自分だけが知る地域の魅力を動画で表現し、PRしたいと思ったことがある人は多いのではないだろうか。しかし、企画から編集まで動画制作にかかるコストは高く、動画を使ったプロモーションはまだまだ一般的ではないのが現状だ。
EXest株式会社が提供するコンテンツプラットフォーム「DOGADOZO(どうがどうぞ)」を活用すれば、誰でもテレビ局が撮りためてきた動画素材を自由に編集・加工し、観光プロモーション動画を制作できる。
代表取締役 CEOの中林幸宏さんは、「人と人を繋ぐビジネスで新しい産業をつくりたい」との思いで同社を立ち上げた。サービスの提供を続け、動画を通じて人と人が出会う世界の実現を目指す。
どんな企業なのか。詳しく見ていこう。
EXest株式会社 代表取締役 CEO
中林幸宏
ーーDOGADOZOとはどんなサービスですか?
テレビ局が撮り溜めてきた動画素材を自由に編集・加工し、観光プロモーション動画を作成できるコンテンツプラットフォームです。
従来の動画制作フローでは、撮影をするための企画制作や日程の調整、機材の準備などに大きなコストがかかっていました。DOGADOZOを活用すれば、撮影全般にコストがかからないので、動画完成までにかかる費用や時間を大きく抑えることができるのです。
ーーどうやって利用するのでしょう?
DOGADOZOには、各地域に密着したテレビ局だからこそ持っている観光素材や、空撮やドローンなど、撮影に高い技術が必要な動画素材が揃っています。動画素材はフリーワード検索とタグ検索でソートできるので、作品の完成イメージに合った動画を見つけていただけるでしょう。ユーザーのサービス利用データを用いた動画素材のレコメンド機能も、今後実装予定です。
サンプルを見つつ使用したい素材を選んだら、使用用途と使用期間を入力して料金を支払い、ダウンロードしてください。動画を自ら編集・加工することも、映像のプロに編集を依頼することもできます。
動画に発生する肖像権や著作権などの権利処理はすべてテレビ局が済ませているので、権利申請に時間やコストをかける必要はありません。
ーー動画素材を提供するテレビ局にメリットはありますか?
これまで使われることのなかった動画素材をマネタイズしながら、地域の魅力発信に貢献できる点ですね。ランニングコストはかからないので、DOGADOZOと提携するリスクは0に近いと思います。
ーー競合サービスはありますか?サービスの強みについて教えてください!
テレビ局の観光素材を活用している企業は他には一社もありませんが、動画素材ダウンロードプラットフォームを提供しているという意味では、競合他社が存在します。それに対し、DOGADOZOが持つ差別化点は3つです。
1つ目は、被写体の使用許可があらかじめ取得された動画素材のみを掲載している点です。実は、他のサービスの動画素材は権利問題がクリアになっていないことが多いんです。素材を使用する際に肖像権などの権利申請が必要ないのは、テレビ局と提携しているからこその強みだと思います。
2つ目は、弊社が運営している「WOW U」というインバウンド向けのメディアで、動画素材の視聴データを蓄積している点です。DOGADOZOの利用者は動画の視聴者の国籍や年齢層、男女比を把握できるので、データに根拠づけられた動画制作が可能になります。
3つ目は、観光プロモーション動画を作成しながら、観光事業の運営に貢献できる点です。弊社と提携いただいている文化庁様の動画コンテンツを使用すると、利用料金の半額は被写体となった文化財などに寄付されます。コロナ禍で現在、多くの観光事業者が苦しむ中で、自らがPRしたい観光スポットを直接的に支援できるんです。
ーー起業の経緯について教えてください。
前職では広島テレビに勤務していたのですが、縁があってMBAを取り、Pool&Moonという会社を1社目として立ち上げました。
デジタルマーケティングとマスマーケティングを融合した事業がとても順調に進んでいましたが、ある日メンターから「産業をつくることをやらなくて、何で起業したの?」と言われ、「自分が本当にやりたいことって何なんだ」と考えたんです。
そこで今までの人生を振り返った結果、「人と人を繋ぐビジネスで新しい産業をつくりたい」と思い、EXestの創業に至りました。
ーーなぜこのサービスを始めたのですか?
地方で人と人が出会う現場には、テレビ局が表に立つべきだと思ったからです。元々勤めていたからわかるのですが、地方のテレビ局には、地域に根ざした放送を続けてきたからこそ手に入った情報が集まっています。しかし、インターネットや衛星放送の普及で今、経営は苦境に立たされているんです。
テレビ局が今まで撮影し、溜めてきた「既存資源」を活用できるDOGADOZOで、レガシーな産業で苦戦する地方のテレビ局を助けながら、日本の地方創生に貢献したいと思っています。
ーー今後のサービス展開について教えてください。新規プロダクトは考えていますか?
メディア、動画と聞くと、広告収入のモデルが真っ先に浮かんでくると思います。その先入観を壊したいと思っています。そのアイデアの一つが、広告収入に頼らない、収益を動画制作者に還元するビジネスであり、それを展開していきます。
動画そのものを評価し、その価値に応じた料金を支払うエコシステムを作ることで、動画ビジネスの多くが広告による収益を中心に成り立っている現状を変えたいです。
ーーどんな世界を目指しますか?
動画を通じて人と人が繋がる世界です。
情報技術の革新が進む中で、世の中の価値観は多様化してきています。例えば広告制作は、100人いたら99人が否定しないマス広告から、100人いたら10人に刺さるデジタル広告への移り変わりが進んできているわけです。
私は動画制作にも同じようなチャンスが訪れると考えています。動画制作の素人でもトップクリエイターと同じような動画素材が手に入るようになれば、自分たちが表現したいものを自由に実現できるようになるでしょう。そんなクリエイティブな世界で、人と人が出会う場所を作っていけたらいいですね。
EXest株式会社の「DOGADOZO」が気になった方は、以下のリンクまで。
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