quatre株式会社が提供する「aircatalog(エアカタログ)」は、サンプリングを実施したいメーカーと、最適な配布場所となる施設をマッチングするオンラインサービスだ。
代表取締役の横町享之さんは、消費者の購買行動にはリアルなタッチポイントが大きな影響を持っていることに気づき、このサービスを立ち上げた。サービス提供を通じて、体験からの購買という自然な流れを作り出し、消費者の購買意欲向上を目指すそうだ。
「エアカタログ」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
quatre株式会社 代表取締役
横町享之
ーー「エアカタログ」を一言でいうと?
商品のサンプリングをしたいメーカーと、配布場所となる施設をマッチングするオンラインサービスです。
ーーどのような配布場所となる施設が登録されていますか?
オフィスやリゾートホテルを中心としたホテルなど、約1,700以上の施設を含む事業者様にご登録いただいています。
オフィスを持つ企業は、従業員に合ったサンプル商品を配布することで、福利厚生の充実を見込むことができます。ホテルやフィットネスジムでは、来店されたお客様にサンプル商品をプレゼントとして配布することで、顧客満足度の向上を期待できます。
ーーどのようなメーカーが登録していますか?
化粧品メーカーや飲料メーカー、空気清浄機などを販売する家電メーカーなど、消費財メーカーを中心とした400超の企業様にご登録いただいている状況です。
パーソナルジム無料体験チケットやリラクゼーションサロンのチケットといった無形商材も取り扱っています。過去には、インフルエンザワクチン接種の出張サービスもありました。消費財の配布のみに縛られない形で、従業員満足度の福利厚生充実や、顧客満足度の向上を目指すことができます。
ーーサンプル商品が店舗やオフィスに配置されるまでの流れを教えてください。
メーカーが登録した商品は、このサービスのカタログに載ります。施設側はその中に気に入った商品があれば、「女性社員が7割です」「〇〇をお客様に配布したいです」など、会社や施設のPRを簡単に入力してオファーを申請します。メーカー側が申請を承諾すると、サンプル商品は無料で施設に配置されます。施設側にはコストを負担する必要がありません。
サンプルの在庫数は決まっているので、オファーが殺到して争奪戦になることも少なくありません。
ーーサンプル商品が店舗に置かれた具体的な事例を教えてください。
家電製品のメーカー様の空気清浄機がオフィスに設置され、社員の方々に利用体験をしていただいた例があります。社員さんからは、「ほこりっぽいと感じていたオフィスが綺麗になった」「社員の体臭が気にならなくなった」などの感想をいただきました。
大型家電量販店には有名なメーカーの製品ばかりが並べられることが多いため、なかなか自社の商品に行きついてもらえないという悩みを抱えている業者は数多くあります。「エアカタログ」を活用すれば、メーカーは消費者とのタッチポイントを容易に増やすことが可能です。
ーー改めてサービスを利用するメリットを教えてください。
シャンプーやリンスなどの消費財から、1台何万円もするような家電製品までを基本的にコストをかけずに、福利厚生の充実や顧客満足度の向上を目的に体験していただけることが施設側の最大のメリットです。
メーカー側のメリットは、製品に対する認知のないところで実際に商品を利用してもらうことで、タッチポイントを増やして消費者の購買意欲を高められることです。
新型コロナウイルスの影響で、化粧品などのテスターは店頭で使用できなくなり、新商品の売れ行きは以前より悪くなっています。コロナ禍の状況下で商品のタッチポイントを増やすには、ターゲットの日常生活動線上に商品を直接配置できる「エアカタログ」が役に立つのではないでしょうか。
ーー競合サービスはありますか?
サンプリングというプロモーション手法は昔からありますが、サンプルをカタログに集め、配布するのに最適な施設とつなぐプラットフォームは他にありません。
サンプルをただ配るだけですと、商品がほしいだけの人が集まってしまったり、転売される可能性もあります。しかし、ホテルで「ぜひ使ってください」とサンプル商品をお客様に渡せば、サービスの一部として受け取ってもらえる可能性が高いです。広告色が前面に押し出されることもありません。インフルエンサーがSNSで発信するプロモーションや、WEB広告とは違って、身近な人からの口コミで商品の情報が広がっていくことが「エアカタログ」の大きな魅力です。
ーーこのサービスを始めようとした経緯を教えてください。
WEB広告の業界で働いていたのですが、広告のクリック数をカウントしてエクセルで報告する業務などをしながら、「これが何になるのだろう」と疑問を持っていました。
実際には、化粧品Aを買おうとドラッグストアに行っても、化粧品Bが押し出されていたら、Bを買ってみようかなと思いますよね。どのように物が売れるのか考えたときに、購買行動にはリアルなタッチポイントが大きく関係していることに気づいたんです。
昔からサンプリングというマーケティング手法はありますが、街頭でサンプル商品を配るのはただの商品のばらまきになってしまうと思っています。サンプリングで消費者の購買意欲をもっと高められる方法はないかと模索した結果、理想的なターゲットに商品を直接届けながら、商品を配布する施設側もメリットを得られる「エアカタログ」の立ち上げに至りました。
ーー新規サービスはありますか?
コロナ禍でもオフィスワーカーにサンプル商品を届けたいメーカーのニーズに応えるため、リモートワークに対応したオフィスワーカーの方がターゲットのサービス「エアプレ」を先月末にリリースしました。
導入いただいた企業様で働かれている従業員の方は、カタログで気に入った商品に応募するだけで、商品の配達を自宅で受け取ることができます。エアカタログ同様、コストはメーカーさんの負担なので、導入費用や送料もかからず、無料です。リモートワークを導入した企業でも、サンプル商品の配布によって従業員満足度を高めることができます。今のwithコロナに対応した新しい福利厚生サービスとして多くの企業様にご導入いただいております。
ーー目指す世界観を教えてください。
出社するオフィス、ヘアサロン、通っているジム、旅行先のホテル旅館など、生活動線上に常に商品とのタッチポイントがあり、どこに行っても商品を体験できる環境を「エアカタログ」で実現したいです。
商品体験からの購買という自然な流れを作り続けることで、消費者のモノに対する興味や購買意欲を日常生活の中で高めていけたらいいですね。
「エアカタログ」が気になった方は、以下のリンクまで。
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