株式会社Freewillが提供する「SPIN」は、人々の心に訴える「ストーリー」を中心に世界中のあらゆる才能を支援できるクラウドファンディングサービスだ。
プロジェクトの参加者はチャットルームでの会話を通じて非日常のつながりを持てるほか、ブロックチェーン技術を駆使し、提供した資金の流れをリアルタイムで把握できる。
代表のToshi Asabaさんは、バックパッカーとして世界各国を旅した経験をもとに同社を立ち上げた。「サステナブルエコソサエティ」をテーマとする4つの事業で社会課題の解決を目指す。
「SPIN」について詳しく見ていこう。
株式会社Freewill 代表
Toshi Asaba
長野県出身、1978 年 12 月 12 日生まれ。
15歳でアメリカの高校へ留学。 19 歳で 40 カ国 以上を バ ックパッカーとして 旅した際、世界の現実を知り地球環境と人間社会の共存共栄を果たすことを目指す。
24 歳で東欧を中心に貿易事業にて起業。北米、アジア、EU を中心に活動後、様々な業界を経験したのち、日系/外資系での SE 経験を経る。国内 IT 企業にて世界中のサービスを検証、リセラーやアライアンスパートナーシップ、OEM 等で国内事業を展開。
これらの経験を活かし、19 歳のときから温めてきた構想を実現するため 、グローバル ICT 事業に特化したフラット型組織をつくるために2019 年 1 月「株式会社 Freewill 」を設立。
ーーSPINを一言でいうと?
ストーリーファンディングという今までになかった仕組みで、世界中のあらゆる「才能」をサポートするクラウドファンディングサービスです。
ーーストーリーファンディングとは何ですか?
「ストーリーを知れば世界が変わる! 考えたこともないプロジェクトを、自分の人生の1ページに さあ、ストーリーを見つけて参加しよう!」
プロジェクトを心に訴える「ストーリー」として世界に届け、実施者と支援者をつなぐ参加型の新しい仕組みのことです。人間に限らず、動物や植物も含めた「地球に生かしたい才能」に対する支援を加速させます。
ーーサービスのステークホルダーについて教えてください。
ステークホルダーは3者に分けられます。現地で直接的に才能を支援する「メンター」と資金を提供する世界各地の「ソーシャルペアレンツ」、プロジェクトの認知度を広げる「レコメンダー」です。
ーーメンターはサービスを通じて何ができますか?
ソーシャルペアレンツへのトランスペアレンシー(透明性)を保持しながら、才能を育む資金を調達することができます。
世界の最前線で才能を支援しているメンターには、社会課題の解決に取り組むNPOやNGOが多いですが、そうした団体の資金調達方法はこれまで企業からの支援や協賛、支援者の一般公募などの限られた方法しかありませんでした。活動の継続のために収益性を重視すると、イメージダウンにつながる可能性もあります。
ブロックチェーンをはじめとしたIT技術を取り入れたSPINを活用すれば、メンターはソーシャルペアレンツに対して資金の流れを明確に示しながらプロジェクトを進行できるのです。
ーーソーシャルペアレンツは何ができるのでしょう?
ソーシャルペアレンツは「ストーリー」を通して知った社会問題や共感したメンターの思いに対して資金を投じると、メンターやレコメンダーとチャットルームで会話ができるなど、非日常のつながりを持つことができます。期間限定のオンラインサロンに参加するイメージです。
支援者にギフトなどのリターンがある従来のクラウドファンディングと違い、SPINのプロジェクトに参加する意義は、優れた才能を中心としたストーリーを創る一員になることにあると言えます。
ーーレコメンダーになるのはどんな方ですか?
インフルエンサーと言われるSNSで情報拡散力を持つ人たちです。レコメンダーは、自分の影響力を直接活用した社会貢献ができます。結果的に社会的信用力の向上にもつなげることができるでしょう。
ーー競合サービスとの違いを教えてください。
SPINは他のクラウドファンディングサービスと競争するために立ち上げられたサービスではないので、他サービスとは機能もコンセプトも全く異なります。
プロジェクトにストーリーという付加価値を求める私たちのサービスでは、プロジェクトが立ち上げられた背景や、才能の育成に関わる人や団体を可視化する必要があります。本当に社会的に有意義なプロジェクトだけが支持を集められるということです。
ストーリーが作られるのは、メンターがプロジェクトを公開するときだけではありません。ソーシャルペアレンツは育てたい才能に関するストーリーを、動画やレポートなどの様々な形で表現できます。参加者は各個人のスキルを活かしたプロジェクト拡散への協力ができるだけでなく、作品のエンドクレジットを見た人や企業からジョブオファーを受け取れるかもしれません。
また、ブロックチェーンを活用してお金の流れのトレーサビリティを保証しているのはもちろん、サステナブルエコソサエティ(持続可能なエコ社会)という仕組みを整えているのもSPINならではの特徴です。オンラインショップではストーリー性を重視したエシカルな商品を取り揃えていくほか、SPINも含めた弊社の3つのサービス上でお金を動かすとウォレットにコインが蓄積されるシステムを開発しています。
ここで貯まったコインは一定期間が過ぎると、環境保全のために活動している団体に自動的に寄付されます。共感したプロジェクトに参加したり、購買活動をするだけで、意識せずにSDGsの目標達成に貢献できるのです。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
熱と才能を結ぶ人材シェアリングプラットフォーム「FREEWILL FREESPACE」、自らの”善き行い”を全世界に発信できるウェブメディア「VIBES MEDIA」、そして「SPIN」の3つの事業は、サステナブルエコソサエティをテーマに同時にリリースされました。私たちはこれらを「愛のサービス」と呼んでいます。
バックパッカーとして多種多様な価値観に触れる中で、利益重視のビジネスを国内市場のみで展開する日本企業のあり方に疑問を抱いたことがサービス立ち上げの背景にあります。マネタイズファーストの考え方から始まるサービスではなく、「愛」から始まるグローバルサービスが必要だと思ったんです。
また、消費者を囲い込んで利益を得ることを目的にするあまり、SDGsで設定した目標の大きな壁になっている従来の経済体制を継続すれば、世界中で起きている気候変動を止めることはできません。そんな中、新型コロナウイルスの流行や近年の度重なる災害を経験した日本は、新しい信用経済を基盤にしたニューノーマル時代への転換期を今まさに迎えています。
トランスペアレンシーとトレーサビリティ、コンパッション(思いやり)をキーワードにサービスの開発を進め、モノやお金の流れを可視化された信用経済をつくり、消費行動で「愛」を表現できる世界を実現したいですね。
ーーこのサービスの今後は?
今後は、メンターがチャットやライブ配信でプロジェクトの進行状況を共有しながら、リアルタイムで資金を調達できる投げ銭機能を開発していきます。プロジェクトの参加者は、より一体感を持った活動ができるようになるでしょう。
ーー目指す世界観を教えてください。
サステナブルエコソサエティの価値観を世界のスタンダードにします。社会課題の解決のために最前線で活躍するNPO・NGOに、一般ユーザーが無意識に協力できる仕組みをトークンエコノミー全体で実現することが私たちの目標です。
SDGsに貢献するために利益第一の株主至上主義を取り払った我々のサービスを拡大し、既存のマーケットと融合させることができれば、2030年には国民の意識を変えられると信じています。
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