保険の保障内容を理解したり、複数の保険証券を管理するのに苦労した経験はないだろうか。加入している保険の管理の難しさが原因で発生する請求もれは、日本の社会課題になっている。
株式会社IBが提供する個人向けアプリ「保険簿」を多くの人が活用するようになれば、この社会課題は解決されるかもしれない。
代表の井藤健太さんは、東北復興のボランティアをきっかけに保険業界に対して問題意識を持ち、同社を立ち上げた。保険加入後のあらゆる手続きをアプリ内で完結できる世界の実現を目指す。
「保険簿」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社IB 代表
井藤健太
ーー「保険簿」を一言でいうと?
ユーザーの加入保険情報を一元管理することで、保険の請求もれを防ぐアプリです。
ーーどうやって保険情報を登録するのですか?
保険証券などの書類をカメラで撮影すると、遅くても3日、早ければ即日で保障内容が自動でデータ化されます。あらゆる保険会社の契約の保障内容だけでなく、保険会社の連絡先や証券番号などの情報をアプリ内で管理できるので、災害で紙の証券を紛失しても安心です。
ーー請求もれを防ぐための機能を教えてください。
役立つ機能は大きく分けて3つあります。
1つ目は、QRコードの読み取りやURLの送信で、家族と簡単に加入保険情報を共有できる機能です。保険に加入していても、ケガをしたり病気になった本人からの保険請求が困難なケースは数多く存在します。この機能を活用すれば、離れて暮らしている家族でも、請求できる保険に気付けるのです。
2つ目は、保険の請求勧奨メッセージを受信できる機能です。「よくある請求もれ事案」を中心に情報を収集することができます。通常のメディアが、保険ごとに請求できる損害の事例を紹介するのとは異なり、「保険簿」では、損害ごとに請求できる保険を紹介しているので、より実用的に役立てていただけるでしょう。
3つ目は、 請求自己診断の機能です。「ケガをした」「病気になった」など、思い当たる項目を選択すると、請求できそうな保険を瞬時にリスト化してくれるので、請求する際に契約条項を見直す手間を省けます。
ーー「よくある請求もれ事案」とはどんなものがありますか?
家の模様替え中にタンスが壊れてしまったときでも、火災保険を請求できる可能性があるのをご存知でしょうか。保険の契約条項は非常に細かいので、請求できる事例が知られていないケースが多いんです。
ーー他の加入保険情報を管理するサービスとの違いを教えてください。
運営元である弊社が保険募集事業をやっていないことが、「保険簿」の強みになってきますね。保険商品を売ることを目的にしていないサードパーティーの立場なので、ユーザーには安心して利用していただけるほか、あらゆる保険会社や保険代理店と協力することができます。
ーーサービスを始めた経緯について教えてください。
大学時代に保険業界の研究をして練った構想が、このサービスの元になっています。マイナンバーに加入保険情報を紐づけることで、保険の一括管理や請求の自動化を可能にする仕組みを考えていました。東日本大震災の津波で流された街を見たときから、生命保険や損害保険などに加入していても、被災者の多くは保険金の請求ができていないのではないかという問題意識があったんです。
大学卒業後に保険業界に入ると、問題意識はさらに強くなりました。実際に数多くの請求もれの現場を見てきましたし、保険商品を提供する営業マンの立場としても、20年後や30年後、お客様が保険金を請求するタイミングでサポートができる保証がないことに気づいたからです。そこで、請求もれをなくすには、お客様が自立的に保険を管理できる仕組みがやはり必要だと考え、「保険簿」の立ち上げに至りました。
ーーこのサービスで、どんな世界の実現を目指しますか?
目指すのは、保険加入後のあらゆることが「保険簿」で完結できる世界です。
今後は保険会社や保険代理店と協力しながら、請求以外の手続きもアプリ上でワンストップで行えるようにしていきます。
保険に関する手続きのあらゆる場面で継続的に利用していただき、「いざ、何かあったときは「保険簿」」と思っていただけるようなサービスにしていきたいですね。
株式会社IBの「保険簿」が気になった方は、以下のリンクまで。
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