みんなでアトピーを治す時代へ――日本初のアトピー見える化アプリ「アトピヨ」

日本には、600万人のアトピーに悩む人がいる。海外に目を向けると、アメリカには2700万人がアトピーに苦しんでいる。正確な数値は出ていないが、アトピー患者は世界にひろく存在しているのだ。

また、アトピーの人は、症状についてひとりで悩んでいることが多い。友人がいてもアトピーの話はできないからだ。そのため、病気の苦しみが分かち合えず、一人でふさぎ込んでしまう。

患者の13%が「死にたいと思ったことがある」と答えるほど、アトピーは精神面の負担が非常に大きい。

この現状を、アトピーの症状を見える化することで解決を目指すアプリが登場した。「アトピヨ」だ。

アトピヨを使えば、アトピーの悪化をコントロールできるのはもちろん、同じ症状を見つけられ、仲間どうしで話を聞くこともできる。

アトピヨとはどんなサービスなのだろうか。代表者のRyotaro Ako氏に話を聞いた。

プロフィール

Ryotaro Ako

元アトピー。3児のパパ。プログラマー。公認会計士。

アトピー、喘息、鼻炎という3つのアレルギー疾患の経験から、患者会でボランティア活動に従事。薬剤師である妻の見解、プログラマーの指導・監修を受け、自ら本アプリを開発。

日本初のアトピー見える化アプリ「アトピヨ」

アトピヨは、アトピーを発症し悩んでいる方々の早期回復のサポートになることを目指し、「画像」を投稿することで、アトピー特有の皮膚症状(状態)を匿名で記録・共有できる日本初の”アトピー見える化アプリ“だ。

App Storeリリースから1年半で、約1万ダウンロードされ、1万1千枚のアトピーの画像が投稿されている。そして、アプリの平均評価は4.6(5段階評価)とユーザーからも支持も高い。

プライバシーの配慮の徹底

――アトピヨの特徴について教えてください。

アトピヨの特徴は、匿名の情報に特化していることです。すべてのユーザーは匿名でご利用いただいています。

また、アップする画像によっては、人に公開したくない場合もあるでしょう。そんなときは、非公開にすることができます。自分の記録用として使えるんです。

このように、プライバシーに配慮し、匿名性を大事にしていることは特徴ですね。

ホーム画面では、みんなの最新投稿を過去と比較して、応援・コメントができる。

左側:最新の投稿、右側:過去の投稿​

写真下の ✊🏻 で応援、 💬 でコメントを入れられる。

※投稿右上の … から、自分の投稿・コメントはいつでも削除・修正可能。

「症状」はキーワードで「部位・カテゴリー」はボタンで検索可能

カテゴリーは「首上」「前面」「背面」「うで」「あし」の部位と「くすり」「クリーム・化粧」「ごはん」「その他」の全9項目

ワンタップでカメラ(ライブラリー)を起動し、すぐに投稿。

カテゴリーを選択すると、過去画像を右スクロールで確認できます。

自分の投稿へのコメントは、Push通知のタップですぐ開ける。

自分の投稿への ✊🏻 応援・ 💬 コメントは一覧で表示される。

治療経過を一目で見れる

投稿右上の … から、自分の投稿・コメントは削除・修正可能。

[プロフィール変更]からは、悩みや治療方針を変更できる。

アトピヨの3つの強みとは?

――アトピヨの強みについて教えてください。

アトピヨの強みは3つあります。

「管理できること」「励まし合えること」「データベースを見れること」です。

「管理できること」

――まず、「管理できること」について教えてください。

アトピヨの強みは、自分の症状の経過を画像で管理できる点です。

アトピーの方は、自分の症状を記録していないことが多くあります。

これは、アトピーの写真を残しておきたくないという想いがあるからでしょう。スマホ端末にアトピーの画像が残ってしまうのも嫌がられる傾向があります。

そこでアトピヨでは、端末にはアトピーの画像を残さないようにしています。アプリを開かない限り、アトピーの写真は目に入りません。

この機能で、普段の日常とアトピーの治療経過を分けて記録できます。

――自分の症状について知ることができるのですね!

