急な出費が発生したものの手元にお金を用意できず、日払いの仕事を探したり、仕方なく給料日まで待った経験はないだろうか。給与の支払い方法で仕事を探したり、辞めたりする人は、実はかなりいることがわかっている。
株式会社enigmaが提供する前払給与サービス「enigma pay(エニグマ ペイ)」を導入すると、企業の求人広告の応募数が増え、従業員の定着率も向上する好循環が生まれている。
代表取締役の小口敦士さんは、HRTech事業とのシナジーや、企業と従業員の双方が抱える問題を解決できることを見込んでこのサービスを立ち上げた。サービスの提供を通じ、いつでも、どこでも働いた分の給与が使える世界の実現を目指している。
「enigma pay」について詳しく見ていこう。
株式会社enigma 代表取締役
小口敦士
2011年に青山学院大学を卒業。卒業後はベンチャー企業に就職。クラウドサービスのマーケター及びプロダクトマネージャーを担当。また、アライアンスや事業開発にも従事。その後、株式会社enigmaを設立し、代表取締役に就任。
ーー「enigma pay」とはどんなサービスですか?
従業員が働いた分の給与をいつでも、どこでも簡単に受け取ることができる福利厚生サービスです。
ーーどんな企業が導入していますか?
顧客はアルバイトや派遣スタッフの方が多く在籍されている企業様です。飲食業界、小売業界、派遣業界、物流業界等、幅広い業界への導入実績があります。
「enigma pay」は、各種勤怠管理システムとのデータ連携が可能で、給与を前払いする企業にとっても管理しやすいサービスです。また、一部のプリペイド式Visaカードには、業務委託で働く方の報酬を直接チャージすることもできます。
ーー企業が「enigma pay」を導入するメリットを教えてください。
求人広告への応募数増加と従業員の定着率向上です。
国内大手アルバイト求人メディアの調査では、求人広告に載せる給与支払い方法を日払いにすると、応募獲得数が3.7倍に増えるというデータが出ています。実際に弊社サービスを導入いただいた企業様からは、給与支払い方法を「日払い・前払い可能」にしたところ、応募数が218%増えたという声をいただきました。
また、急な出費が発生した際、給与をすぐに受け取ることができれば、他会社の日払いのアルバイトで働く必要がありません。前払給与サービスを導入することは、自社で働きながら前払給与を受け取りたい人の離職防止にもつながります。
現在は、コロナ禍で離職者が増えていると思います。緊急事態宣言で休業や営業時間の短縮をせざるを得ない状況において、現在の勤務先以外に仕事を探している方にとって前払給与があることが入社の決め手にもなっているのではないでしょうか。
ーー従業員が前払い給与を受け取るまでの流れを教えてください。
スマートフォン、PC、ガラケー等の各種デバイスからの前払い申請が可能です。アプリを開いたら、ログイン画面で企業IDと各従業員に割り振られた社員番号、任意で設定したパスワードを入力します。ログインすると、画面にその月働いた分の給与が表示されます。そのあとは引き出したい金額を入力し、申請するだけです。
事前申請の必要はなく、前払い申請後、即時に銀行振込される環境を実現しています。これにより、いつでも、どこでも働いた分の給与を引き出すことができます。
ーー競合サービスと比べた強みは何ですか?
システム導入担当者と運用担当者を各社1名ずつ配置することにより、導入から運用までをサポートする体制を整えている点です。ガラケーに対応したり、企業や従業員の属性に合わせたマニュアルを作成したり、各社の担当者の方々を集め、説明会を開く等、アフターフォローに力を入れています。
また、さまざまなシステムとも連携を進めているところですが、今後も多くの銀行や勤怠管理システム等との連携を広げていく予定です。現在導入社数は業界TOPクラスとなっていますが、さらに導入企業を増やすことができれば、多くの利用者にサービスをご利用いただけることにもつながります。
ーーなぜこのサービスを立ち上げたのですか?
理由は大きく分けて2つあります。
給与を柔軟に受け取る仕組みがないことに課題を感じていました。給与の支払いは、多くの企業では月一回しか行っていません。大学時代に就活支援活動をしていたとき、バイト代が振り込まれる日付の関係で交通費が出せず、地元の選考が受けられなかった学生を何人も見ました。既に働いた分の給料をいつでも受け取れるシステムがあれば、このような問題も解決できるのではないでしょうか。
また、企業ができる限り費用や工数をかけずに人手不足を解消できる手段が必要だと思いました。近年、有効求人倍率が1倍以上の状態が続いた中で、あらゆる業界の企業が求人のエントリー数を増やすことに苦心しています。限りある広告予算を有効に活用していただくためにも、「enigma pay」は運用費用をできるだけ抑えて提供しています。
ーーサービスの提供を通じて目指す世界観を教えてください。
「お金をもっと自由に使える世界」を実現したいと思っています。
現在はHR関連のシステムを提供している会社と連携していますが、いつでも、どこでも働いた分のお金を使える世界を実現するために、今後もシステム開発を進め、「enigma pay」をあらゆるサービスにとってハブのような存在にしていきます。
デジタル庁の創設など、柔軟にお金を使えるようにするための法整備が進められる流れがある中で、このサービスが一役買えるように、システムを拡充していきたいですね。
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