多くのコストをかけて採用活動を行っても、最終的に内定する学生は一握り。学生は最終合格をもらえなければそれまでの努力も虚しく、無機質な「お祈りメール」が一通届くだけで終わってしまう。
合格か不合格か、「セーブポイント」のない厳しい就職活動の中で、学生側はもちろん、採用する企業の人事部の社員も複雑な思いを抱えている。不採用になってしまったが優秀な学生と今後も良好な関係を築きたい。自社の合格には至らなかったが、他の会社で活躍できる資質を持つ学生を知っている。そんな企業同士が学生を推薦し合う環境をつくることで、学生側も企業側も嬉しい採用活動を実現するサービスがある。
株式会社ABABAが提供する「ABABA(アババ)」だ。
このサービスは、ずっと入社を目指していた企業の最終面接で不合格になり、就職活動も一からやり直しになってしまった友人の話を受け、既存の採用活動の構造的問題を感じた創業者の思いから立ち上げられた。同社はサービスの提供を通じて、就職活動に「セーブポイント」を設け、効率的な採用活動を実現させることを目指すそうだ。
「ABABA」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社ABABA 代表取締役
久保駿貴
ーー「ABABA」は一言でいうとどんなサービスでしょうか。
最終面接まで進んだ学生を企業間で推薦し合うプラットフォームです。
ーーどんな企業が利用していますか?
リリース1ヶ月でITベンチャーを中心とした40社の企業様にご利用いただいております。
ーー学生の利用状況を教えてください。
ABABAに登録いただいている企業様から最終面接で不採用を決めた学生の紹介を受け、登録を募っています。学生側から最終面接で不採用になった旨を自主的に申告し登録することも可能です。また、私自身も学生ですので、運営している500人規模の学生団体や、人脈を使って登録を促しています。
ーーどうやって利用するのでしょう。
企業は最終面接不採用時のメールで学生にABABAへの登録を打診します。学生はメールに添付されているURLから登録すればOKです。
学生の登録が完了した場合、企業の人事担当者は任意で学生の推薦文や不採用になった理由を記入できます。ABABAに登録している他の企業がその内容を見て、採用オファーを送る仕組みになっています。
ーーサービスを利用するメリットを教えてください。
企業のCX向上です。残念ながら不採用になってしまった学生と、採用活動終了後も良好な関係を構築することにより、学生の企業に対する評価を上げることができます。
また、サービス内には最終面接まで進んだ学生のみが登録されているため、採用企業は優秀な学生層にアプローチすることができます。人材要件が似た企業が推薦した学生であれば、採用フローの初期段階をカットできる可能性もあります。
学生にとっても、採用フローを短縮して早い段階で面接に進めることは時間の効率化に繋がり魅力的です。オファーの受諾率も高まるでしょう。
ーー類似サービスとの差別化点を教えてください。
企業からオファーを行う就活サイトが類似サービスとして挙げられますが、ABABAの強みは、優秀な学生にフィルタリングしてアプローチできる点、不採用になった学生とも良好な関係を築いてCXを向上させることができる点です。
また、ABABAを使うことは、人事部の社員の心のケアにも繋がります。自分が「ぜひ採用したい」と思った学生が、役員面接や社長面接によって落とされてしまうと、人事担当の方の心理的負担も大きくなります。そういった”優秀だけど採用には至らなかった学生”に対して事後ケアができるABABAは、人事担当の方のメンタルケアにも役立つのです。
さらに、費用面に関しても、一人学生を推薦するごとに5万円のクーポンがもらえたり、掲載費や初期費用がかからなかったりと、導入しやすい体制が整っていることもABABAの強みになってきます。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
今年の6月に、私の友人が企業の最終面接で不採用が決まってしまったことがきっかけです。
彼はその企業の大ファンで、ずっとそこで働きたいと考えていました。それでも、採用フローを時間をかけて突破し、やっと最終面接までたどり着いたのに、不採用時に得たものは一通のお祈りメールだけだったんです。その後彼は、その企業のことが嫌いになってしまい、今後はそこの商品を買わないと言うようになりました。
また、彼は就活を一からやり直さないといけないことについても嘆いていました。学業やアルバイト、その他の活動と並行して就活を行なっている学生は本当に忙しいです。しかし、日本の就活で得られる結果は、内定か不採用かの2択しかないんですよね。就活における「セーブポイント」がないんです。
最終面接まで頑張った実績は認められるべきだと思いますし、もっと効率的に就活が行えないか、不採用となった企業とも良好な関係を構築できないかと考え、このサービスの立ち上げに至りました。
ーーこのサービスの今後は?
まずは導入企業数を増やしていきます。現在は主にITベンチャーに絞って導入をお願いしているのですが、ゆくゆくはこのサービスをあらゆる業界の企業に利用していただけるようにしていきたいです。
ーー目指す世界観を教えてください。
「就活落ちたらABABA」と認識されるくらい、このサービスを利用することを就活における当たり前にしたいです。
学生の就活に対する努力がきちんと評価され、企業も効率的な採用活動ができる環境を実現するために、今後もサービスの展開を続けていきたいです。
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