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インタビュー 2021.01.08

東北の復興を願って結ばれた1000kmを超える道。ただ歩くことで震災の記憶を継承し、地域と繋がり、自分を見つめ直す「みちのく潮風トレイル」ーーNPO法人みちのくトレイルクラブ

NPO法人みちのくトレイルクラブが地域と共に運営する「みちのく潮風トレイル」は、環境省のグリーン復興プロジェクトの一環。青森県八戸市から福島県相馬市まで全長1000kmを超える一本の道を歩くことで、東北の復興を願うプロジェクトである。

事務局長の相澤久美さんは、東日本大震災後東北の支援に携わる中、環境省・4県28市町村の自治体・地元の民間団体によって管理されているこの道を維持するため、東北の歩く旅の文化を育てるNPO法人みちのくトレイルクラブを立ち上げた。NPOの活動を通じて、みちのく潮風トレイルが何世代先にも受け継がれ、地域振興に資すると共に、震災の記憶を継承していく道になることを願っているそうだ。

「みちのく潮風トレイル」とはどんな取り組みなのか。詳しく見ていこう。

プロフィール

NPO法人みちのくトレイルクラブ 常務理事兼事務局長

相澤 久美

1969 年東京生まれ。その後日本各地を点々とし、高校・大学を米国東海岸で過ごす。1997年より1級建築士事務所ライフアンドシェルター社を共同主宰。並行して(一社)silent voiceで映像製作、NPO法人震災リゲインで震災専門の紙媒体『震災リゲインプレス』の季刊発行、中間支援等実施。2017年、NPO法人みちのくトレイルクラブを設立し常任理事・事務局長を兼務。みちのく潮風トレイルの運営に取組む。2020年、日本の歩く旅の文化を育むため、一社)トレイルブレイズハイキング研究所を共同設立。常務理事に就任。

歩き方いろいろ。季節や地域ごとの景色が楽しめる1000kmの道

ーー「みちのく潮風トレイル」は一言でいうとどのようなものでしょうか?

東日本大震災で被災した東北沿岸部の復興を応援するためにつくられた、長く歩く旅の道、ナショナル・ロングトレイルです。青森県の八戸市から岩手県、宮城県の沿岸を通り、福島県の相馬市まで1000kmに渡っています。

ーーどんな方がどれくらい利用されていますか?

全線を通しで歩く方、一部区間を歩き、繰り返し東北を訪れて全線歩く方、部分的に楽しむ方、様々です。10代から80代まで、幅広い層の方に利用いただいています。コロナ禍前は欧米からも多く歩きにいらしていました。一般道も含まれるので、正確な利用者数の把握は難しいのですが、環境省が発行したみちのく潮風トレイルの公式マップの配布部数は、初版が発行された2013年から現在まで8万5000部を超えています。

秋、冬、新緑の時期の歩行がおすすめで、季節ごとに違った表情を楽しむことができます。夏も楽しめますが、暑さ、虫対策が必要になります。歩いているとポカポカしてくるので、私は落葉し木立の合間から海がよく望める冬に歩くのが大好きです。

ーー参加者はどのように歩けばいいのでしょうか?

特に決まりはありません。1000kmを一気に歩く方もいますし、何回かに分けて歩く方もいます。どこからスタートしても構いません。近隣の方々が、日常的に散歩道として利用しているところもあります。

また、最近では修学旅行や学校の授業の一環としてみちのく潮風トレイルを活用したいというご相談も受けています。自分で計画を立てて歩いたり、ツアーに参加したり、いろんな利用の仕方があります。

ーー全線を踏破するにはどれくらいかかるのでしょうか。

一気に歩く場合は、早いハイカーだと38日くらいで歩くこともありますが、通常1日に約20km前後のペースで50日ほどかけて歩く方が多いようです。他にも、70日くらいかけてテントや宿を使ってゆっくり歩く方もいらっしゃいました。東北に何回も通い、5年かけて全てのルートを歩いた、という方も先日センターにいらっしゃいました。

ーー歩くのに申し込みは必要ですか?

申し込みは必要ありません。ただ、みちのく潮風トレイルを歩く前に、ルートを知り、計画を立てるために地図を入手する必要があります。危険箇所の情報はHP等で見ながら、ご自分で計画を立てて歩いていただいています。みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンターでは、ご相談に乗ることも可能です。

全線踏破に挑戦したい人は、事前に全線踏破挑戦者リストに登録していただけます。また、踏破を達成した際に申請いただければ、全線踏破証を受け取ることもできます。名前や居住する都道府県/国名をHPに連ねることができるので、是非ご登録ください。ハイカー同士の情報交流グループにご参加いただくこともできます。

ーーNPO法人みちのくトレイルクラブさんはどのような活動をしているのですか?

4県28市町村の自治体さんにより管理されているトレイルルートの情報を収集、発信しています。運営計画に基づきトレイルの運用を行い、利用促進をすることが主な業務です。海外に対するPRも行なっております。

ーーナショナルトレイルはこの他にもあるのですか?