「励まし合えること」

――2点目の「励まし合えること」について教えてください。

アトピヨは、アトピーの苦しみを吐き出せる場所としてもご利用できます。

そこでは、同じ経験をしたことがある人が、同じ気持ちで励ましてくれるんです。

励ましてもらうことで、自分だけじゃないと認識できますし、他の人は同じ症状でも前向きであることを知ることができます。

この機能で、共感できる人の輪を広げていければ、と思っていますね。

アトピヨに投稿した最初のコメントは、ネガティブである割合が高い。

しかし、アトピヨでのコミュニケーションを通して、ポジティブな言葉の割合が増えている。

「データベースを見れること」

――3点目の「データベースを見れること」について教えてください。

2019年1月現在、アトピヨには1万1千件(うち6千件は公開中)のアトピーの画像データと4千件のプロフィールデータが蓄積されています。

これだけ蓄積できているデータベースはなかなかありません。このデータを治療や患者さんのために活用できます。

例えば、他の人の症状や治療法についても知ることができます。

アトピーに悩む方はどのように症状が変わっていくかがわからないため、人の状況を参考にしたい方が多くいらっしゃいます。

しかし従来の情報源では、純粋に個人の体験をつづったブログなのか、民間療法のステルスマーケティング(広告)なのか整理されていませんでした。

そこでアトピヨでは、アトピーの人だけが入れるアプリにして、他の人の経過を画像で見れるようにしています。

全国皮膚科医202名にアンケート調査をした結果、皮膚科医の過半数はアトピヨの症状の写真記録の機能を評価し、診療サポートに役立つことが分かっている。

アンケート結果からは、

  • 症状の写真記録
  • 症状の画像データの蓄積
  • 患者間・医師間でのコミュニケーション

が評価されていることがわかる。

――アトピヨのユーザーについて教えてください。

アトピヨのメインユーザーは20~30代の女性です。

自分の症状管理のために使っている方が多いですが、お子さんの記録用に使っている方もいらっしゃいますね。

アトピヨの優れたコンセプトや技術は、数々の受賞経歴からもうかがい知れる。

アトピーに苦しむ創業者だからこそ「アトピヨ」ができた。

――アトピヨを開発したきっかけについて教えてください。

私自身もアトピーや喘息、鼻炎を患っていました。ダニやほこりに弱いんです。

以前、古い旅館泊まりました。そこは、絨毯が敷きつめられており、畳の部屋もあったんです。ソファ・カーテンも古いものだった。

その状況の中で、子どもがソファではねたり、畳で転げまわったりするなかで、アレルギー症状が出始めてしまいました。上半身が真っ赤になり、息が上がってきてしまったんです。

これはどうしようもないと思って、救急車を呼びました。

――…本当に大変な経験でしたね。

はい。自分の人生を振り返ると、アレルギー疾患の嫌な思い出も顔を出します。どうしても損をしてしまっていることが多い。

このアレルギー疾患が持つ課題を解決したいと思いました。

アプリで、アトピーの苦しみを軽減したい

――数あるアレルギー疾患の中からアトピーの対策に踏み出したのはなぜですか?

アレルギー疾患の中で、特にアトピーの深刻度が高いからです。

また、アレルギーマーチと呼ばれるのですが、アトピーや肌荒れを起点として、他のアレルギー疾患に連鎖することが明らかになりつつあります。アトピーから食物アレルギーにつながったり、喘息につながったりという具合です。

このようにアレルギー疾患を全体で考えた時に、特にアトピーが重要だと思いました。

――それからアトピヨを開発するまでにどんな経緯があったのでしょうか?

私は医者ではありません。そのため直接的に症状を緩和することはできない。それでもできることとは何か、考えました。

最終的に、アトピー関連のアプリ・ウェブサービスを開発すれば力になれると思い至ったんです。

それからアトピヨの開発に取り組みました。

――開発の時の苦労について教えてください。

私はもともとプログラマーではありません。会計士です。そのため、アプリ開発のために、プログラマーを募集しました。しかし、どうしても見つからなかった。

そこで、自分でアプリを開発することにしました。

5ヶ月ほどプログラミングスクールに通い、カスタマイズを積み重ね、2018年7月にようやくアトピヨをリリースすることができました。今では、およそ1万人の方にご利用いただいています。

アトピーを1人で悩む時代から、みんなで治す時代に!

――アトピヨの今後の展開について教えてください。

現在のアトピヨは、iPhoneだけの対応になっています。今後は、ウェブやアンドロイドに広げていきたい。

アンドロイドユーザーさんからも、開発してほしいとのお声を多数頂いています。

――他に考えている機能の進化はありますか?

はい。現在のアトピヨには、お薬手帳の画像を撮って、自分の記録にしているユーザーが多数います。

そこに、OCRの機能を追加することで、画像を文字に変換して記録し、より使いやすい形にしていきたいです。

ほかにも、ユーザーの利便性を高める機能の追加を進めていこうと思っています。

――ミッションについて教えてください。

アトピヨがハブとなり、製薬会社の治験をサポートしたり・医療機関に経過画像を提供することで、最終的に、ユーザーが効果的な新薬を利用できる・診療の精度が向上するといった好循環を目指しています。

そして、アトピーを1人で悩んで治療する時代から、みんなで治す時代に変えていきたいと考えています。

アトピヨのアプリに興味がある人は、ぜひApp Storeもチェックしてみてください。

編集後記

取材担当橋本
魚アレルギーの橋本です。幼少期にはアトピーで眠れなかった思い出もあります。このようなアプリは希望になりますね…!


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