先進国は経済成長を経て、飽食の時代を迎えた。その一方で、発展途上国の中には未だに食糧難に苦しむ国があるのも事実だ。そんな中、議論の的となっているのがフードロス問題。豊かな食文化を毎日楽しむことができる日本のフードロスは、年間600万トンに上る。
株式会社tabekifuは、食事を寄付につなげるサービス「tabekifu(タベキフ)」で、フードロスと飢餓貧困の2つの課題の解決を試みる。
代表取締役CEOの坂入千佳さんはサービスの普及を通し、食べながら寄付をするという行為が「当たり前」になることを目指す。
どんな企業なのか。詳しく見ていこう。
株式会社tabekifu 代表取締役CEO
坂入千佳
ーーtabekifuとはどんなサービスですか?
食品ロスと、その対極にある飢餓貧困という2つの社会課題を両方解決するアプリです。食品ロスを飲食店の売り上げにつなげながら、社会課題を解決するための寄付を生み出します。tabekifuは現在、飢餓貧困問題の解決のために活動する10の社会貢献団体様と提携しています。
ーーユーザーはどうやって利用しますか?
アプリを開くと、tabekifuに加盟している飲食店のメニューが表示されます。アプリ上でオーダーと決済が完了したらお店に行き、食事かテイクアウトをするだけです。決済と食事の様子をSNSにシェアするときの2回、寄付先を提携先の社会貢献団体から選択することができます。サービスの利用で、ユーザーは主体的に社会貢献をすることができるのです。
また、tabekifuはお得に食事を楽しめるサービスでもあります。本来なら捨てられてしまう食品を料理に使用しているので、ユーザーは比較的安価に食事を楽しめるからです。さらに、決済ごとにたまるポイントで食事することもできます。
ーー飲食店のメリットを教えてください。
大きく分けて3つあります。
1つ目は、売り上げの向上が期待できることです。サービスを通した情報発信で集客力がアップするほか、廃棄されるはずの食品を利益につなげられるからです。
2つ目は、業務効率の改善ができる点です。tabekifuで料理を提供する時間帯をランチタイムとディナータイムの間に設定することで、客が比較的空いている時間帯を有効活用できます。
また、tabekifuを利用するとノーショー対策もできます。事前決済のサービスなので、キャンセルなどへのリスクヘッジができるのです。
ーーサービスの強みはどんなところにありますか?
サービスの強みは、社会貢献団体様と連携させていただいているところです。著名な社会貢献団体様のプロモーションに参加する機会があるので、情報発信力は大きいと考えています。
また、サーキュラーエコノミーを意識したビジネスデザインも強みの一つです。フードロスを飢餓貧困の解決につなげるtabekifuは、持続可能な社会に貢献するサービスと言えるでしょう。
ーーこのサービスを始めたきっかけを教えてください。
前に営んでいた雑貨店で、作りこんだ雑貨(什器など)を廃棄することに違和感を感じていたのですが、直接のきっかけは最愛の夫の死で落ち込んでいた頃に資質学を学んだことです。
人それぞれの資質を知り、活かしあうことでチームの調和を目指す資質学を学ぶうちに、自身の欠乏感ばかりに目を向ける日本人の特徴に気づきました。
食にあふれる日本で暮らす人たちに幸福を自覚してもらいながら、本当に生命維持のインフラが整っていないような地域を支える循環をつくりたいと思い、サービスの立ち上げに至ったのです。
ーーこのサービスの今後は?
今後は加盟店の数を増やし、食べながら寄付をするという行為を「当たり前」と感じてもらえるようにしていきます。人は自分が満たされていることを自覚すると、その幸福を他の人に分け与えるように動く、というのが資質学で学んだ考え方です。サービスの提供により、改めて食の豊かさ、満たされている幸福を感じることができたら、日本の伝統でもある助け合いの精神が社会問題の解決に向けられるのではないでしょうか。
ーー目指す世界を教えてください。
誰一人取り残すことなく、全員が豊かになれる世界です。世界的な視点で課題の解決法を模索するアウトサイド・インの行動が、貧富の格差が拡大する中で求められています。サービスの提供を通して一人ひとりに誰かを幸せにできるようになってもらい、SDGsの目標達成に貢献したいですね。
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取材担当佐野
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