実は、このような長距離自然歩道は50年ほど前から環境省や県によって各地で整備が進められてきました。長距離自然歩道はみちのく潮風トレイルを含め、日本全国に10本あり、総延長距離は27,000kmを超えます。しかし、管理トレイルとして官民連携でトレイル全線の管理運営をしているのは、みちのく潮風トレイルだけです。

東北の力になりたい。何年経っても持続可能なトレイルにするために

ーーもともと何をされていたのですか?

元々は建築家として設計事務所を経営しながら、ドキュメンタリー映画のプロデュース、雑誌や書籍の編集など幅広く仕事をしていました。そんな中、東日本大震災が起こり、私自身に東北の血が入っていることもあり、何か東北のお手伝いをしようと思ったんです。そもそも建築家は人々の暮らし、命を守るのが職業でもありますから。2011年4月には仲間と相談して「震災リゲイン」という団体を組織し、中間支援活動など展開していました。2012年からは『震災リゲインプレス』という一般の人に向けた災害専門の新聞を作り、震災の復興に取り組んでいる人や活動、被災時に必要な知識についてなど、震災・災害に関して知っておいてほしいことを発信し続けています。

その活動をする中で色々な繋がりができ、2015年にみちのく潮風トレイルをどう持続可能な取り組みにしていくか環境省が検討し始めた時に、たまたま声をかけていただきました。トレイルの持続可能な運営計画の策定業務が、みちのく潮風トレイルに関わることになったきっかけです。

ーーみちのくトレイルクラブはどのようにしてできたのですか?

運営計画を策定していく中で全体を統括する民間団体が必要でした。みちのく潮風トレイルは環境省・4県28市町村の自治体との広域連携事業ですが、自治体や環境省の担当者は数年で異動になります。担当者が替わっても共通の理念のもと持続した取り組みにするためには、異動が必然ではない地元の民間団体の存在が重要と考えました。そこで、運営計画策定を共にした東北の仲間、トレイルに精通したアドバイザーらとNPOを立上げ、その役を担えないかと考えました。

ーーズバリ、みちのく潮風トレイルの良さは何ですか?

長く歩く旅ができること。長く歩きながら、たくさんの地域の人と交流が生まれること。

青森県八戸市に立って、福島県相馬市のことを想像する機会は普段ありません。その逆もしかり。自分が想像できないほど遠くまでこの道がつながっていること、歩いているうちに地形や歴史文化だけでなく季節すら変わってしまう。歩き終わるときの自分が想像できない。想像を超える、理解できないことを目の前にして、それを一歩一歩自分の足で確かめて歩けること。

歩く人にとっては、歩きながら東北の歴史文化、生業を知り、美しい風景や親切な地元の人に出会い交流し、人の優しさに触れられること。また、震災の話を直接聞くことで震災の記憶を継承する機会にもなると考えています。不安な旅の中で人と出会い、受けた親切は美しい風景以上に大切な思い出になり、その後の人生にも影響を与えると思う。

また、利便性の高い社会になった今、バックパックひとつ背負い、自分の足で「歩く」経験をすることで、当たり前にある社会、日常の尊さに気付き、自分を見つめ直す時間を持てること。バックパックに本当に必要なものだけを入れて生活することで、自分にとって本当に大事なものが何なのか見えてくるのではないでしょうか。

日常の喧騒から離れて、ゆっくり景色を楽しみながら当たり前だと思っていた日々の「社会」からちょっと離れた、「自分なり」でいられる時間を楽しんで欲しいですね。

滞在時間が50日とか長いですから、経済効果もあり、一極集中ではなく、広く薄く消費が積み重ねられていくことも、地域をみんなで少しずつ応援できる形として期待できます。

豊かな自然と震災の記憶が時代を超えて継承される道になるために

ーー「みちのく潮風トレイル」の今後は?

私たちは、みちのく潮風トレイルを50年、100年、1000年先まで続く道にすることを目指しています。震災からの復興を願って作られた道です。持続可能な地域となるよう、地域の自然・歴史文化・生業を未来に継承し、東日本大震災の記憶を語り継ぐため、4県28市町村と地域の人々と協働しながら、この道をみんなで育て、繋げていくための仲間作り、環境づくりを続けます。

「ただ歩く」それだけで東北の応援をしていただくことができます。たくさんの人が歩きに来てくれることが、東北沿岸部の復興に直接繋がります。本当に美しく、時に険しく、美味しく、楽しく、優しい道です。みなさんも、ぜひ歩きに来てくださいね。

「みちのく潮風トレイル」が気になった方は、以下のリンクまで。

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採用情報

現在、NPO法人みちのくトレイルクラブでは、NPOの応援会員、整備ボランティア、トレイルセンターのサポーターを募集しています。来年度以降、採用予定もあります。

みちのくトレイルクラブの理念に賛同し、みちのく潮風トレイルを一緒に「守り」「育て」「広め」てくれる方は、ぜひホームページからご応募ください。

ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

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