「ホログラム」聞き覚えのある方もいるではないだろうか?ホログラムとはホログラフィーという技術で光を映写し、3次元像を記録した写真、映像を閲覧することだ。製造業では紙幣やカードの偽造対策に使われている。
そんなホログラム技術を利用して、デジタルとリアルの融合を実現しようとしている会社がある。Holotch株式会社だ。
Holotch株式会社が提供する「Holotch(ホロッチ)」は、ホログラム映像を使用して、スマートフォンをかざすと実在する人物がそこにいるような感覚を味わえるサービスだ。
代表取締役の小池浩希さんは、映画業界にいたときにホログラムに”映像の可能性”を感じ、同社を立ち上げた。サービスの提供を通じて、「デジタルのリアル化」を目指すそうだ。
「Holotch」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう!
Holotch株式会社 代表取締役
小池浩希
ー「ホロッチ」を一言でいうと?
ホログラムのエコシステムを構築するプロジェクトです。言い換えれば、ホログラム映像・技術がどのような場面で利用され、社会に循環できるかを開拓していいます。
ホログラム映像は、実在する人物をどこからでも立体的に見ることができる3Dデータです。
HolotchはVRやARを使うことで、スマートフォンをかざしたり、専用グラスを通して見ると、実際にそこにいるように立体的に実写のホログラムを映し出すという技術を開発しました。3Dなので、大きさや角度など自由に変えて楽しめますし、実際に自分がホログラム映像に写った人と本当に会っているような感覚になれるんです。
ーーどんな場面で利用していきたいですか?
私はもともとエンタメ業界出身なので、エンターテインメント向けにホログラムを活用できたらいいなと思っています。
実際に、あるアイドルのオンラインライブで彼女たちの映像とホログラム映像を同時に配信しました。立体映像なので、大きさを変えたり、角度を変えたりして「推し」だけを見ることもできます。ホログラム映像を見るということは、自分が一番ベストだと思う席、つまりVIP席にいつも座れるようなものなのです。
コロナウイルス流行の影響で、劇場に人を集めることが困難になり、エンターテインメント業界も苦しい状況が続いています。そういったときにホログラム映像を使うことで、家でも実際にアーティストや芸術作品を見ているような感覚を味わってもらえるようになると思うんです。新しいおうち時間の過ごし方として、また、新しいエンタメのあり方として、ホログラムは今の時代にぴったりの技術です。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
ホログラム映像の可能性に魅せられたからです。
私はもともと、映像の未来を創りたくて映画業界に入りました。そして、2014年にVRに出会いました。そのときに、「映像の未来は画面でみるものから、グラスを通して何かを見る、という風に変わっていくんだろうな」と思ったんです。私は実写の映画を作っていたので、実写の人物をVR・ARで見るにはどうしたら良いか考えていた時、ホログラムに出会ったんです。「ホログラムこそ、映像の未来だ!」と魅せられ、思い切って起業しました。
それが1回目の起業ですね。私は技術者ではないので、会社を立ち上げてからホログラムの技術者を探したり、資金を調達したり、かなり大変でした。
—1回目ということは今回は2回目なんですか?
実は今回2回目の起業なんです。1回目はカナダで起業したのですがうまくいかず、1度閉じていて。どうしても諦めきれず日本で再挑戦中です。
ーー1回目の起業と違う点は何ですか?
社会情勢が違うところです。
1回目の起業の時は、何不自由なく劇場に足を運び、楽しむことが可能でしたが、今は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いエンターテインメント業界は苦境に立たされています。現在はすべての活動が「オンラインファースト」となり、オンラインコミュニケーションの難しさという課題が浮き彫りになってきていますよね。
そこで、ホログラム技術を使えば、実在する人物をありのまま映せるので、オンラインで生まれてしまう人との距離感やコミュニケーションの難しさをを解消できると考えています。その点で、1回目の起業に比べて今は、課題感に対応できるソリューションとして時代のニーズが高まったと言えると考えています。
ーー印象に残っているハードルや乗り越えた壁はありますか?
1番難しいのは、ホログラム映像はほとんどの皆さんが今までに経験したことがないことなので、文字や言葉で説明するのが難しい点です。
ホログラムと言葉で言われても、なんとなくでしか理解できないと思います。実際に見て経験しないことには、ホログラムの可能性を感じてもらえないことが、我々の一番の課題です。
また、ホログラムが活躍できるマーケットを見つけることが必要だと思います。いろいろなものに使えるからこそ、誰もが使えるものとして広まってほしいですね。今は、さまざまな場面での活用を検討し、マーケットを絞り込んでいます。
ーーこのサービスの今後は?
2021年の春にはβ版でのローンチを考えています。
ホログラムの可能性は無限大で、使う人によって、用途も変わってくると思います。ローンチに向けて、どんな分野でどのように、どんな人たちに使われていくのか実証実験を続け、探っていきたいです。
また、オリンピックの開催も予定されているので、テレビ放送と合わせて同時配信なども挑戦してみたいと思っています。
自分の家にメダルを獲った選手を映して、その選手の身長や筋肉の厚さ、躍動感、臨場感を感じ取ることができたら面白いと思いませんか?いくら画質がよくなっても2Dでは把握しきれない情報がたくさんあります。ホログラムだからこそできることを見つけて、実用性の可能性を広げていきたいです。
ーー目指す世界観を教えてください。
「デジタルのリアル化」、「スポーツのリアルタイム配信」を目指しています。
映像をホログラム化することによって、リアルと変わらない体験や、リアルだったら絶対にできない体験をすることができるようになります。Holotchでは、「デジタルのリアル化」を押し進めるべく、これからもホログラム映像の実験、開発、改良を行い、私たちの生活にどのように活用できるかを探っていきたいと思います。
また、私自身とてもスポーツが好きで、中でもバスケが大好きなんです。そこで、スポーツのリアルタイム配信、特にバスケの試合をリアルタイムでホログラム配信をしてみたいと思っています。これができるようになったら、選手のスピードや雰囲気を感じ取って楽しむことはもちろん、トレーニングの教材として応用することもできます。このスポーツのリアルタイム配信に関しては私個人が一番やりたいことなので、これができるまではホログラムをやり続けます!
取材させていただけるスタートアップ、募集中。詳しくはこちら。
AIアクセラレーター、募集中。メンタリングを受けた人の感想はこちらやこちら。
30分で取材
掲載無料
原稿確認OK