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インタビュー 2020.02.03

「効く、AI」を開発し、すべての産業に新たな姿をつくる――株式会社 Laboro.AI (ラボロ エーアイ)が描く戦略とは?

AIが話題になった時期があった。しかし、まだ生活にAIが根付いているとはいいがたい。実は、本当に社会に役に立つAIというものはまだ登場していないのかもしれない。

そんな状況の中で株式会社 Laboro.AIは、真の意味でビジネスに「効く、AI」の開発を進めている。このようなAIが登場すれば、インターネットジャイアントが築いた現代の光景は変わっていくのかもしれない。

「効く、AI」とはどんなものなのだろうか。そして、Laboro.AIが推し進める戦略とは。

詳しくみていこう

プロフィール

代表取締役CEO
椎橋徹夫

米国州立テキサス大学 理学部 物理学/数学二重専攻卒業。
2008年、ボストンコンサルティンググループに入社。東京オフィス、ワシントンDCオフィスにてデジタル・アナリティクス領域を専門に国内外の多数のプロジェクトに携わる。
2014年、東京大学 工学系研究科 松尾豊研究室にて産学連携の取組み・データサイエンス領域の教育・企業連携の仕組みづくりに従事。
同時に東大発AIスタートアップの創業に参画。
2016年、株式会社Laboro.AIを創業。代表取締役CEOに就任。

オーダーメイドのAIソリューション「カスタムAI」を開発・提供。株式会社 Laboro.AI

――株式会社 Laboro.AIのサービスについて教えてください。

株式会社 Laboro.AIは、「カスタムAI」という名称でオーダーメイドによるAIソリューションをあらゆる企業様向けに開発・提供しています。

さらに、導入前から開発、運用に至るまでの各種サポート、またAIを活用した研究開発支援も手掛けるなど、AIに関わるあらゆる面でクライアントさまのパートナーとしてフルサポートさせていただくことを目指しています。

――どんな業種にサービスを提供しているのですか?

基本的に業種に壁を作ることはせず、すべての業界の企業様を対象にしています。

傾向として以前は、小売や金融などのように大量の構造化データを保有し、データテクノロジーで価値が出やすい領域の企業様からのご要望が多かったのですが、現在はそれらの業界にとどまりません。

いまは非構造化データを扱う業種にもソリューションを提供させていただく機会が増えてきました。これまではデータを集めることが難しかったフィジカルな現場でも、AI技術の新進化によって、データを収集し活用できるようになってきました。例えば、ゼネコンや製造・ヘルスケア・インフラの作業現場で導入される画像認識技術などは、その代表的な活用例です。

 株式会社 Laboro.AIはアカデミア領域の最先端技術を活用した様々なソリューションをオーダーメイドで開発・提供する

取引先企業一覧

――株式会社 Laboro.AIの強みについて教えてください。

弊社の強みは、機械学習のエンジニアはもちろん、ソリューションデザイナという役職を置いていることです。

ソリューションデザイナとは、ビジネスサイドの知見を持ち、かつ機械学習についても深い知識を持った人材であり、彼らがクライアント様を担当させていただき、コンサルティング、ソリューションの企画設計、プロジェクトマネジメントを行います。

ソリューションデザイナは、最先端の機械学習の手法を最新の研究論文などから調査し、課題を解決するために最適なアプローチを検討します。そして、エンジニアとの議論を繰り返しながら、ソリューションが設計・開発されていきます。

ソリューションデザイナと機械学習エンジニアがタッグを組んで設計・開発に取り組むことで、幅広いソリューションを提供することが可能になっています。

――具体的なビジネスについて教えてください。

弊社のクライアント様には共通している点があります。それは、大きなビジョンをもっているということです。難しい課題にチャレンジし、AIを活用してそれを達成できるよう支援することが私たちの役割です。

実際、AIにはなんでもできるイメージが未だ強く、そのイメージが先行してしまって具体的な手法が見つけることができていない企業様も少なくありません。通常、クライアント様側で手法が明確に定義できていない段階の案件は、大抵のAIベンダーに拒まれてしまうことが想像されます。一方弊社は、そういった段階からでも対応させていただいています。

ビジネスとAI双方の知見を持ったソリューションデザイナが、クライアント様と長期的なビジョンを描きながら、どう実現していくかを考えることができるからです。

これは弊社の大きな特徴になっていると思いますね。

――他に担当できるビジネスはありますか?

他には、他社で開発したものの、導入してみたら上手くいかなかったというケースも多くお声がけをいただきます。

このようにPoCでとん挫してしまう案件は、精度は良さそうというだけで終わってしまう案件が少なくありません。

大事なことは、ビジネスとして価値がある集合と、機械学習の技術で解決できる集合の重なりを見つけ出すことです。「こういうビジネス環境であれば、この技術で実現できそうだ」と、ビジネスと技術の接点があるテーマに再設定するのです。

この重なりは非常に小さいもので、見つけることは簡単ではありません。ビジネスサイドと機械学習の知見を兼ね備えたソリューションデザイナーの存在が、やはりここでも力を発揮しています。

株式会社 Laboro.AIのミッションとは?

