IOT技術の発達やウェアラブル端末の発展により、ヘルスケア分野の数値化はますます身近になった。既に利用していたり、街中で見かけたりする方も多いのではないだろうか。
しかし、食に関する情報の数値化は、利用者の負担が大きい。毎回の食事ごとに手動で記録することが主な情報入手方法だからだ。
手間のかかる食の管理を、データの活用で簡単にする企業がある。
シルタス株式会社だ。
シルタスは、スーパーのポイントカードを用いた栄養管理アプリ「SIRU+(シルタス)」のサービスを展開する。
どんな企業なのか。シルタス株式会社代表取締役の小原一樹さんに話を聞いた。
シルタス株式会社代表取締役
小原一樹
――サービスについて教えてください。
SIRU+は消費者の購入履歴を利用した栄養管理のサービスです。他の栄養管理サービスはユーザー自身が能動的にデータを入力するものが多いですが、SIRU+は、データを自動収集するところに特徴があります。
――どうやって利用するのでしょう
アプリを開いたらはじめに、どんな健康を気にしているかを登録します。例えば「ダイエット」などですね。
次に、家族構成(人数、年齢)を設定します。世帯ベースの栄養管理を可能にするためです。
最後にポイントカードの情報を登録(複数枚可)したら、購入履歴から栄養素の分析を自動で始めます。購入した食材、食品が何グラムかの推定もAIが自動で予測します。
足りない栄養素がわかったら、買うべき食材をレコメンドしてくれるのも特徴です。ユーザーが普段買っているものは好きと認識し、それに合うレコメンドをします。反対に、嫌いな食材はレコメンドしなくなり、似た栄養素をもつ代わりの食材を提案できるんです。春からネットスーパーともつながる予定なので、ますます食材の購買までの工程が楽になるでしょう。
――利用者はどのくらいいますか?他の企業とのかかわりはありますか?
ユーザー数は約3000人です。(2020年3月5日現在) メインターゲットは、作ったものが子どもに栄養素としてそのまま還元されやすい主婦層ですが、一人暮らしの男性の利用もあります。一人暮らしの男性の利用があるのは、自分の暮らしへの漠然とした不安からくるものと分析しています。
企業はユーザーの栄養状態をもとにした1 to 1マーケティングが可能になります。
また、他企業とデータを連携させれば、新たな価値の創出につながります。例えば、保険会社と提携すれば、生活習慣病リスクが低いユーザーの保険料を下げるなどの効果が見込めるでしょう。
――競合サービスはありますか?それとの違いは?
現時点で競合はほぼいないと考えています。サービスの観点では、画像認識から栄養素を分析するサービスはありますが、購買履歴から分析するのはSIRU+だけです。
マーケティングの観点では、ポイントカード事業社とは弊社の情報と組み合わせることができますし、
また、尿検査などの医学的な分析には正確性では劣りますが、「なぜそうなったか」を分析できるのがSIRU+の強みです。むしろデータ連携のチャンスのほうが多いととらえています。
――なぜこのサービスを始めようとしたのですか?
私は元々、将来の健康に不安はあったものの、健康管理には関心がありませんでした。食べることの方が好きなんです。そこで、好きなものを好きな時に食べることを前提として、「食べるものは何でもいい日」で足りない栄養素を補うというサービスを立ち上げるに至りました。購買履歴のデータを持っているからこそできるサービスです。
一般的な市場は、消費者の課題に対してプロダクトやサービスを設計します。一方、ヘルスケア市場では課題の存在自体が曖昧で、消費者が目的を意識せずに購買をしている実態があります。これは、消費者自身の課題の分析に手間がかかるからです。この状況を変えるのが、このサービスだと思っています。
――このサービスの今後は、いかがでしょう。
SIRU+は社会のインフラにしたいですね。そして、課題が目に見えてから対応することが多いヘルスケア業界を変えたい。また、収集したデータを医療データなど、さまざまなデータと組み合わせます。そうすることで、結果に対する「なぜ?」をより明らかにすることが可能です。
――目指す世界はありますか?
「データによる究極のパーソナライズ」です。データの活用によって、自分でも知り得ない自分を知れる時代がやってきています。目に見えない課題を可視化し、解決に導きたいですね。
健康のために何をすべきかは決まっているものではありません。何が幸せなのか、何が健康かを定義するのはその人次第です。利用者一人ひとりのためのヘルスケアが提供されるべきだと思っています。
現在、シルタス株式会社では、採用活動を進めています。
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