現在プライバシーに関わるデータは、マスキング加工をし、データの質を低くしてクラウドで処理するというプロセスで処理されている。
このやり方は、プライバシーを担保できるが、加工コストがかかり、低い質のデータで処理をしなければならない。
この状況の解決を目指すスタートアップがある。
EAGLYS(イーグリス)株式会社だ。
高速エンジンCapsuleFlow搭載の秘密計算ソリューション「DataArmor®(データアーマー)」を開発し、暗号化したままのデータをもとに高精度な分析や、AI構築・運用、データ管理までを一括して可能にしている。
EAGLYS株式会社とはいったいどんな企業なのだろうか?提供しているソリューション「DataArmor」の全貌とは?
詳しくみていこう。
EAGLYS Inc. Founder & CEO
今林 広樹
――DataArmor®について教えてください。
DataArmor®は、データを暗号化した状態で集積から分析、AIの処理まで一括でできるプラットフォームです。
データの種類を気にせず、安全に分析や解析ができるようになります。
――どんな風に利用されていますか?
具体的には、企業間で暗号状態のデータをクラウドで集積する際や、企業間でデータを暗号化したまま統合し、セキュアに解析する際などにご利用いただいています。
また、1社の中で工場をたくさん持っているような企業様には、工場間をまたいで、関係する企業の利害関係を保ちつつ、データを共有できます。暗号状態でデータを集め、AIで学習を進めアップデートしていくことができるようになっているんです。
このように、業界全体のデータをセキュアに一元管理でき、分析にも応用可能なのが特徴です。
――他に利用シーンはありますか?
DataArmorは、メディカル領域にも応用できると思っています。
例えば、ゲノム情報や電子カルテ、健康データの情報を一括で集積し、人の属性による症状の相関分析ができるようになると思うんです。
この相関分析ができるようになれば、医療のパーソナライズが可能になります。
このように、さまざまな分野でソリューションを提供できるポテンシャルを秘めているのも特徴です。
――DataArmorの強みについて教えてください。
暗号状態でデータベースのオペレーションができるのが強みになっていますね。他には、ディープラーニングなどの解析アルゴリズムを暗号状態で処理できるモジュールを揃えています。
また、スピード面にも強みがあります。最先端の論文より、数千倍早くデータを処理できるのは大きな強みですね。
EAGLYS株式会社の技術は、高い評価を獲得している。
EY新日本有限責任監査法人が企画、表彰する「EY Innovative Startup 2020」で、今後著しい成長が期待される企業として、全国のスタートアップの中から選ばれた11分野17社のうち唯一のセキュリティ分野スタートアップとして選抜された。
経済産業省所管の独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「Japan Venture Awards(略称:JVA)2020」にて、審査対象の191名のうち、特に優秀な経営者として中小企業庁長官賞を受賞。
――起業した当初から今に至るまでの経緯について教えてください。
起業をした当初は、AIが登場し始めたころでした。そのため、市場がAIについて理解をされておらず、業務自動化の事業からスタートしました。
それから最初の1年で「AIの会社」というブランディングに転換。そして2019年再度ブランディングを変えて、秘密計算を強みとする会社に進化しました。
ここで、AIと秘密計算を組み合わせた現在のEAGLYSになりましたね。
――それから今に至るまで、どんな経緯がありましたか?
秘密計算の知名度が低かったので、最初は啓蒙活動からのスタートでした。
それから半年間種まき活動を続け、トラクションが出始めました。出だしはまぁまぁといったところですね。
しかし、まだまだ秘密計算に対する市場の理解が及んでいない部分があります。
今後もさらに市場の理解を広めていこうと考えています。
――このサービスの今後は?
今後、DataArmorは、SaaS化を進め、プラットフォームとしてバーチャル暗号データを分析できるようにしていきます。
そして、一社だけにとどまらず、さまざまな企業が協力しあって、データを保管・利用できるようなデータバンクのようなポジションを狙っていきたいですね。
――ミッションについて教えてください。
「Stay encrypted. Stay connected.Be sustainable.」をミッションとしています。
まずは私たちのサービスで、データの暗号化を進めていきます。そして、あらゆるプライベート情報がつながり、使えるようになる世界を目指していきたい。
そうすれば、データを活用し続けられる社会になり、データが価値を生み続けられるようになるのではないでしょうか。このようなサステイナブルなデータワールドを目指していきます。
この実現のため、黒子的なサポートに全力を注いでいきたいですね。
DataArmorについてさらに知りたい方は、ぜひサイトもチェックしてみて欲しい。
取材担当橋本
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