日本の人口減少が予想されている。
人口が減少すれば空き家が増え、使われていないスペースが増えていくかもしれない。
このような現状において、遊休空間を有効活用することは非常に重要になってくるだろう。
株式会社LIFULL SPACEは、個人間で収納スペースの貸し借りができる「収納シェア」を提供し、スペースの有効活用を進めている。
どんなサービスなのだろうか。詳しく見ていこう。
代表取締役
奥村 周平
韓国の大学を卒業後、LIFULLに新卒入社。トップセールス賞や年間MVP、マネージャー賞を受賞。新卒3年目で歴代最短事業責任者、5年目でLIFULL SPACEの代表取締役に就任。
――収納シェアのサービスについて教えてください。
「収納シェア」は自宅やオフィスの空いているスペースを収納スペースとして貸し借りできるサービスです。
――法人と個人のどちらに使えるサービスなのですか?
空きスペースを貸す側も空きスペースを借りる側も、法人と個人の両方で利用できるサービスです。
空きスペースを貸す側は7割が個人の方です。副業をしたい30~40代の男性の方に多く使っていただいています。
空きスペースを借りる側は8割が個人の方ですね。第二の押し入れの様に利用される方や海外出張、引っ越しなどで一時利用したいというニーズもあります。
――個人のホスト(スペース提供者)のメリットを教えてください。
個人のホスト様のメリットは、利用していないスペースから収益を生み出せることです。
例えば、都内で一人暮らしをしている男性のお部屋の使っていないスペースに、段ボールを数個置かせていただくだけで、毎月定額の収入が入ってくるというシステムです。
また、収納シェアはシェアリングサービスですので、自分の資産を他の人と共有することで、誰かの役に立っているという実感を得られるんです。
――企業のホストメリットを教えてください。
企業のホスト様には、会社のオフィスはもちろんのこと道場や美容室にも活用いただいています。
空いているスペースを有効活用したいと考えている企業様に多く使っていただいていますね。
「収納シェア」は、押入れの一角から事業所の大きなスペースまでさまざまな場所をマッチングできるサービスです。
――どんなものを収納できるのですか?
収納できるものはさまざまです。
スーツケースや小物を詰めた段ボール、本、季節ものの家電などを収納されています。
業者さんの場合、倉庫代わりに機材や在庫を置くというニーズもあります。
――競合のサービスについて教えてください。
類似サービスとしては、minikuraさん、エアトランクさん、モノオクさんなどが挙げられます。
minikuraさんのサービスはダンボールに荷物を詰めて宅配で送るとどこかの倉庫で保管してくれるサービスです。エアトランクさんは運送車が自宅に来て荷物を持っていってくれるサービス。
モノオクさんは弊社と同様の収納スペースのシェアリングサービスです。
各サービスとの違い、また弊社の強みは、配送料などを含めると、シェアリングの方が安価に借りられる点。
また、日本最大級のトランクルーム検索サイト「LIFULLトランクルーム」を運営しており、荷物を預けたいユーザーの大多数が弊社サービスをすでに利用していることです。
――LIFULLに入社したきっかけはなんだったのですか?
LIFULLに入社したきっかけは、韓国の大学に4年間留学していた経験にあります。
当時、私は学費や生活費を全て自分で稼がなければなりませんでした。しかし、学生ビザではまともにバイトもできない。
そのため、長期の夏季・冬季休暇に日本へ戻って完全歩合制の営業の仕事をしていたんです。
そこでは最高で月間100万円を稼いだこともあります。しかし、成果とは裏腹に、生活のためだけにお金を稼ぐことに違和感を覚えていました。
一方、韓国で日本語を教えるサークルの会長を務めたり、就活を支援するためのサークルの会長などにも挑戦していました。
その経験を通して、世のため、人ために働くことにやりがいを感じたんです。
だからこそ、社是に「利他主義」を掲げるLIFULLは非常に魅力的な職場でした。
――収納シェアのサービスを思いついたきっかっけについて教えてください。
原体験と事業を行いながら課題に気づいた点が重なった時でした。
原体験の面は、幼いころ、両親が忙しく帰りが遅い時に、近所の韓国出身のおばさんがよくご飯を食べさせてくれて助かったこと。これが記憶に強く残っており、信頼して助け合うシェアリングのサービスで何かできないかと考えていました。
そんな中、LIFULLトランクルームを運営しながら、借りたくても借りられない人が多くいることが見えてきました。
理由は、「近くに施設がない」「空いていない」「高い」です。少子化などで空き家も増える中、ちょっとした遊休スペースを活用することで自宅やオフィス周辺に収納スペースが簡単に増え、また安価で提供できると思ったことがきっかけで「収納シェア」というサービスをはじめました。
――将来の展望について教えてください。
遊休資産の活用と信頼で経済が成り立つことにより「温かな助け合いの社会」を実現したいと思っています。
ホストには、空き家が増えているなど、何にも使われていないスペースが増えてきています。このようなスペースの価値を創造していきたいです。
例えば、自分の子供たちが巣立ってしまった後に、空き部屋ができても引っ越せない方もいると思います。
そんな空き部屋をお客様の収益源にしていきたいと考えています。
ゲストには、安価で空きスペースの提供をすることにより、快適な暮らしの実現のお手伝いをしていただきたいと思います。
この取り組みが定着すれば、信頼で経済が成り立つようになると思います。
信頼で経済が成り立つようになれば、収入が下がっても支出も抑えられるため、サスティナブルな社会に貢献できればと思っています。
今まで見落とされていたスペースに価値を創造する。株式会社LIFULL SPACEの挑戦は続く。
取材担当橋本
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