株式会社NIMARU TECHNOLOGYが提供する「Ovice(オヴィス)」は、オンラインで気軽に他者と会話したり、ミーティングの場として使用することができるサービスだ。
代表取締役のジョンセーヒョンさんは、2月にチュニジアに訪れ、新型コロナウイルス流行の影響で出国できない状況の中、自身が感じたコミュニケーション不足を解消するためにこのサービスを作成した。今後はサービスの提供を通じて、リモートコミュニケーションの活性化を目指すそうだ。
「Ovice」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社NIMARU TECHNOLOGY 代表取締役
ジョンセーヒョン
ーー「Ovice」を一言でいうと?
オフラインのようなコミュニケーションができるバーチャルスペースです。アバター同士の距離に応じ、聞こえる音声の大きさが変わります。
ーーどんな方がサービスを利用していますか?
主にリモートワーク、コミュニティコワーキングスペース、イベントの3つの機会で利用されています。
ある企業では、リモートワークを行う場として1,000人以上の規模でOviceを使い、バーチャル本社をサービス内に作ろうとしています。コミュニティコワーキングスペースとしては、Oviceが用意しているキャンパスそれぞれの特徴を活かして、講義室としてセミナーなどに利用できます。イベントでは交流会や、映像を流して学会のように利用されることもあります。
ーーどのように利用するのですか?
ブラウザで利用します。ダウンロードやインストールの必要はありません。
ユーザーはアバターを通じて、スペースの中で自由に動き回ることができます。近くにいる人たちの声は大きく聞こえ、遠くにいる人の声は小さく聞こえることが特徴です。距離の近い人とは、ビデオを通して顔を見ることができるほか、スクリーンシェアもすることができます。この2つの動作は同時に行うことも可能です。プライベートな話をしたい場合は、会議室に入りロックをかけることで、他者に聞かれないようにするのが良いでしょう。
ーー利用するメリットは何ですか?
現在、リモートワークやリモートコミュニケーションの普及により、エンゲージの低下やモチベーションの低下、生産性低下などの弊害が目立ってきていますが、このサービスを導入することにより、これらの問題が解消できたという事例があります。
よって、うまく活用できればコミュニケーションが非常に活性化されるので、リモートワークをしていてコミュニケーション不足を感じている企業や団体であれば、利用するメリットがあると思います。
ーー競合サービスはありますか?
はい、主にオンラインのコミュニケーションツールですね。
ーー競合サービスとの差別化点を教えてください。
オンラインコミュニケーションツールは、部屋が分かれているため会議などの目的を持ったものには向いていますが、偶発的な立ち話が起こることは期待できません。また、元々エンタテインメントとして開発されたものですので、ビジネスの現場で使用するには限界があるものもあります。
一方Oviceではビジネスシーンにおいて、スペースの中を自由に動き回ることができるので偶発的なコミュニケーションを促進します。また、独自の通信技術を使用するため通信量をそんなに使わずに、安定したオンラインの環境を低価格で利用できるといった特徴があります。
ーーサービスを立ち上げた経緯を教えてください。
元々働いていた会社で今年の2月にチュニジアに出張に行ったんです。ちょうどそのときにコロナウイルスの感染拡大が深刻化してきて、ロックダウンが始まり、帰国もできませんでした。
その後、ロックダウンの中、いろいろなコミュニケーションツールを使って仕事をしていました。しかし、利用する中で不便だと思ったということと、時間を持て余したことから、「何かできることはないか」と考えたときに、サービスを作ることを思いつきました。立ち話のような感覚で、もっと気軽に話せるようなサービスが必要だと感じたのです。
ーーこのサービスの今後は?
直近の目標は、企業様の利用も増えているので、セキュリティをさらに高めていくことですね。また、デザインのリニューアルも開発を進めています。社員の9割以上がエンジニアという弊社が作ったこのサービスは、最初は仕様が分かりづらいといった声をいただくこともありました。デザインのリニューアルを行い、誰もが使いやすいサービスにしていきます。
リニューアル後はリモートワークでの利用拡大とアカデミック利用の強化を目標としています。それらの目標を達成したら、グローバル展開とサービスが自律的に改善していくエコシステムを作ろうと思っています。エコシステムとは、有志のデザイナーさんがデザインを作り、それを我々のプラットフォーム上で販売ができるような仕組みです。利用者はオプションを一定額払うことによって、自分好みのインテリアやデザインを手に入れることができます。また、弊社が用意するAPIによる機能の拡張や、弊社のログを利用した分析もできるようになるでしょう。
そしていずれは、オンラインとオフラインの融合を目指します。現在はコロナの影響もあり、オンラインのみで行われていることも、これからはオフラインと共存していくことになるでしょう。「Ovice」を通じ、うまくその2つが融合できるような技術開発をしていきたいです。
ーービジョンを教えてください。
「リモートコミュニケーションの活性化」です。
今まではオフラインで良いコミュニケーションがとれていて、それらを補うかたちで様々なサービスがありました。しかし、状況は変わり、現在はリモートコミュニケーションが重要になってきています。リモートコミュニケーションがスムーズにできたり、活性化できたりするような技術を開発していきたいですね。
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