいらなかったりとさまざまなメリットがあります。
これらの特徴で、ビジネス英語を効率よく学習できます。
――バーチャルティーチャーがいれば、気軽にスピーキングの練習ができますね!
また、FLUENT8の特徴として、1000トピック以上に対応できます。
その中からユーザー様が答えられなかったデータなどを貯めて、その方に合ったコンテンツを提供できるようにしていきます。
コンテンツは今後もさらに充実させていこうと思っていますね。
――創業の経緯について教えてください。
私は12年前に日本に来ました。群馬大学で博士号を取ったんです。その後、IBM東京基礎研究所に入社し、スーパーコンピューターの事業に参画。住友ベークライト株式会社に移り、MBAを取りました。
当時からAIは大きなものになると思っていましたね。
――AIとヘルスケアを組み合わせようと思ったきっかけはなんだったのですか?
AIとヘルスケアのサービスを提供しようと思ったのは、従来の医療では治療不可能でも、AIを使えばできることがあると感じたからです。
体は複雑でまだまだ分かっていないことが多いんですよね。だからこそ、AIの分析力を使えば、できることが多くあります。
まだまだ発展途上ですが、AIが医療の希望になれると思っていますね。
――AIと教育の分野に取り組んでいるきっかけについても教えてください。
AIと教育を組み合わせたサービスを提供しようと思ったのは、教育が100年以上前から変わっていないことに違和感を感じていたからです。
今の教育ではひとりの先生が大多数の生徒に教育を施していますよね。しかし、学生のレベルはひとりひとり違うはず。
だからこそ、AIを活用して、それぞれの人の個性やニーズに寄り添った、カスタマイズ性の高い教育を提供していきたい。
AIを使えば、ひとりひとりに合わせた教育を実現できると思っています。
――インピュート株式会社のヘルスケア事業の展望について教えてください。
自閉症のサービスを必要としている方々は多いです。だからこそ、今後もさらに機能を追加していきたい。
具体的には、自閉症の患者様の特殊な話し方にも対応できるようなサービスにしていきます。
現在、自閉症の原因はわかっていません。そのため薬が開発できていないんです。だからこそ、AIを活用したプログラムで症状を軽減できるようにしていきたい。
実現のために、患者様のデータを集め、問題の見える化を進めていきたいと思っています。
――FLUENT8の展望も教えてください。
FLUENT8は8語展開をしていきたいですね。
日本語にも展開していく予定です。
インピュート株式会社はAIの力でヘルスケアと教育に変革を起こせるか。今後の進展に期待だ。
取材担当橋本
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