近年、外国人労働者を街中で見かける機会が増えてきた。少子高齢化とそれに伴う人材不足に悩む日本の企業にとって、外国人労働者はなくてはならない存在だ。現在約28万人に達する外国人技能実習生は、毎年約4万人ずつ増えている。
同時に浮き彫りになったのは、技能実習生と実習先のトラブルや法令違反だ。年間で実習生のうち4%が失踪するという。
外国人労働者を誘致する仕組みが出来ても、労働者の生活をサポートをするシステムが整っていないのが現状なのだ。
そこで保険や金融面でのサポートによって、外国人労働者が日本で生活しやすい環境をつくろうとする企業がある。
KUROFUNE株式会社だ。
外国人労働者向けの人材紹介サービスを展開するKUROFUNE株式会社は今春、新たな事業を始める予定だという。代表取締役の倉片稜さんに詳しく話を聞いた。
KUROFUNE株式会社代表取締役
倉片稜
――KUROFUNE株式会社とは、どんな会社ですか?
元々は、外国人労働者を紹介する人材紹介の会社です。外国人労働者と雇い手のマッチングサイト「WABISABI-JAPAN」を運営しており、Facebookのコミュニティは、現在約9700人です。日本に10社ほどある代理店を介して、主に日本在住のベトナム人の就業支援・定着支援を行っています。
――新規事業について教えてください。
日本初のベトナム人実習生の所得補償保険です。年会費15000円で「ベトナム人就業者支援協会」に所属してもらうと、最大月あたり10万円の補償で、総額120万円(12か月分)を補償します。これは彼らが日本の最低時給で働いた場合の収入に相当する額です。
現在、日本で働く技能実習生の大半は、ケガのリスクがあるブルーワーカーです。彼らの職場は給与形態が時給換算であることが多く、ケガなどが原因で働けないと、給料が支払われず、生活を続けるのが困難になってしまいます。
技能実習生が通院しながら生活することを支える仕組みが定着すれば、金銭面の問題からくる実習生の失踪も減らすことができるでしょう。また、外国人労働者だけでなく、企業側も安心して彼らを雇うことができるようになります。
――競合サービスはありますか?
国が入会を勧めたり、技能実習生が所属する管理組合の関連会社が持つ傷害保険はあります。しかし、治療費の補償はあっても生活費の補償となる保険が現在日本には存在しないので、日本で初めてのサービスとなります。そのため、ケガをしても金銭的理由から病院に行くのを断念せざるを得ず、失踪する実習生もいます。生活を維持しながら病院に通い、ケガを治すことが本人のためにも、企業のためにもなるのです。
ーーなぜこのサービスを始めようと思ったのですか?
海外旅行が元々好きで、元気な外国人とたくさん出会ってきました。少子高齢化、人口減少が進む日本に、若くて元気な外国人労働者が日本に来れば、この国にとって良い影響が起こると考えたことがきっかけです。
日本は海外の若者に働き口を紹介する仕組みこそ充実しつつありますが、就労後の生活のサポートが薄く、雇い先とのミスマッチが起こりやすい構造があることに気づき、これを変えたいと思いました。
ーーサービスに今後の展開はありますか?
海外送金のサービスを始めたいです。技能実習生の多くは、日本での生活の傍らで母国に住む家族に仕送りをします。しかし、送金の手数料は大手でも数千円程度かかるところがあり、負担が大きい。私たちは、保険事業で集めたお金を、加入した皆様に還元するために、その手数料を数百円程度で抑えられるようなサービスを展開したいと考えています。
日本人と同じように生活ができるように、低額の海外送金サービスだけでなく、クレジットカードや電子決済を外国人労働者に利用してもらうサービスを作っていきたいと考えています。
将来的には、外国人が日本で起業しやすい環境をつくっていきたいと考えています。日本では現在、外国人が起業するためには500万円の資本金や綿密な創業計画書などが必要で、決して起業しやすい環境とは言えません。資本金の支援や創業計画書の補助など、外国人が日本で創業する時のVC的な事業ができれば面白いですね。
ーー目指す世界はありますか?
日本を真に開かれた国にしたいですね。外国人労働者のうち、専門性をもつ優秀なホワイトワーカーを増やし、日本の労働者も含めて混ざり合うことで、イノベーションを起こしていく環境をつくりたいです。
また、外国人労働者が日本で生活しやすい状況を整えることで、彼らにこの国を好きになってほしいと願っています。
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取材担当佐野
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