プラスチックのゴミ問題が深刻視されている。中でも、話題に上ることが多いのがペットボトルによる環境汚染だ。
日本国内のペットボトルの回収率は90%と、欧州の40%や米国の20%と比べてもかなり高いが、ペットボトルを原料としてペットボトルに再生される割合は、わずか10%程度にとどまっている。
こうした課題に対して、そもそも使用するペットボトルが少なくなればいいのではないかと思い、立ち上がったサービスが”Drink Selection”だ。
Drink Selectionについて詳しく見ていこう。
谷口朋
福井県出身。現在東京大学薬学部の3年。東京大学で今年環境問題に関する学生団体を立ち上げて活動中。
ーDrink Selectionを一言で言うと?
”ペットボトルを減らすためにシェアボトルの使用率を高めよう”といったサービスです。
ー具体的に教えてください。
Drink Selectionのユーザーは加盟店のオリジナルドリンクを月額一定の料金で飲むことができます。そしてユーザーは環境に対して良い行動が取れるので自己肯定感を高める事ができるのが大きな特徴です。
―ほかに特徴はありますか?
ドリンク提供時に使用されるのはペットボトルでもマイボトルでもなく”シェアボトル”なのも大きな特徴です。
マイボトルを普段持ち歩く人向けに行ったアンケート結果から、マイボトルを持ち歩く上で不便に思う主な理由は”洗うのが面倒”、”かさばる”、”重い”である事がわかりました。
シェアボトルを使用すれば、これらの問題は解決されます。飲み終わった後は、全ての加盟店で返却することができ、持ち運ぶ必要、洗う必要が無くなるからです。
ーなるほど。シェアボトルの洗浄についてですか、衛生面において何か気をつけていることはありますか?
やはり、シェアボトルとなると衛生的に気にする方も多いんと思うんです。そこで、Drink Selectionでは一定の洗浄基準を設けています。洗浄用の機械を各加盟店に導入することによって、基準を一律にできるんです。
ーそうなんですね。ターゲットとしているユーザーはどの層になるのでしょう?
以前ペットボトル使用に関するアンケートを実施した時に、「環境に悪いのはわかっていて罪悪感はあるが、ついついペットボトルを購入してしまう」と答えた人が多くいました。
そこで、自分の利益と地球環境の2つを比べた時、自分の利益を優先する人をメインのターゲットとしています。
Drink Selectionを利用することによって自分の好きな飲み物を購入し、シェアボトルを使用することでエコに繋がります。すると、”自分の利益”と”環境問題”を比較する必要がなくなるんです。
加えて、まだ地球環境に対して意識が低い人にもDrink Selectionという選択肢を与えることで、環境への意識が高まれば良いと思っています。
ー加盟店側のメリットは何になるのでしょう?
加盟店側の利点としては環境に対しての新しい貢献に繋がり、独自のオリジナルドリンクを売り出すことによって新たな集客ができる点です。
多くの飲食店にとってドリンクはサイドメニューとされています。Drink Selectionに加盟することによって、ドリンクをメインに広告塔として打ち出せるんです。
Drink Selectionが店舗こだわりのドリンクを打ち出す場になります。そして、Drink Selection加盟店は環境に優しいというイメージアップにも繋がるんです。
ーサービスを立ち上げた経緯について教えてください
自らが環境問題を意識し始めたのがきっかけです。
私は大学への入学を機に上京し1人暮らしを始め、節約生活を送っていました。節約していく中で普段のゴミの量が減っていったんです。そこで自分が何かを消費する時に無駄なゴミも一緒に消費していたことに気づきました。
飲み物で言うと、ペットボトルを買うと自分が必要なのは中身の飲み物だけなのに、それに加えてペットボトルを消費しているんです。そこからは節約ではなく意識的にゴミを減らし環境問題に取り組み始めました。
この取り組みを通して、必要なものだけを消費できる仕組みを作り、周りの人にもそれを気付かせる事ができればゴミは減るのではないかと考えたんです。
ー今後のサービスの展開について教えてください
今後は、商店街でのパイロットテストを考えています。実際に店舗にシェアボトルを配置していただき、ユーザーのリアルな声や意見を聞くことによって、よりユーザに寄り添ったサービスを開発できます。
商店街だけではなく、テーマパークや水族館など閉じた空間でもテストを行いたいですね。
ー最終的に描く世界観はありますか?
本当に必要なものだけが消費される社会を作りたいです。今は便利さのために何かを消費する時、ゴミも一緒に消費されてしまうのが普通になっています。しかし、必要なものだけが消費されるようになればゴミは減ると思うんです。
将来的には飲み物だけではなくその他の商品にも適応していき、ゴミの量が最低限になる社会を築きたいですね。
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取材担当阿部
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