「こんな洋服が欲しい」というイメージはあっても、実際にどのアイテムを買えば良いのかわからず、アパレルショップの店員に相談した経験がある人は多いだろう。
スタイラー株式会社が提供するアプリケーション「FACY」を活用すれば、オンラインでも店員とのコミュニケーションを通じて買い物を楽しむことができる。
代表取締役CEOの小関 翼さんは、ライフスタイル分野におけるEC以外の市場の大きさと、オフラインの購買活動のデジタル化が進む流れを感じ、同社を立ち上げた。将来的には、アパレル以外のライフスタイル分野にもサービスを展開する。
どんな企業なのか。詳しく見ていこう。
スタイラー株式会社 代表取締役CEO
小関 翼
ーーサービスを一言でいうと?
FACYは、オフラインのお店をオンラインに集約し、ユーザーにショップスタッフとのコミュニケーションを通じた購買体験を提供するアプリケーションです。消費者と実店舗の間に立つマーケットプレイスとして、リアル店舗のデジタル化を進めています。
ーーアプリの利用方法を教えてください。
ユーザーは、欲しい服の内容をアプリ上に投稿すると、実際にアパレルショップで働く店員から購入する商品の提案を受けることができます。例えば「結婚式の2次会でブルーのワンピースを着るので、それに合わせるアクセサリーが欲しい」というようなリクエストが可能です。店員からの提案は、平均すると7件ほど届きます。
服のサイズや素材、コーディネートなどは、店員とのダイレクトメッセージで確認・相談をします。気に入った商品はFACYで事前に予約を行い、店頭で試着してから購入を決めることができます。オンラインで購買を完結させることも可能です。アプリで決済すると、ショップから自宅への配送料はかかりません。
ーーパートナーブランドにはどんなメリットがありますか?
既存の顧客とコミュニケーションをとりながら、新しい顧客も獲得できることがメリットとして挙げられます。
これまでは、ブランドと顧客の出会いは実店舗を設置する場所に依存し、顧客とのコミュニケーションツールは、ハガキやEメール、LINE公式アカウントに限られてきました。FACYを活用すれば、リアル店舗で行う接客と同じようなコミュニケーションで、新規顧客の獲得や既存顧客の満足度向上を目指すことができます。
ーー競合サービスと比べたサービスの強みは何ですか?
「ユーザーが何が欲しいのか、それがどこに置いてあるのか」というデータを蓄積しているので、ファッションメディアとしてユーザーの求める情報を発信できる点ですね。大手の外部メディアにも配信を行う情報発信力の高さは、新たなユーザーの呼び込みにもつながります。
また、ブランドイメージに傷をつけずに商品の販売ができるのも強みになってきます。通常のECサイトでは欲しいものを検索すると、どの価格帯でも同じような画像で商品が並ぶので、コモディティ化が起こりやすいんです。オフラインで質の高い衣料品を探すユーザーを集めるFACYなら、ブランドは価格帯のイメージを保ったまま顧客を増やすことができます。
ーー起業のきっかけを教えてください。
起業には2つの背景があります。
1つ目は、ライフスタイル分野におけるEC以外のマーケットの大きさに可能性を感じたことです。服やコスメティックなどの商品は、実はECプラットフォームでは流通しづらく、ECの取引額は国内市場の1割程度に過ぎないんです。
何色のシャツを着ても間違いはないように、ライフスタイル分野の商品には無数の選択肢があり、答えがありません。この分野では、消費者はセレンディピティや受動的な意思決定に基づいて購入を決めるため、意思決定の後押しをするエージェントやメディアの役割が重要だと思っています。
2つ目は、アジアでスマートフォンベースでのインターネット活用が進むことで、オフラインでの購買活動が急速にデジタル化される潮流があることです。2010年以降、アジアの新興国では爆発的にスマホが普及し、スマホに最適化されたサービスでリアル店舗のデジタル化が進められています。
ーーこのサービスの今後は?
今秋にアプリケーションをアップデートし、ユーザーの位置情報を活用できるようにします。半径3キロメートル以内のショップの場所や、取り扱っているアイテムなどを表示し、ダイレクトメッセージで店員とやりとりができる機能を搭載する予定です。
また、将来的には、家具やコスメティックなど、アパレル以外のライフスタイル分野にもサービスを展開していきたいと思っています。
ーー最終的に目指す世界観を教えてください。
私たちが提供するデジタル技術によって、人々のオフラインの生活を豊かにします。
「FACY」というサービス名の由来は、対面のコミュニケーションを想起させる「face to face」です。デジタル技術を活用して消費者の時間をセーブしつつ、よりリアルな購買体験で自分に合った商品に出会えるサービスにできるよう、開発を進めていきたいですね。
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