テクノロジーとビジネスを、つなぐ

――ミッションを教えてください。

私たちのミッションは2つです。

まず、「テクノロジーとビジネスを、つなぐ」をミッションとしています。

従来のAIベンダーは、AIをビジネス側で生かす企業か、プロダクト開発をしている企業のどちらでした。ビジネスサイドかテクノロジーサイドの一方に偏ってしまっていたのです。

私たちは、ビジネスとテクノロジーの両極をつなげられる存在になることを志向しています。

深いアカデミアの技術知見と産業のコア領域をつなぐ存在がいなければ、AI技術がビジネスで価値を生み出すソリューションとして機能することはありません。

すべての産業の新たな姿を作る

――もうひとつのミッションについて教えてください。

もうひとつのミッションは、「すべての産業の新たな姿をつくる」です。

AI・機械学習という先端技術の使い方を、あらゆる産業のイノベーターの方々と共に考え、形にしていくことで、これまであった産業に変革をもたらすプレーヤーになることを目指しています。

――どのように産業を革新していくのですか?

機械学習という技術は、現在はまだ産業にインパクトをもたらすための使い方についての答えが見出されていないフェーズだと捉えています。言い換えれば、機械学習の用途探索をしているフェーズです。まだまだ成熟していない技術なので、その技術を使ったどのようなソリューションが価値を生むかは、まさに今、全員が試行錯誤している段階です。

しかし、これからさらに時代が進めば、社会から必要とされるプロダクトが明確になっていくはずです。そのために必要な開発能力とインテグレーション能力の両方を持ち、適切な用途を見つけて実用化を一気に進められるようなケイパビリティを、いまのフェーズから磨いておくことが重要だと考えています。

世界進出も視野に入れる

――世界展開は視野にいれているのですか?

機械学習によるイノベーションを考えている以上、グローバル化は念頭に置いています。

2000年以降に特に活発になったインターネットをベースにしたグローバル市場での競争では、日本企業は出遅れたことがよく指摘されます。しかし、機械学習の領域では、日本企業がグローバルリーダーシップを取れる可能性は十分にあると考えています。

たしかに機械学習の技術的な研究については米中が盛んではありますが、実は、その技術を産業に応用するという点については大きな差はありません。むしろ、職人技のようなフィジカルな産業を多く保有する日本には、それだけ機械学習技術を活用するチャンスに恵まれているということです。

海外で研究開発された技術を輸入して、国内産業を変革させるためのソリューションを開発、それをプロダクトとして今度は海外に輸出する。この一連を実現するためには、先ほど言った機械学習の技術的な成熟タイミングで、必要な力を身に付けていきたいですね。

GAFAを超えるサービスを、日本から。

――この先2年ほどの進展について教えてください。

先ほどの通り、核となるソリューションを見つけていくこと、その後プロダクト化・プラットフォーム化を目指していきます。

プロダクト化・プラットフォーム化を進める際には、今日本がグローバルリーダーになっている分野の企業と一緒に取り組んでいきたいと思っています。

たとえば、産業機器や機械部品の製造分野、素材や化学などがそうです。いわゆるグローバルニッチトップと言われる分野です。そのほかサービス業系でローカルに閉じている領域、シニア介護やホスピタリティ、飲食の分野などにも魅力を感じます。

――インターネットの領域は現在、GAFAを代表とする「インターネットジャイアント」が独占しています。そのような状況をどのように突破していくのですか?

インターネットの領域では、GAFAのイノベーションのジレンマをうまく利用すれば覇権を取れる可能性があります。そこをつけば日本発で面白いことができると思っています。

――GAFAのイノベーションのジレンマとは?

「検索の次のパラダイム」です。

検索の次のパラダイムは、「ニーズが顕在化する前の段階のサービス」だと考えています。

今のインターネットジャイアントのキーテクノロジーは「検索」です。しかし、検索はほしいものを言葉にできないと機能しません。検索はニーズが顕在化した後のプロセスなのです。

では、「ニーズが顕在化する前のサービス」が出てきたらどうでしょうか?人が言葉で表せないような感情や好みを感じ取って、商品やサービスをシステムがサジェスションし、それをもとに人が検索する。このように検索がサブになる日本発のプラットフォームができれば、いまのパラダイムは変わるはずです。

このポスト検索ともいうべき「サジェスション」においては、AI・機械学習が力を発揮します。たとえロジックやルールで記述できなくても対象を認識し、予測できるという能力が、AI・機械学習がIT技術と一線を隔す得意分野であるからです。

技術と実用とを「つなぐ存在」として役割を果たし、あらゆる産業で価値を生むプレーヤーになることを目指していきます。

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編集後記

取材担当橋本

GAFAのイノベーションのジレンマについての話を伺っている最中、鳥肌が立ちました。今後の活躍に期待です。

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投稿者プロフィール

橋本 雅弘
橋本 雅弘
大学では社会福祉学を専攻。現在はStartupTimesのほか、日本最大級のAIメディア「AINOW」でも執筆。学生スタートアップ特化型アクセラレータープログラム「GAKUcelerator」でメンターを勤める。

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